一滴の夢に溺れて
アカギメラン
Prologue
鳥の囀り《さえずり》、風の吹く音、流れる人の声。
全てがこの世界の安寧を形作り、また、確たる普遍性をも証明していた。
かの一人の少女は、そんな世界の上に立っていた。
青空の下、起こる出来事は実に様々である。
一人ずつに人生という名のストーリーがあり、喧騒の構成分子はきっと…握ってしまえば直ぐに砕け散ってしまう程の、小さな小さなドラマだ。
少女は深呼吸をし、歩き出す。
すっかりソレへとなった彼女の容姿は、人々に希望と絶望を与える象徴でもある。
既に瞼の裏側まで焼き付いた地獄の果てを、ここで終わらせるために。
そして………我々が見ることを許されなかった、この世界の本当の意味を、探す。
剣を固く握りしめ、歯を食いしばる。
この仕事は、言ってしまえば汚れ仕事だ。何故この選択をしたのか、何故悪夢に自分から足を突っ込んだのか、答えは未だに探し当てることはできない。
___________でも。
「…もうとっくに、私達は悪夢の最中だ。」
どうしてか、過去の自分を振り返ることはしなかった。
もう、足を止めたくなかったのだ。
深淵を覗き込んだ少女の瞳には、蒼い夕焼けが映った。
一滴の夢に溺れて アカギメラン @akagi-811sarah
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