第5話
「お疲れ様でした。あちらにシャワールームがありますのでご自由にお使い下さい」
全ての計測か終わり、俺は係りの人に指示されシャワーで汗を洗い流し、再び[中央会議室]へとやってきた
中には既に結構な人が入っており、武器選びに時間を掛けすぎたのか、俺はかなり遅い方だった
「ノブくん!こっちだよ」
言われて視線を動かせば、そこにはアキくんが座っていて、俺はアキくんの隣に腰を下ろす
「どうだったノブくん?良い結果出せた?」
「どうだろ?どれくらいが良い数値なのかがよくわかってないしな…………アキくんはかなりの数値を叩き出してそうだよね」
「え、分かるかい?実はBグループの中でも結構高い数値ばかり出たんだよ」
そりゃあその肉体であればそうなるだろとは、俺で無くても考えるに容易い事だろう
ただ、アスリートのような肉体を持つ彼だけど、柔軟性だとか体の軸に若干の不安定さが見える事から、それらがどのように影響してくるのかが楽しみでもあり、不安でもある
「諸君、テストご苦労さま。中には若干名帰った人もいるようだが、これだけの人数が残ってくれた事を嬉しく思う」
再び教壇には最初に挨拶した男性が立つ
てか帰った人もいるのか。まぁ、考えてみればゲームに関係ないと思われる内容満載だったもんな
「最後に、こちらのアプリをインストールしてもらい、自身のプロフィールを設定した後、帰ってもらうようお願いする。会場を出る際に、今持っている番号札と引き換えでステータスカードをお渡しする。これは、今諸君らが持っているハードにセットすることで、いよいよ来週に発売される、CBW内でのプレイキャラクターが反映されると言うことだ。既に勘付いている方もいるだろうが、今日行った全ての数値を我が社独自のシステムにより諸君らのステータスとして反映させている。長くなったが、今日行ったテストは一週間と言う期間を空けて貰えば何度でも更新することが出来る。尚、今回は無料であるが、次回からは有料となるのでそちらは御容赦願いたい。お詫びと言うわけではないが、今日来てもらった方々には、ハードにステータスカードをセット出来るようになる拡張パックを無料でお配りしたいと思う。では諸君、良い[チェンジボディーワールド]ライフを」
そう言って会場を出ていく男性。かなり変な事を言っていた気もするけど、上手い言い回しとその独特な口調と声で、来ている人達に反論を挙げさせる前に話を終わらせてしまった
お詫びとしての拡張パックとやらが、元々配布する予定だったのでは?と思わなくもないが、まぁ貰えるのなら素直に貰っておくことにする
男性が出ていった後で前に大きく出されたコードをスマホで読み取り、専用のアプリにプロフィール等を入力していく
だけどプロフィールと言う割には、入力する所は名前と生年月日くらいしかなく、他は入力出来ないようになっている
すると見落としていたのか、一番上の欄に、番号札と書かれた所があったので、素直にA-20と入力した
入力したら今までグレーになっていた入力欄に、一気に自身のプロフィールが反映されていた。それこそ身長、体重、視力等のデータがそこには数値として現れていた
確かに身長とかも測ってたなぁとは今更ながらに思ってしまう
「ノブくんノブくん、これで合ってるのかなぁ?」
隣では入力を終えたらしいアキくんがスマホを俺に見せてくる
「身長186センチに体重108キロね……やっぱりアスリート系だねアキくんは」
「止めてよ恥ずかしいじゃないか」
いやいや何で乙女チックになるんだよ。とは口に出さない俺の優しさ
ここで両手で顔を隠しながら赤面しようものなら、パット見ではそのスジの方からソッチ系の方へと一気にクラスチェンジだ
入力を終えて最後に登録完了のボタンをタップして終了
アキくんと二人で出口に向かうと、既に何度か見かけたあの女性が、番号札と引き換えにカードと何やら袋を渡していた
「Aの20番、神鷹様ですね。本日はお疲れ様でした。こちら、本日付けでの発行になりますステータスカードです。お名前等間違いがないかご確認下さい。そしてこちらがハードに取り付ける拡張パックとなっております。この拡張パックに、本日発行のステータスカードを差し込む事で、CBWがプレイ出来るようになります。詳しくは同封してある説明書を改めてご確認下さい」
そう言って渡された袋には、確かに拡張パックらしき物と説明書みたいな物が入っていた
同様にアキくんも袋とステータスカードを受け取り二人で帰路に付く
「いやぁ、結構掛かったねー。もうこんな時間だよ」
「ホントだ。通りでお腹が空いてるわけだ」
運動の事を懸念してか、なるべく講習会開始の2時間前までに食事を終わらせてくれとのお知らせがあったので、書いてある通りに行動していたけど朝から始めて今はもう夕方。結局丸一日か講習会で潰れた事になる
「なんにせよこれで後は発売日を待つだけか」
「そうだね。あ、ノブくん、連絡先交換しようよ」
「もちろん。俺は慎重派だから、しばらくは一人で行動するかもだけど、慣れてきたら二人でパーティ組んでクエスト出かけようぜ」
俺たちはお互いにスマホを取り出し、アプリのコードを読み合って連絡先を交換する
CBWはオフラインでもオンラインでも遊べるタイプだから、アキくんと一緒に遊べるのが今から楽しみで仕方がない
ヒロも一緒にやれば良いのに、今日は女のコとデートだって断られた
どうせゲームの中でだろ。とは言わないのが俺の優しさ
まぁ今回を逃しても、ゲームが発売されれば定期的に今の講習会は開催されるみたいだからいつでも来れる事だろう
なんにせよ今日は久しぶりに体を動かして疲れた。お腹も空いた事だし早く千花姉の作ったご飯が食べたいや
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