第2章 再開と過去
私は小鳥遊凛、十年前に私は両親と三人で車で出かけている最中に交通事故に合ってしまい、両親を無くしてしまった。
私は、転々と親の親族の家をたらいまわしにされて、どこの家に言っても厄介もの扱い・・
そんな日々が続いていた、しかしそれから4年後、行く当てがなかった私は、とある施設に入れられる事になった。
そこは色々な事情を持って身寄りがない子供が集まる施設だった。
外見はボロボロで、外壁などは所々ヒビが入っており、つるだらけだったが、その外見とは裏腹に施設の中は病院の様に綺麗で各自に自分の部屋が用意されていた。
部屋の中は、壁一面真っ白で、病院の部屋にあるようなベッドと椅子と机が置いてあるだけだった。
昼頃になると、部屋に真っ白な白衣とマスクとゴーグルを付けた人が入ってきた。
『これに着替えて』
と白い検査衣を渡された、その検査衣に着替え終え廊下に出ると、施設のエレベーターで地下に連れていかれた。
そこで私はこの施設の事を知ることになった。
施設の名前は坂守児童養護施設、その施設では毎日のように人体実験が行われている場所だった。
その実験の名前は、メンシュハイトエヴォリューション計画、人類の進化を目的とした実験で、特殊な装置、リミデットヴァッフェという物を手の甲に手術で埋め込み、それを埋め込まれた人間は生命力を武器の形に具現化し、手の甲に紋様が浮かび上がる。
武器によって特殊な能力が備わっているが、その武器を破壊されてしまうと、その武器の所持者も死んでしまうのだった。
私は、地下に連れていかれて手術を受けた後は、実験三昧の日々が続いた。
麻酔が切れた後は、手を激痛が襲い、実験では能力を使って優れた能力を持っていない人は体罰を受けて、ご飯をまともに貰えない。
幸い私の能力は、戦闘と潜入に向いてるらしく研究員から贔屓にされていた。
実験中以外は、何にもない自分の部屋に隔離されて誰とも話せないし、隣の部屋からは他に施設に連れてこられた子供のすすり泣く声だけが聞こえてくる。
それでも、施設の中に自由に遊んだりゆっくりと過ごせる時間が少しだけあった。
昼の十二時から十三時までの一時間だけは、自由にしていいとグラウンドに出してくれる。
自由時間中は、ほかの子供たちもグラウンドに出られるが、研究員から贔屓にされている私は、ほかの子供たちから嫌われていて、誰も私に話しかけてくれ無かった。
だから私は毎日の様に、グラウンドの隅で膝を抱えて座っているだけだった、けど一人だけ私に話しかけてくれる男の子がいた。
桂木雪那、彼との出会いはそれから始まった・・・
家に着いて疲れて眠ってしまった俺は、また、昔の夢を見た。
施設にいた頃、休憩時間中ずっとグラウンドの隅っこで膝を抱えて座っている女の子、いつも同じ所で一人でいる女の子に少し興味が沸いて俺はその子に話しかける事にした。
『ねぇ、何でいつもそんな隅っこで座ってるの?』
その女の子に近づいて質問すると少女が俺に目を向ける。
『私といるとみんな嫌そうな顔をするから』
ボソボソと言うと悲しそうな表情をした
『そうなの、一人でいるの寂しくない?』
と質問すると、女の子は小さく首を横に振った、俺は少し考えてから
『じゃあ僕が君の友達になるよ、俺の友達に亮介って奴もいるんだけど、凄い良い奴だからきっと直ぐに仲良く慣れるよ』
女の子の手を取り、無理やり立ち上がらせると女の子の名前を聞いたら、少女は少し困惑したような顔を見せた後に、小さな声で名前を教えてくれた。
(小鳥遊・・・凛)
俺は少女の名前を聞いて笑顔になる。
『よろしくね、凛』
俺が笑顔で凛に話しかけると、凛が少し嬉しそうな笑顔を見せてくれた・・・
その記憶を思い出した途端に俺は目が覚めた
ベッドから上半身を起こすと涙が頬を伝うのが自分でもわかった。
涙を腕でぬぐい取ると、亮介を起こしに部屋に向かった。
ご飯の支度をして亮介と朝ご飯を食べている最中にテレビでまたニュースが流れる。
