episode 33『梟』
夢の中から
本棚の上に留まってホウホウと鳴いている。
そのうち消えてしまうだろうと思ったが、数日経ってもまだ部屋にいる。
名前がないのは不便なので、フランスのロマン派の小説家から取って〝グザヴィエ〟と呼ぶことにした。
食料はというと、私が眠ると一緒に夢の中に入ってきて、虫などを食べている。
鳥類などは飼ったことがないから、これは助かる。
グザヴィエが部屋にやって来てから、私は明らかに目覚めが良くなった。
若干文学的な解釈だが、これはグザヴィエが私の内側に巣食う何かを食べてくれるお陰だと思っている。私とグザヴィエの関係はルームメイトだと言ってよい。あるいは、グザヴィエは何者かが遣わした存在で、私よりも上位に位置づけられるかもしれない。
ある夜、私は夢の中で薄暗い洞窟にいた。
松明を手にしていたが、あまり効果的に視界を照らすことができず、行く先は闇に閉ざされていた。
洞窟の奥からは邪悪な気配が漂っていた。そこへグザヴィエがやって来て、暗闇の中へ飛び込んでいった。それがグザヴィエを見た最後になった。
それで私の中の何かが解決したとなったら美談だが、グザヴィエがいなくなってから、身の回りでトラブルが続いている。
けれどもだからこそ、今でも私の中にグザヴィエがいるものと私は考えている。
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