第7話 side女騎士クリス3
―ピィィッ!
オレルアンの姿を見つけると、暗闇の中に指笛の音が響いた。
「魔力が込められた指笛!?」
―バサバサ…バサバサ… … …バサバサ…
夥しい数の蝙蝠がオレルアンにまとわりくように周囲を飛び回った。
…”テイムスキル”で使役した蝙蝠!?…
シーラお嬢様は、必死で蝙蝠を振り払っているオレルアンの横を身体中からオーラを噴出させて一気に加速させて横切った。
…身体強化のオーラを一気に後方へ押し出して、急加速したッ!?な、なんだ?このスキルの使い方は?少なくとも、この歳の子どもではいくら訓練しても無理な動きだ。…
「こうなったら、仕方あるまい。」
氷魔法
―「“アイスフィールド”」―
―ピキッ―
氷魔法を使って、周囲の地面を凍結させた。
…これで、思うように走れないだろう。あとは、もう少し近づいてから氷魔法で…。…うん!?な、なんだ?あれは!?…
シーラお嬢様は、凍結した地面を難なく走り続ける。
…こ、これは、明らかに普通ではない。スキルの応用も然ることながら、あの洗練された身のこなしはいったい…。…
私は、シーラお嬢様のスキルを応用しながら凍りついた地面を美しく走る姿をみて、あるひとつの答えにたどり着いた。
オレルアンも気づき始めている様子だった。
「あの歳で、オーラを鋲のように実体化させて、氷上の上を難なく進んでいる?あり得ない…。」
…この力はマクスウェル家をさらに飛躍させてくれるに違いない。…
「ステータスの加護の欄が文字化けしていたが、これは…神級の加護を有しているとしか考えられない…。…ッ!…ハハッ、命を賭してでもお引き留めしなくてはいかなくなったなッ!オレルアンッ!」
「はッ!」
オレルアンは頷くと、懐から投擲用の短剣を取り出し魔法陣を展開させる。
影魔法
―「“影縫い”」―
黒い靄のようなオーラを纏った短剣が、シーラお嬢様の進行方向の先に向かって投擲された。
―シュ…
シーラお嬢様は、短剣の着弾地点を正確に予測しながら、また身体強化のオーラで加速し余裕をもって回避してみせた。
…”影縫い”の効果を知っていて余裕をもって回避した!?いや、可能性を予測したうえで回避したのか。…
オレルアンは冷静に自分の足元に黒い渦を発生させる。
影魔法
―「“影渡り”」―
オレルアンが渦に飛び込むと短剣の位置に一瞬で移動した。
影魔法
―「”影拘束”」―
一瞬でマーキングポイントに転移したオレルアンは、シーラお嬢様に向けて影を伸ばす。
…この距離なら回避は不可能だろう。…
―「”オーラブレード”」―
…なにッ!今度はオーラで剣をつくっただと!?…
シーラお嬢様は、右腕に纏わせているオーラを刃の形状に変化させて、迫ってくる影を凪ぎ払ったが…
「…今度は身体強化のオーラを刃の形状に変化させたのですか?…末恐ろしい…。しかし、オーラごと拘束させてもらいます。鬼ごっこは終わりですッ!シーラお嬢様ッ!」
オレルアンは驚きながらも、オーラの刃に影を絡ませる。
…今度こそ、チェックメイトだ。…
身体強化
―“オーラショット”―
シーラお嬢様は、まとわりついた影ごとオーラの刃をオレルアンに向けて発射した。
「オーラを切り離したッ!?…ッ!切り離したオーラが形状を保ってこちらに向かってくる!?あり得ないッ!…クゥッッ!」
オレルアンがオーラの刃を持っていた短剣で受け止めると着弾した瞬間影拘束が発動する。
影拘束により自由が奪われ、オレルアンは膝をついた。
…手加減していたとはいえ、あのオレルアンを…。これは考えを変えなくてはいけないな…。…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。