死神曰く、寿命一年らしい
え
零
大学二回生の春、僕が住む築70年のアパートに陰気な雰囲気の得体の知れない何かが訪ねてきた
歩くたびに木の床が軋む音が木魂するこのボロアパートに住む僕は人生に意味を見出せないでいた。周りが自分自身の人生に切磋琢磨しダイヤモンドのような輝きを発している中、僕は勉学に励むわけでもなく己の肉体改造に励むわけでもなく甘酸っぱい青春を送るわけでなくただひたすらに同じ日常を送っていた。
そもそも、僕はそれでいいと思っている。
今の人生に満足しているのだ、誰が何を言ったって僕は僕の人生に後悔はないんだ。やり残したことも後世に向けて何かを残すことも僕には一切ない。幼少のころから周りにはそこそこ恵まれており友達呼べる存在も少なからずいる。つまらない人生を送っていたわけではないんだ。でも、なんだろう、どこか心の奥底の暗い海の底のような場所になにか、引っかかるものがあるんだ。だが、そんなことは関係ない。僕が自分の人生に後悔していることはないんだ。そのはずだった。
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