ごちそうさま/洗い物
「ふぃ~、美味しかったねぇ〜」
彼女と一緒にごちそうさまをすると、お腹をさすって満足気なご様子だ。もちろん、キミの料理はとっても美味しかったよ。レンコンの入ったハンバーグも珍しくて、ちょっと食べすぎちゃったかな? というと彼女は唇をプルルと鳴らす。
「そぉんなに珍しかったかなぁ。実家じゃレンコンのハンバーグは定番だったからなぁ。いやぁ〜、でもレンコンはアタシんとこの地域が地元名産てのもあるかも。正直、ご飯をよそうて言葉の方がアタシには珍しかったよ? アハ、田舎と都会のギャップて改めてよくよく考えると面白いよねぇ」
しばらく彼女と地域差ギャップを肴に話が盛り上がりそうだが、まずは食器を洗わないとね。と、腰を上げると彼女もスクッと立ち上がった。
「ひとりで食器を洗うつもりだなキサマ〜、アタシも洗いますよっと」
え、いいよご飯作ってくれたんだから休んでてよ、ここは僕がやるからと言うのだが。
「ノンノ〜ン、こうゆうのは二人でやった方が早いので〜す」
急に昔イメージのコテコテアメリカ人な喋りで却下されて、彼女は食器の一部をササッと奪いながら、そっと囁いた。
「それに、早く終わらせた方が、ね。長めにお楽しみが……ふへへェ、言ってしまったぁ」
彼女はちょっと恥ずかしくなったか、独特な可愛い笑いを残しながら流し台へとテテテと走っていった。囁かれた耳にジンワリとした余韻が少し残っていて、僕もちょっと顔が熱くなりながら、彼女の待つ流し台へと残りの食器を運んでいく。
「ふんふんふふ〜ん♪ 香りは石鹸良いにお〜い♫」
独特な楽しい鼻歌を隣で聞きながら食器洗い布巾に洗剤を固形石鹸を擦り泡立たせていざ、洗い物開始だ。料理は彼女が作ってくれたから洗い物は僕が握らせてもらう。
「
彼女は拭き取りようの布巾を広げて楽しそうだ。僕はゴシゴシと力を入れてお茶碗を洗い、水で泡を洗い流すと彼女にパス。
「はい、一ゲット〜フキフキしましょうねぇ、うーんキレイだぁ。スポンジじゃなくても汚れって落ちるもんなんだねぇ」
ご飯を食べてすぐに洗ってるのもあるけどね。でも、言うとおりスポンジや台所洗剤じゃなくてもほんとによく落ちるもんだ。キミが衝動買いしたのが勿体無くて使ってみたけど、いい買い物をしたもんだ。
「ふふん、もっと褒めてもいいぞよぅ〜」
うん、流石は○印良品の布巾。
「キサマ〜、そこかぁ〜?」
ウソウソ、キミに感謝だよ。はい、最後の一枚。
「それでよろしい〜。でも衝動買いもたまにはお役に立つもんだねぇ」
生活費の範囲だけど、程々にね。
「うぅ、耳が痛いよぅ。はい、買いすぎ反省します」
ショボンと沈みながらも彼女はキレイに最後の食器を拭き取ってくれた。はい、良くできました。
「あ、コラコラ〜、頭撫でるのはこちらの特権でしょうがぁ、けどまぁ、たまには悪くない。ん〜、
だから、お風呂入ってない無精髭触るのは汚いって。と言っても彼女は顎をジョリジョリ触り楽しげに笑うので、まぁいいかと許してしまう。ハハ、濡れた手で触られるとちょっと気持ちいいね。
「え〜、なんかそれは変態ぽい発言でわぁ?」
うーん、ちょっと
「ん~~単純とはどの口が言いましたかぁ?」
おっと地獄耳――て、イタタタッ、無精髭をチクチク引っ張って攻撃しないでッ。ごめんごめん。
「ようし、許してやろう。フフフ、デッド・エンド・満足。ふぃ〜、それではそろそろさっぱりしましょうかねぇ?」
ぇ、さっぱりとは?
「そりゃ、さっぱりといえばお風呂でしょう? やはり労働の疲れを落とすのはお風呂が一番であるからして」
お風呂! ちょ、大丈夫、これ一応カクヨム投稿だよ?
「いや、なにを言ってるのかそれこそサッパリなんですが? え〜い、とにかく風呂入れぃっ」
言って彼女は僕をバスルームへと引っ張ってゆくのだった。
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