第10話 玉座
「おう。ハルキゲニア君、来たか。頼みがある。
村をひとつ、焼いてもらいたい。」
王宮に呼ばれた俺はゾフ王から村を召喚獣イフリートで焼くことを依頼された。
「ハルキゲニア君は我が国の第一王子が暗殺された事件を知っておるな?」
「はい王様、街では今も一年前の悲劇が語られています。」
「うむ、あれは良くできた子でな。勇敢で優しく・・名はマイクといった。」
「そのマイク王子の暗殺事件、他国の勢力によるものとの噂があります。」
「イースタン国の勢力だ。首謀者はオリベという男、そこまで分かっておる。」
「その首謀者オリベは今どこに?」
「東の国境の村、ガラス村だ。そこに隠れているという確かな情報が入った。」
「ガラス村、なるほど、王様、
軍を向かわせればオリベは隣のイースタン国へ逃げてしまいますね。」
「そうだ。ハルキゲニア君、そこで君に一瞬でガラス村を焼き払ってもらいたい。」
王の玉座に埋め込まれた宝石はピンポン玉のように丸く大きい。
宝石は3D映像のように飛び出して見える。
緑の宝石は透明でグイグイ玉座から飛び出そうと必死だ。
逆にゾフ王の眼は黒く深い穴のように凹んでいる。
「王様、ガラス村はオリベをかくまっているとはいえ、無垢な子供もいます。」
「ああ、断ってくれても良いが我々は必ずオリベを捕らえる。
これは暗殺を二度とさせないために重要だ。
召喚獣で村を一気に焼くことができないとなると、
ガラス村出身者から情報をもっと集めることになる。」
「ガラス村の出身者?」
「女戦士のシャイニーといったな、あれはガラス村の出身だ。
村の地下道や国境の橋の場所などを拷問して吐かせることになる。
同じくマッシとホテイトという兄弟戦士もガラス村出身だな。」
思わず北のドラゴン討伐の時の情景が頭に浮かんだ。
俺も屋敷に行ったときに三人の出身が同じ村だということまでは聞いている。
「我が王宮の拷問はシンプルでな。
殺しはしない。
手の指を一本づつ斬り落としていく。
回復魔法をかけても指が生えないように傷口は完治させてから帰す。
戦士が手の指を失えば、もう冒険はできなくなるな。」
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