第6話 鉱石

南のダンジョンは結界が張られていて、中には4名しか入れない。

「殿下、ようやくダンジョン入り口です。」

女賢者シルクが王子に声をかけた。


今回のパーティは、

俺、つまり限定召喚士ハルキゲニア

トム王子

戦士ゴライアス

女賢者シルク。


戦士ゴライアスと女賢者シルクは王宮に仕えているので実力はある。

トム王子の剣術は実戦経験の無い型だけのものだ。

ダンジョンまでの軽い戦闘でそれは分かった。

俺は炎のイフリートを操る限定召喚士。

ボスまでたどり着けば極大化した召喚獣で勝利は確実。

大船に乗った気持ちでいて欲しい。

嘘だけど。


暗いダンジョン内もサクサク進めた。

戦士ゴライアスの剣と女賢者シルクの魔法のおかげだ。

特に女賢者は攻撃魔法と回復魔法を両方使える。

人数制限のあるダンジョンには最適な人選だった。


最後の階段を降りるとボスのゴーレムが見えた。

ゴーレムの体は特殊な鉱石を含むのか、にぶく発光している。

その発光色は紫と黄色を混ぜたような異様な色だ。

今まで見たことのない美しい恐怖の光。

床に落ちている宝石が騒ぎ始めた。


俺たちは、戦闘フォーメーションを取った。

先頭は戦士ゴライアス。

二番手に女賢者シルク。

その後ろは限定召喚士ハルキゲニア。

最後尾はトム王子。

俺は戦闘開始とともに地面に魔方陣を描き始めた。


炭火焼肉 炭火焼肉 炭火・・ガツン!


ゴーレムがガツン!と地面を叩いたため振動で魔方陣が消えた。

同時に女賢者が唱えていた強力な即死魔法が、かき消された。

戦士ゴライアスが斬りかかったがゴーレムに与えたダメージは少ない。


炭火焼肉 炭火焼肉 炭火・・ガツン!


何度やっても魔方陣が振動で消されてしまう。

即死魔法も中断される。

ボスのゴーレムは二回攻撃で、その一回で必ず床を叩く。

その規則性が分かった時、ゴーレムの腕が大きく振られ、

クリティカル攻撃を受けたゴライアスが死んだ。

俺たちは逃げようとしたが、降りてきた階段は強い結界で消失していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る