第4話 目玉

「ハルキゲニア殿は、この戦闘で死ぬつもりでしたよね?」

金色の鎧を着た女戦士シャイニーが言ってきた。

バレたか・・・



・・いや、


俺は聞き返した。

「なぜ、そんなことを?」

するとシャイニーは「破滅的」な感じがしたからと答えた。

破滅的・・

読心術か。


村で得た情報では戦士の中で読心術の素養のある者がいるという。

その者がレベルを上げて上級職に転職していく。

まだ戦士の段階では具体的なことは読めないはずだ。


「たしかに破滅的と言えば、そうなるな。

俺は限定化した召喚士だからレベルアップもしない。

冒険に出る意味というのを考えると死に場所を求めてということになる。

破滅的?

ハハハ

当たってるよ。」

シャイニーは納得したらしく見張りに戻った。


翌朝から帰路について夕方には元の村に帰って来た。

ギルドに報告を済ませた俺たちは報酬の支払いを待つために宿屋へ。

次の日から村は大騒ぎになった。


隣町からギルドの認証官が来て北の山を確認しに行ったり、

俺たち6名を歓迎して村人が宴会をしてくれたり。

ギルドの認証が済めば大金が俺たちに支払われる。

その金の一部を村に落としてほしくて村を挙げての大接待。

兄弟戦士のマッシとホテイトはドラゴンの目玉を持ち帰っていた。

これでほぼ確定なのだが認証官たちがドラゴンの骸を確認しに行ったのだ。


ドラゴンの目玉はボウリング球ぐらいの大きさでひどく重い。

膜のようなものが白く濁っていて匂いは強いミルク臭。

白い布に包まれていても、こちらを見ている気がする。

俺の嘘を見破る白いボウリング球の数は二つ。


一週間が過ぎて認証作業が済み報酬が支払われた。

もちろん報酬の多額のゴールドは銀行に預けられている。

王宮所属の認証官は今回の北の山ドラゴン討伐を偉業だと讃えた。

そして俺たち6名が国王に謁見できることを伝えてきた。

結局、銀行から多額のゴールドを引き出すのも、それを不動産に変えるのも、

何をするにも王都に行かなければならない。

俺たちは断る理由もないので認証官とともに王都へ向かった。


王宮に着いた俺たち6名は謁見の間でゾフ国王の前に立った。

ゾフ国王は肥満の中年男性だ。

王の目は二つの黒い穴のような印象で、恐ろしいほど深い。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る