あなたも、kindleで出版しませんか
だるっぱ
第1話 kindle出版に向けて
小説に限ったことではないのですが、芸術といわれる作品の数々は、第三者がその作品を感じてくれることで初めて価値を発揮します。音楽にしても、絵画にしても、小説にしても、作者は自身が感じている感情の高ぶりを作品に込めます。美しさを追求し、激しさを内包させ、表現力に力を注ぎます。純度が高まった結晶は、やがて誰かの心を揺さぶります。作者が込めた思いが第三者とシンクロする。これが芸術の価値だと思うのです。
例えば、文字を持たなかった縄文時代。土の中から、様々な土器が出土されました。炎のようなデザインの土器や、豊満なビーナス像。宇宙人のような像もありました。そうした土器は、五千年、一万年という時間を超えてもなお、現代の私たちの心を揺さぶります。芸術家の岡本太郎氏が、そうした縄文土器を見てインスピレーションを受けたのは有名な話です。そうした意味では、
――芸術という表現方法は、人と人とを心で繋ぐ手段。
そのように捉えることが出来ると思います。
「分かる。分かる」
「凄いね。これ」
「こんなん好き」
そんな些細な感情が、分断された僕たちを繋いでいく。感動が大きければ大きい程、人はより深く人を感じることが出来る。信じることが出来る。また、相手に対して好意を示そうとする。人間がこの社会を形成していく中で、芸術に代表されるような行為の使命は、もしかすると世界中の人々を仲良くさせることなのかな、と思ったりします。
前置きが長くなりました。この度、僕の作品「逃げるしかないだろう」を、kindleで出版することにしました。世界を平和にするほどの影響力はありませんが、読んだ後に、
――この不条理な世界で生きていくのも悪くない。
そんな気持ちになれるかもしれません。内容については、ここでは触れませんが、僕が心血を注いで書き上げた作品です。思い入れは深いです。僕にとっては、子供のようなものです。是非、色々な人に読んで頂きたい。
この作品は、小説投稿サイトで発表をしていました。第九回ネット小説大賞では、1万作以上の出品の中から最終選考に残りました。かなり期待はしたのですが、受賞には至りませんでした。三十万字ほどの作品なのですが、その後、一カ月かけて推敲を行います。作品の純度が少し上がりました。ネット上に発表したまま放置していました。
話が変わりまして、インターネットの世界が普及し始めたのは、Windows95が発売されてからくらいでしょうか。グーグルの検索サイトの登場は、ネット人口を更に押し上げます。その後、様々なサービスが誕生しました。ブログ、フェイスブック、YouTube、インスタ。今でも、新しいサービスが次々と生まれています。
それまでの情報の扱いは、テレビ局、新聞社、出版社、レコード会社等が管理して商業化に貢献していました。また、それが常識でした。情報を管理しているそうした会社は、プロ集団です。目利き集団です。集まってくる情報また作品に価値があるのかないのか、査定して商品化する力がありました。実際のところ、上手く行っていたと思います。そうしたバランスを破壊するものが現れました。インターネットの普及です。
情報を管理していたものを飛び越えて、利用者が相互に情報を共有し合う時代。言葉にすれば簡単ですが、大きな時代の変化です。産業革命に匹敵する、時代の転換期です。現在はまだ黎明期で、今後どのように発展していくのか計り知れません。人々が、個々に様々な情報を発信します。情報の真偽。情報の純度。情報の思想的傾向。そんなものは関係ありません。無限に増殖するアメーバのようなイメージがあります。ルールなんか、まだ整備されていない。ルールを作ることすら無理かもしれません。膨大に広がっていく情報の波に、人類そのものが溺れそうです。
僕の小説も、そうした情報の一部です。僕の意思で、小説投稿サイトで発表をしました。従来的な常識から、コンテストにも応募してみました。それが自然だと思ったからです。ところが、コンテストを主宰する会社に、情報の価値の判断を任せる方法は、作者からすると非常に生産性の低い方法だと思いました。
現代は、多様性の時代です。人々は様々な嗜好性を持ち、自分が好きなものだけを手に入れようとします。テレビ局や出版社といった目利き集団の影響力が、近年では低下しています。それは目利き集団に力がなくなったわけではなく、一つに絞れなくなったことが大きいと思います。生産性を上げるのならば、一つのものを大量に生産すれば利益が最大化されます。ところが、多品種のものを少量づつ生産すれば、利益率は下がります。ましてや、売れなければ不良在庫になり、赤字確定です。
コンテストとは、利益の最大化を狙って、作品を一つに絞る手法です。コンテストに合わせて宣伝を効果的にうち、より多くの利益を得ようとします。これは企業が生き残るための手段です。決して作者目線ではありません。音楽も小説も芸術と呼ばれるものは、今後は好きな感性の人々が、直接に繋がり合う環境が整っていくと思います。現在もそうした環境はありますが、もっと進んでいくと思います。
そんなことを俯瞰しながら、僕は新しい行動を起こしてみることにしました。それがkindle出版です。今後は、作品を作り出す作者のスキルの一つとして、営業も必要でしょう。作品を生み出しつつ、プロモーションも自前で行う。それが、時代の要請のような気がします。
とは言いつつ、僕はプロモーションは苦手です。基本的に、僕の性格は引きこもりです。人と関わることを苦手としています。ただ、kindle出版くらいなら僕にも出来そうです。これは、僕にとって実験のようなものです。行動を起こすことで、どのような反応が起こるのか確認してみたいのです。
今後、kindle出版に関する記事を発表していきます。ただ、便利な手引書にはならないと思います。どちらかというと、僕の体験記です。興味があるようでしたら、今後もお付き合いのほど、宜しくお願いします。
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