第2話 作品の価値
kindle出版するためには、作品が必要です。作品には価値がなければいけません。作品に読者を満足させる価値があれば、より多くの方に読まれる可能性が増加します。次回作を楽しみにする読者も現れ、良い循環が生まれます。品質にこだわり価値を高めることは重要です。
作品の価値を考えるとき、二つの大きな側面があると思います。物語の内容の面白さと、文章の技術的なレベルです。どんなに内容が面白くても、文章が稚拙であれば読むのが大変です。同じように、どんなに上手な文章でも、内容が面白くなければ感動が生まれません。作品の価値を計るうえではどちらも大切です。
小説を書き始めると、誰もが悩み始めると思います。
――どうすれば面白くなるのだろう?
ネットで検索すると、小説の書き方をアドバイスする様々なサイトが存在しています。僕も参考にさせて頂きました。起承転結といった、物語の構成や技術の話は沢山紹介されています。ただ、そうしたサイトをどんなに読み込んでも、真の意味では面白い話を作ることは出来ません。なぜなら、「面白さ」には、賞味期限があるからです。
面白さの定義は、多岐にわたります。人によって面白いと思う対象が違うからです。主人公の絶対的な強さに面白さを感じる人もいれば、会話の妙に面白さを感じる人もいます。その他にも、トリックや、ユーモア、新奇性、専門性等、人が面白いと感じる対象は様々にあります。そうした面白さには、価値が最大になる瞬間があります。それは初めて発表された時です。
――オンリーワン。
どのような面白さであれ、初めて登場した時は、多くの方に驚きを持って受け入れられます。その後、同じような傾向の作品が追いかけるようにして誕生していき、やがて古典になります。
面白さは、技術的に向上させることは出来ます。しかし、真の面白さとは、まだ存在していない何かを掘り当てるようなものだと思います。これまでに無かったものを生み出すのですから、それは大変です。コンテストで、最も評価される価値も、新しさ、オンリーワンだと思います。
面白さの価値に対して、文章の技術は努力で向上することができます。技術アップの手引書には、毎日文章を書きなさい、と指導されていたりします。
僕の作品「逃げるしかないだろう」は、2月28日に初めて発表して、6月13日に脱稿しました。およそ100日。30万字の作品なので、一日3000文字書いた計算になります。毎日毎日、小説の事を考え続けて、毎日毎日パソコンに向かって書きました。あらかじめ大筋のプロットは用意していました。ですが初期のプロットは導入部分しか採用していません。面白くするために、どんどんと変えました。面白さを求めて、頭を捻りました。夜、夢の中でアイデアが浮かび、飛び起きたこともあります。忘れてはいけないので、夜中にも書きました。
毎日のように書くことで、文章を書く力は上達したように思います。ただ「質」という面では問題がありました。読み返してみると、かなり雑です。誤字脱字は、当たり前に散見されました。誤字脱字なら可愛いものです。よく読むと、文法的に間違っていたり、同じことを繰り返し述べている個所もありました。また、それ以上に厄介なのが、手癖です。使いやすい言い回しを何度も使っているのです。リズムが悪く、とても格好が悪い。読めないことはないのですが、なんだか気持ちが悪いのです。それが個性の場合もありますが、他の言い回しに変更した方が美しい場合が多い。
「逃げるしかないだろう」は、これまでに大きな推敲を2回行いました。一回の推敲に、一カ月も掛かります。大変ですが、推敲を行うことで僕自身の理解が深まります。物語の理解はもちろんのこと、文章に対する理解も深まりました。時間を置くことで、客観的に冷静に自分の文章を判断することが出来るのです。推敲は、小説を書くうえで非常に重要なことを知りました。皆さんにもお勧めします。推敲は大切です。
今回、kindle出版を思い立ってから、3回目の推敲を行うことにしました。現在のところ、6分の1が完了しています。3回目だというのに、気になる箇所がいっぱいあります。大工事です。
僕は、文章をONE NOTEで書いています。これが、とっても便利。共有すれば、自宅のパソコンでも、会社のパソコンでも、はたまたスマホでも文章を書くことが出来ます。作業の途中であっても、いつでも再開することが出来ます。これまでは、推敲も、ONE NOTEの中で行っていました。
kindleで出版するためには、一度、Wordに落とす作業が必要でした。小説の内容を、Wordに移し替えて驚きました。間違っている個所に、赤色でアンダーラインが引かれているのです。常識ですよね。でも、僕はこの機能を、これまでは面倒な機能だと思っていました。使い始めると、これがかなり便利。頓珍漢な指摘もありますが、客観的に文章を理解するのに、とても効率的な機能でした。
そうした推敲機能は、ソフトとして存在していることも知りました。使ってみると、Wordとは違う角度で、僕の間違いを指摘してくれます。現在のところ、二つの機能を利用しながら効率的に推敲作業を行っています。
推敲の完了には、一ヶ月は掛かるでしょう。折角、kindleに出版するのですから、僕自身が納得する形で出版したい。より価値の高い作品に昇華する。それは、読者の方に喜んでもらい、売り上げが伸びるという期待もあります。でも、それ以上に、その作業が楽しい。何だかんだ言っても、僕は生みの親でありながら、最初の読者です。
僕は、物語の登場人物たちに、かなり感情移入しています。経験した方は分かると思うのですが、小説を書いていると、登場人物たちが、勝手に動き出すような感覚に襲われることがあります。推敲している現在でも、僕の目の前では、登場人物が動き回っていいます。僕はそんな感覚を大切にしながら、言葉を選んで状況を描写しています。
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