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――ブブブ……ブブブ……
「……ん……」
携帯のバイブレーションに起こされ、寝ぼけ眼で周囲を眺めるが暗くてよくわからない。
手には読みかけの本、スピーカーから垂れ流しになったままの音楽。
自分の行動を思い出す。
学校から帰宅後、疲れに身を任せて昼寝をしようとしていたのだが、つい手に取った本を読んでしまい気付けば夕食の時間になっていた。夕食後、読み残しを読んでいたのだがそこで眠気に負けてしまったのだった。
意識を手放す前の自分の行動を思い出し、そういえば何時になったのだろうかと携帯を覗き込んだ所で着信がメッセージではなく通話である事に気付いた。
発信者は『アイツ』からだった。
珍しい。何か、緊急の用事だろうか。
ディスプレイに表示されている時刻はすでに23時を回っている。
疑問に思ったが、これ以上待たせるわけにもいかないだろう。
俺は画面に表示されている通話表示をタップした。
「もしもし」
『おぉ、キヨか?』
幼なじみの声にはいつもの明るさがなかった。
「どうした? なんかあったのか?」
『……まぁ、ちょっと色々とな……』
なんだか歯切れが悪い。
若干の沈黙が流れる。
状況的に向こうが話してくれなければどうしようも無いのだが……。
それとも俺が声をかけるべきなのだろうか。
思案し始めたところでスピーカーの向こうから声が届く。
『……あぁー……キヨ、 今からちょっと時間あるか?』
「? まぁ、暇といえば暇だが……。もう11時だし、明日も学校だが?」
『まぁ、そうなんだけどよ……』
すっぱりと諦めない所を見ると、どうやら特別な用事らしい。
「で、なんなんだ? 付き合ってやるよ」
『……サンキュー、キヨ。本当に悪いけど電話じゃなくて直接会って話したい。高丘公園に来てくれないか?』
「……懐かしいな。わかった、今から行く」
『おぉ、悪い』
通話が切れる。
腰かけていたベッドから立ち上がり伸びをする。
机の上のイヤフォンと財布を拾い上げてポケットに押し込み、部屋を出た。
親には適当にコンビニにでも行くことにして、家を出た。
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