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 テストが終わった。

 数学のテストは予想していたよりも簡単だった為、なんとかなったはずだ。

 ホームルームが終わった教室はなんだかいつもより騒がしくなっていた。テストが終わった開放感を殆どの生徒が感じているのだろう。

 そんな浮かれ気味な教室の中でも、俺は他の生徒に話し掛けられる事も無く、さっさと帰り支度をしていた。

 勘違いして欲しくないのは、俺も開放感を感じていること。

 だからこそ、テストについては明日以降の答案の返却まで忘れる事にしてさっさと帰りたいのだ。

 帰りに寄り道をして遊んでもいいな、と珍しく考え、教室を見回し、幼なじみ2人の姿を探す。

 が、姿が見えなかった。

 「…………」

 アイツの姿が見えないのはよくある事だ。きっとテストの打ち上げにでも連行されたのだろう。

 しかし、言海の姿が見えないのは比較的珍しい。

 こういうときのほとんどはその優秀さ故に半ば押し付けられるかたちで務めている学級代表――いわゆる学級委員の仕事であることが多い

 おそらく今回もそうだろう。

 加えて、言海が俺に何も言わずに姿が見えない時はかなり長い仕事の場合が多い。

 言海も大変だな、と結論づけて帰り支度の終わったカバンを持ち上げる。

 「……はぁあ」

 欠伸を一つして、教室を出る。

 幼なじみのどちらの姿も見えない以上、俺はさっさと予定を変更し、帰って昼寝でもするとしよう。

 そういえば、この前買った本も読んでいないし、あのバンドの新譜もちゃんと聴けていない。

 家でのんびりするには丁度良かったかもしれない

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