幕間 [王様]ソフィア [メイド] ヒイロ [情報屋] ツバメ2
下のお二人方は何をやっているのでしょう?ま、そんな事よりも、何処に飛ばすかは……っと、郊外ですかね?
ツバメが見ている方向には国を覆い囲うように広がった砦の一つ先、ただただ草原が目に入っていた
決まれば後は飛ばすだけだ
自由落下を始めていた化け物だがまだ高さがある
先みたいに周りに気を使い、威力やら指向性やら、範囲やらを気にすることなど必要なし
右手の手首を前方に出し、左手の手で押さえる、押さえている部分に魔力を充填的に回す
風が身体を通り抜ける感覚に心地よく思う、風が身体の芯を巡る感覚にも襲われる
自身は風の中心にいる、触れたら指が吹き飛んでしまうような風が自身の周りぐるぐると回っている
実際にはそんなものは存在していない、私が今感じている感覚、魔力がイメージを湧きあがらせてくる
絵描きが筆を動かすとイメージが溢れだし絵が出来上がっていくように、風という魔術のイメージが溢れ出てくる
私は一つのイメージをする、莫大な台風を一つイメージする、草木は倒れ伏せ、木々は左右に触れ葉は地面に落ち、根っこは微かに持ち上げらえ、街は人々が家を締め切り、一切の生活音さえも遮ってしまうような風
その莫大な風を一つの球体に押し込める、今にもはじき飛びそうな力だ
それを現実に、私たちがいる世界に具現化させる
私の右の手が緑色に光り始める
自身の魔力で押さえつけ発動まで自ガンを遅らせる
っと化け物はどこでしょうか?
きょろきょろと見渡すと飛行している私のさらに上空に未だに自由落下していた
流石に飛ばしすぎましたね、もうちょっと手加減を加えるべきでしたか・・・まぁ高く飛ぶ分には困まる分はないですし別にいいですか
さてと・・・・・・・
一直線上に並んだ時に魔術を放てばいいだけですから、もう少しだけほんの少しだけ思考をする時間がありそうですね・・・・・
さてと、この化け物の何が目的かをちょっとばかり考えてみましょうか
まず第一に化け物についてですが、人を襲う習性があるらしいため、人の殺害でしょうか?
ソフィアさんが戦っていた路地は人通りが殆ど無いんですよね……
となると人の殺害ではあるでしょうが無差別的な殺害ではない
パッと屋根上に登って周りを見渡していましたが、周りには人1人すらいなかった…そのため化け物が召喚されたのはヒイロさん達が自分達で発動させた、術者が発動させたわけではない
そのため、ヒイロさんが勝手に発動させてしまっただけで召喚魔術?の発動条件が分からないんですよね
それに朝方聞いたルディアさんが襲われた黒いという類似点は捨てられませんねぇ、黒い化け物・・・さてはて現状襲われているのは私たちなんですよねぇ
おっとそろそろですね
すぐ目の上、首を動かせば視界に大きく映るほどに、影が私に覆いかぶさるほどに化け物が自由落下してきた
もう目の前まで来てますね、さて相性がいいと言いつつも風魔術を押さえつけるのは中々身体が凝りますからね
考える事なんて後でいくらでも出来ますし、今できる事をしましょうか
化け物の身体と私の視線が重なり合う、自由落下のためほんの一瞬、刹那の時だった
ここですね・・・
先みたいに周りに被害が出ないように化け物の身体に触れ威力を直接伝える必要すらないですし、パッとぶっ放しちゃいましょうか!
