第27話
〔第一回、メダル争奪イベント開催!特別なフィールドで戦う人対人の争奪バトル
プレイヤーはそれぞれ3枚のメダルを持ってフィールドを駆け抜けるぞ
もし相手の攻撃で気絶、又は死亡してしまう程のダメージを与えられるとメダルを1枚失ってランダムリスポーン地点から再出発だ
誰が1番メダルを獲得できるかな?
獲得枚数に応じて様々な景品が用意されているぞ!君もメダルを獲得して豪華景品で強くなろう〕
いつもの休日にゲームを起動させるとテレビ画面いっぱいにイベント情報が現れた
日時を見てみると、どうやら本日の夕方から開催されるようで、日頃から毎日プレイしている訳では無い俺にとってはイベントを逃す所だったと危惧する一方で、事前にこの情報を知っていたプレイヤー達はどんな対策をしているのかと気になる所
そんなイベント情報を確認していくといくつかの注意事項も表示されており、その注意事項に目を通しつつ景品交換のページへと飛ぶ
するとメダル1枚から景品はあるようで、最大で20枚までの景品が表示されていた
そして俺はその内の1つの景品に目が止まる
〘火精霊の魂〙
メダル10枚で交換できるそれは、今の俺には必ず手に入れたい程の一品
と言うのも、〘ゴブリンの魂〙〘オークの魂〙ときて、それだけでは何も成さないレアアイテムなのだが、キーアイテムを獲た俺にはあと1つだけ素材が足りない事を確認していたのだ
おそらくは魂シリーズのどれかを獲得しなければその表示は現れないだろう
今現在の装備を元に、魂を練り込む事で伝説の武具へと進化するであろうそれは、〘高位なる存在の魂〙と言う曖昧な説明だけで、素材がなんなのかは分からなかった
だけど俺は確信する。きっと高位なる存在の魂と言うものが、火精霊の魂であると言う事を
だとすれば俺が目指すはメダル10枚
最初に3枚は所持している事から、逃げ回るだけでは目標枚数には届かない
こちらから積極的に戦いを仕掛ける必要がある
イベントの詳細画面では、そのフィールドでは何体かの特別なボスがいて、倒す事でメダルを5枚獲得出来る事と、いくつかある隠し宝箱の中にも1〜10枚のメダルが隠してあるとの事だった
参加は一人一人の個人戦ではあるものの、元からパーティーを組んでいた人達は仲間同士でイベントを攻略するだろうからおそらくは人数が多いチームに必然とメダルが集まる事になるのかも知れない
だからと言って1人でボスに挑む気はないし、何処にあるのかも分からない宝箱を探すのは俺の精神が保たない気がする
このことから俺の狙いは1人から2人のチームに強襲を掛けてメダルを奪うというものになる
アキくんと一緒にチームを組む事も考えたけど、このイベントでは例えチームであろうと攻撃は当たる仕様となっているので、日頃から連携をとって戦っているならともかく、いきなりではアキくんの邪魔をしかねない
もしかしたら俺の攻撃がアキくんに当たってしまう事も考えられる
だから今回のイベントは俺1人で挑む事にする
メダルの譲渡も出来るようなので、後でアキくん達と反省会みたいな物を開くのも良いのかも知れない
その旨をアキくんに伝えたり、ゲーム世界の[俺]を操作しウォーミングアップをしたりしていると、いよいよイベント開催の時刻が迫ってきた
事前にイベント参加の意志を示していた為か、時間になると同時に画面が暗転。数秒の後にイベントの内容と注意事項のいくつかが表示される
それらの項目を読みましたよと[OK]画面を押して行けば、次の瞬間には見たこともない場所にポツンと1人佇む[俺]の姿
スタート地点である少しだけ小高い場所から周囲を見渡せば、滝があるエリアがあったり砂漠のようなエリアも遠くに見える
何やら街のような場所も見られるが、おそらくはそこにNPC等は居ないだろう
それらはあくまでもフィールドと言う扱いの筈だから
自身のステータスを再現するこのゲームだからこそ、攻める場所や守る場所はとても大事になってくる
そんな周囲を見やりつつ、自身がいる場所を観察すれば木々がたくさん並ぶ森の中
密度の高い木々達をみれば、この中であれば多人数よりは少人数の方が動きやすいか?
なんて事を考えていると〔ポーン〕と音がしてイベント開始までの秒読みが始まる
結構大きく見えるフィールドにどれだけの人数がいるのかは分からないけど、ひとまずは相手を見つけない事には始まらない
3……2……1……と来て〔イベントスタート!〕
と言った可愛らしい声がテレビから聞こえてきた
イベント時間は今から2時間
さぁ、気合い入れて頑張りますか
ドカン
っといきなり目の前の足元が弾け飛ぶ
「え⁉」
いきなりの事で訳が分からず硬直する俺の前に1人の男が飛び込んできた
「あちゃ、外したか?完璧に不意打ち成功だと思ったのに当たり判定精度神かよ?」
そんなことを言いながら現れた男は所謂ヤンキーのような見た目の少し背の高い風貌
街で見かけたならば、避けないまでも話をすることは絶対に無いタイプ
そんな男の[声]が周囲20メートルの範囲に居れば自動で接続されるらしいイヤホン越しに届く
「先ずは1人目だ!大人しくメダル渡しとけ!」
言うなり何かを投げつけてくる男
その何かは凄まじい速度で俺の肩へと当たり馬鹿に出来ない程度のダメージを与える
俺は男が投げつけてきた物を見やる
「………野球ボール?」
色は違えど俺でも知っている野球ボールがそこにはあった
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