壱
ドンッドンッドンッ
ボロアパートを壊す勢いでドアを何者かにノックされた
時計の針は午前2時20分を指していた。
幽霊や化け物、物の怪の類は全く信じてはいないが、この時間にドアを勢いよくノックされるのはさすがの僕でも驚いた。そうこうしているうちに男の声で呼びかけられた
「あれ…いないんですか…おかしいなぁ」
聞き覚えのない声に僕は動揺していた。とりあえずこの非常識な奴の顔でも拝んでやろうと僕はドアスコープに顔を近づけた。
おかしい、普段ならドアの外のゴミ袋だの隣人が片づけないでほったらかしにしてそのまま僕の家の前まで転がった箒などが目に広がるのにこの時に限って、見えたのは暗闇であった。それと同時に得体のしれない寒気がした次の瞬間
「あ、いるじゃないですか…さ、この汚いドアを開けてくださいな、桜が咲いているからと言ってまだまだ夜は冷えますからねぇ」
寒気が恐怖に変わった。目に見えていたものは暗闇ではなくこの非常識かつ不気味な男の眼だったようだ。ここでドアを開けると何があるかわからない。かといって、このままにしておくとまたドアをノックされてほかのアパートの住人に迷惑がかかるのではと思いチェーンをかけて鍵を開け、ドアを開いた。
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