真心ちゃんとの約束1
ま――真心ちゃんが僕に電話をくれるなんてッ⁉ ……え? もしかしてこれ、夢? それとも既に僕、死んでる?
目の前で起きている事が信じられなかった僕は、夢か
「――――痛ッ!」
どうやら痛覚は正常に機能しているようで、目に映る景色も変わったりはしなかった。
夢じゃなければ死後の世界でもない……ここは現実だ。
……………………。
そうこうしている内にスマホを鳴り止んでしまい、室内は再び真っ暗になった。
いけない――早くかけ直さなくちゃッ! と、僕は右手に持った包丁と交換にスマホを手に取った。
もはや【マイネームイズ雲晴Jr.】を切り落とす事など頭にない。当然、余裕もない。
君和田さんや穴見さんと対面している時とはまた違ったドキドキが今、僕の喉を乾かしている。
『――もしもし』
数コールもしない内に真心ちゃんは出て僕の耳を癒し、同時に口から心臓が飛び出そうになった。
「もももももしもしッ、まままままま〇こちゃんッ⁉」
『…………え?』
し――しまったあああああああああああああああああッ! テンパり過ぎて間に余計なの入れちゃったあああああああああああああああああッ!
「なんでもないなんでもないッ、ちょっとアレだっただけで……そ、それでッ、な、なんの用で電話をッ? というかさっき直ぐに出れなくてごめんッ! そそそそれでッ、なんの用かな? ――あれ、これさっきも聞いたっけッ?」
『うん、2回目だよそれ。ちょっと落ち着こ? 雲晴君』
「う、うん……ちょっと失礼」
僕はスマホの送話口を指で塞ぎ、真心ちゃんに聞こえないよう静かに深呼吸をした。
「もう大丈夫だよ、真心ちゃん! 待たせちゃってごめんね」
『ううん、大丈夫だよ。気にしないで』
ああ……真心ちゃんと普通に話せているッ! なんて幸せなんだッ!
彼女と言葉を交わしたのは体育館でゲームの約束をして以来、勃起を晒してしまった日以来になる。
一週間も真心ちゃんと会話ができなかっただけにとても嬉しい。
…………けど、
『あれ、いま足勃チ〇コいなかった?』
『え、あ、うん……いた、かも?』
『いや、いたから反射的に閉めたんでしょ……朝から災難だったね、真心。キモかったでしょ?』
『そ、そうだね……ははは』
心からと言えば……そうでもないかもしれない。
どうしても引っ掛かっちゃうんだ……あの時の、言葉が。
『――はるくん? 今の聞こえてた? 雲晴君?』
「え? あ、ごめん聞いてなかったッ! もう一回いいかな?」
『……だから、約束してたゲーム、暇だったら今やらないって言ったの』
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