朝日
さかな
「日の出」
俺には大好きな人がいる。
その人のどこが大好きなのかと聞かれると俺は「髪の毛の先からつま先まで」と答える。
歳は同い歳の小学校から今に至る高校まで一緒の幼なじみだ。
茶髪のロングで優しい瞳にスタイルもよく、周りの男子からの評価も高く、よくイケメンやクラスの陽キャ男子から告白されることも多い、そんな彼女のことを俺は高嶺の花と思っている。
だがそんな彼女にいつからか恋をした。
夢を抱いたんだ。
もし彼女が俺の恋人になってくれたら、と。
彼女は触れただけで溶けてしまいそうなまるで雪のように柔らかかった。
そんな彼女の髪はサラサラでとてもいい匂いがする。
俺は彼女を久しく家に呼ぶことにした。
幼なじみと言えど異性故に家に遊びに誘うことは異性として意識してか恥ずかしくて少なくなり、いつの日からか呼ばなくなった。
久しぶりに呼んで俺達は昔を懐かしむかのようにゲームや雑談をし、夢のような時を過ごしていた。嗚呼……この時が永遠となればいいのに。
と、心の中で何度も唱えていた。
でも家に呼んだのは久しぶりに遊ぶ以外にもうひとつ理由があった。
勇気を振り絞り、告白をするためだ。
俺は精一杯の想いを込めて一言「付き合ってくれ!」魂の叫びだったのだろう。俺の声は大きく、家中に響いた。
両親は早くに亡くしているため以前から一人暮らしをしているので誰にも迷惑はかからない。
彼女の表情を見るのが怖く、しばらく俯いたままであったが、頑張って視点を上げた。
彼女の表情は困ったような顔をしていた。
告白をされて最初は戸惑っているのだと思ったが次の瞬間彼女から「ごめん、私そういう目で見た事が一度もなくてさ。だから私は友達でいたいんだ」
その表情と言葉を見て聞いて俺は嫌われたと思い、彼女が続けて何かを言っているようだが、俺はもう世界から音が消えたかのように何も聞こえなかった。
もうそこからの記憶は薄れて霞んでいるが俺は風呂場にいた。
だが俺一人では無い。
カノジョだ。
カノジョが近くにある。
綺麗な首筋と胸元から紅い愛情を俺に流しながらそこにある。
落とそう。
頭、腕、脚……カノジョは俺の彼女だ。
ずっとそばにいて欲しいから、ずっとそばにあってもらいたい。
だから俺はカノジョを一生のーーにするために俺は今日彼女に告白をしたのだろう。
「あぁ、幸せだよ……君は幸せかい?」
そう言って俺とカノジョは日の出を眺めた。
朝日 さかな @SAKANA931
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