同棲彼女と○○を


「しつもん、寝ようとしていたのは誰だ〜?」


 僕の背中に顔をグリグリと埋めながら彼女の声が首筋までゾクゾクと這い上がってくる。寝てないよと返すが、彼女は問答無用とぎゅーっと身体を抱きしめてくる。


「キサマ〜、寝る間を与えないようにしてやろうか〜、ィヒヒヒ」


 モゾモゾと顔を動かして耳たぶ辺りに息を吹きかけてくる。ちょっ、うーん、これはとてもじゃないが眠れそうにないなぁ。全くなんて小悪魔だ、これじゃまるで、天使なんじゃないかぁ。いやもう降参だよなぁ、ほら、好きにしもていいよ。


「やりぃ、それではぁ〜遠慮なぁく〜、ジョリジョリを〜」


 どうにも今日は髭がお気に召すらしく顎をテクニカルに触ってくる。


「ん〜、ジョリジョリが〜、なぁーいぃ」


 そりゃまぁお風呂に入ったら髭を剃るからね? てか、顔を見ればわかるじゃない?


「え〜、くれよジョリジョリ〜、むにゅぃ〜ん〜」


 こらこら、耳たぶ噛んでも髭は出ないよ。そんなに髭が気に入ったなら休みの日は剃らずにおこうか?


「え〜本当に〜?」


 さすがに仕事の日は無理だし、外に出かける日は剃るけどね。期間限定の無精髭。


「期間限定、私の好きな言葉です。ひひ、休日の楽しみが増えてしまったぜぇ」


 その代わり、髭代を前払いで戴きたいな。


「まえばらいぃ? それは何でしょうかぁ?」


 凄くわかってらっしゃる不敵で楽しそうなイタズラ顔が近づいてくる。では、OKてことで遠慮なく。


――ュ、んぅ〜――チゥ」


 僕は彼女と少し長めなキスをした。途中で息が苦しくなって、ちょっと名残惜しく瑞々しい音を立てた唇が離れる。彼女は濡れた唇をプルルと震わせてから、心なしか艶やかな声で僕に囁いた。


「前払いのキッスは何の味だったのでしょうかぁ〜」


 うん? これは……晩ご飯の味かな。


「くふ、ィヒはははッ、ロマンスの欠片も無いねぇ。ま〜そのとおりなんですけどぉ〜、美味しかったでしょうかぁ?」


 それは、どっちの事かな?


「わかってるくせになぁ〜もう意地が悪いぃ……もち、両方」


 今度は彼女から唇を重ねてくる。ゆっくりと吸い付いていくような熱っぽいキス。唇が離れる事も、素晴らしく愛おしい行為のようだ。ところで聞きたいんだけど、このキスは前払いに入るのかい?


「うう〜ん、これは美味しいおかわりのキスなんじゃないかなぁ? ん、んぅ――」


 イタズラっぽく笑って、今度は小鳥がついばむような唇を触るだけの短いキスを繰り返す。もう何度目のおかわりかわからなくなってきたなぁ。気持ちが凄く熱くなってきて、彼女への愛に溢れてきた心が切なくて堪らなくなる。最後にもう一度、彼女から唇を強く強く吸いついてくる大人アダルトなキスをすると、離れてゆく口の間に糸巻きのようにクルクルと人差し指を回した彼女は、ツッと僕の唇に触れた。


「ねぇ〜、今日はここがぁ、寝室ベッドで事で、イイ?」


 凄く、魅力的な提案を彼女はする。お互いの熱に浮いた吐息が触れて、僕達は。




「うんんぅ――ゅぅ――ンッ」


 もう一度、心からの愛おしいキスをした。






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同棲彼女と晩ご飯を もりくぼの小隊 @rasu-toru

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