(昨晩、西崎市坂守町の路上で目と首に刃物で切り付けられた遺体が発見されました
切口から見て、坂守北病院の事件と同一犯の可能性があるため只今調査中です)
俺は、そのニュースを見て、やっぱり昨日のことは夢じゃないんだと確信した。
昨日あそこにいたのは間違いなく同じ施設にいた小鳥遊凛だと、でも何で人を殺すような事を、と考えていると亮介が声を掛けてきた。
『雪那、お前大丈夫か?、すげーボーっとしてるけど?』
亮介が俺の表情を見て、心配そうに話しかけてきたから、大丈夫だよと笑って見せると亮介が食器をまとめてながしに持って行ってくれた。
学校の支度をして二人で学校に向かう、学校に着き自分の席に座って少し経った後にホームルームのチャイムがなり、担任の先生が教室に入ってきた。
『えー・・突然ですが今日、転校生が来ることになりました』
先生の声の後に教室の前の扉が開いて一人の少女が教室に入ってくる。
綺麗な白髪で小柄な体、透き通るような赤みがかった瞳、先生が自己紹介してと少女に伝えると、教卓の隣に立って生徒たちの方に振り向いた。
『小鳥遊凛です。よろしくお願いします』
と少女が軽くお辞儀をして挨拶を終えると、先生が少女に席の説明をする
『小鳥遊さんの席は、桂木君の隣の席が空いてるから、その席で・・え~、何か分からないことがあったら桂木君に聞くように、桂木君も小鳥遊さんの事を率先的に面倒を見てあげるように』
と先生が俺の方を見ながら小鳥遊さんと俺に話しかけてきた。
すると俺に凛が視線を向けてきて驚いている俺と亮介と目が合う。
すると凛が俺たちの方に走って来て俺と亮介に抱きついてきた
『久しぶり』
目に涙を貯めながら耳元でそう話しかけてきた。
俺と亮介は何が起きたのか、さっぱり分からなくて頭が真っ白になった
施設の爆発に巻き込まれて死んでしまったと思っていた凛が今、俺たちの目の前にいる。
混乱している頭で何とか質問しようとしたが、担任の先生が俺たちに話しかけてきた。
『早く席に付きなさい!』
先生に怒られると、耳元で話は後でしてあげると言われ凛は俺たちから離れて俺の隣の席についた。
ホームルームが終わり休憩時間中、クラスの人たちで凛の周りには人だかりが出来ていた、それを隣で見ていると
『凛、あの爆発で生きていたのか、今まで一体、何処にいたんだろうな?』
と亮介が首を傾げながら話しかけてきた、施設の爆発の際、俺は気を失っていて亮介が俺を担ぎ出してくれて、生き残った人は俺と亮介だけだと聞いていたから、正直に凛が生きていることは凄く嬉しかった
『そうだな本当によかった』
俺は涙が出るのを必死にこらえながら亮介とたわいもない話をした。
でも、今まで生きているのなら何処で何をしていたのか、病院の事件の件も凛が絡んでいるのか、その事だけが気になった。
昼休みになり俺と亮介は屋上に行き昼ご飯を食べる。
屋上には俺たち以外誰もいないから居心地がよかった。
昼ご飯を食べ終えた頃、丁度よく屋上の扉が開くと凛が屋上にやって来て、俺たちの方に歩いてきた。
『本当に久しぶりだね雪那、亮介』
俺たちに向かって凛が声を掛けてくると、俺は真剣な顔で質問をした。
凛が今まで何処にいたのか、病院での事件は凛にも関係あるのか、あの大きい鎌は何なのかを聞いた。
凛は、鎌の事を聞かれて、困った様な表情をして、亮介の方を向いた。
『雪那は施設の爆発のショックで記憶が曖昧になってて、実験の事を全然覚えてないんだ』
そう凛に説明すると亮介は、俺の方に体を向けた。
『俺、・・雪那に話してない事があるんだ』
亮介は申し訳なさそうな顔をして俺に話す、そんな亮介を見て
『気にしなくていいよ、お前の事だから俺を思って何も言わなかったんだろ?』
その言葉を聞いて亮介は安心した様な表情を浮かべた。
その後、二人から昔の実験と事件の事について説明をしてくれた。
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