「バースト!!なーんてう言う必要もないんですが・・・」
緑色の光がより輝く、球体に封じ込めていた風の魔術を一気に開放する、ぐるんぐるんと魔力がうなる、魔力は身体をめぐり腕に行きつく、そして自身に巡り巡っていた魔力で一つの風が通り抜けるために道を作ってやる、目標地点は壁の外
開放した風の魔術は道をたどり爆速で進んでいく
大きな化け物を乗せても一切止まることもなく、滞ることもなく、一瞬たりとも止まることがなく
目標地点まで一直線、壁向こうまで爆速で運んでいった
「さて私の仕事はこれでお終いですかね、私にできることは風を操ることぐらいですし」
「怖くないか?」
私を抱えながら大きな黒い蝙蝠型の羽を広げながらソフィアが聞いてきた
そんなことはない、そばにソフィアが居れば怖い事なんて一切ない
私は笑顔で自身の気持ちをソフィアに伝える、頬を触れる風、空を見上げれば綺麗な雲が流れている、下を見れば人々が自身の意思で個別になすべき事を成している
「気持ちいですね」
「そうか・・・・」
「ソフィアさーん、壁の向こうに飛ばしましたよー、これで何かを気にして戦う必要もありませんのでさっさと倒しちゃってください」
翼もないのにふわふわと浮いているツバメがこちらに話しかけてきた
「あぁ!ご苦労様!だが後で被害に関しては請求するからな!!」
「そんなことしたら!!敵に寝返りますからね!!」
そのような小言を言い合いながら二人とも化け物が吹き飛ばされた方向へと飛んでいく
「ちょっとだけスピードを上げるぞ、舌を噛むから声出すなよ」
こくりと頷くと同時にソフィアは一段階スピードを上げた、空は台風の如く流れ、地面は滝のように流れていき目で終えたものではない
いや、速すぎる!怖い怖い!!いーーーや!!
スピードを上げた後、瞬で町の郊外についた、ソフィアはゆっくりとヒイロを降ろし、腰に携えている剣を抜く、もう片方の剣はいまだに化け物に突き刺さっている
周りは特に言うべきものはなく、あるものは飛ばされ空中から落とされた化け物だけだ
化け物は私たちが着いたところでちょうど良くむくりと起き上がる
ソフィアは瞬間的に動き出す、動きだした後には風が吹き荒れる
ソフィアは先まで街中にいたため全力が出せていなかった、それが良くわかる
ソフィアは化け物の片腕を閃光の刃で振りかぶり切りつける
ざしゅりと砂を刃で一線入れるかの音が鳴った後ぱつんと化け物の黒い腕が吹き飛ぶが嫌な音を立てながら伝面から新しい腕が生え始めていた
「んなぁ!どんな生物なんだよ!」
振りかぶった姿勢を瞬時に立て直し、刺さっていた剣を手に取り引っ張り抜き取り、ヒイロとツバメがいる場所に戻ってきた
化け物は腕の再生で動きを止めている
「・・・・・・・・・・・・・再生に動きを止めていますね」
ツバメは目に入っている状況を口に出す
「だから何だ?」
「再生に動きを止めている、っていう事はですね再生をすることができるが再生しかできないという事です、要するにあいつの再生能力はそこまで大したことありません、あくまでこれは予想ですが身体の1/20だけ残して、消し飛ばせば再生はできないのではないかと考えます、まぁ私にはできませんが」
「・・・あり得ますね、ツバメさんの言っていることは一理あると思います」
「・・・この中でできるのは・・ヒイロか・・できるか?アシストはする」
「ご命令であればどんなことでも叶えて見せますよ、ソフィア様」
本心から出た言葉、私はソフィアのためならばいくらでも、何でも叶えて見せる、この命が尽きてしまっても構わないと
「よし来た、腕は落とす」
「私もできる限りのことはしますよ」
ソフィアは最後の確認を取る、次で最後だという意思が感じられた、タイミング
「いけるか?」
ソフィアの真っ赤な目はこちらに視線を突き刺した、瞬で決める、これ以上長引いても仕方ないと言わんばかりで
「いけますよ」 「っは、いつでもどうぞ」
ソフィア、ツバメ、両者二人とも同時に動き出す、方やツバメは空を蹴り、空中を綺麗に滑空しながら化物に接近し、方やソフィアは地面を抉り、蹴り、化物に接近する、同時に確かめるように何度か空中で振りながら二本の剣を取り出す
私は魔術を唱え始める、忌々しい友人にこれは必要だろ?と半笑いのような顔で教わった魔術の一つ
そこまで難しい魔術ではないために詠唱はすぐさま完了する
ただの筋力増強だが友人が改良に改良を重ねたらしい魔術、身体は羽のように軽く、身体のそこからは力が湧いてくる
私の能力を使用するために先と同じように普段は止まっている時計をイメージをする、そのイメージの時計がすんなりと動くまで私は動きを止める、お二人方が化け物の動きを止めるまで
ソフィアは思考する
あぁ気分がわりぃと
だから私は剣を空中で振りその気分を断ち切る、今目の前のことだけに集中しないと痛い一撃を食らうだろうな
一歩先、目の上にはツバメが鳥のように飛んでいる、だから私は地を掛ける
化け物はこちらに気付きほぼ治りかけた腕の再生をやめ、攻撃態勢に移る、攻撃は単調避けるだけならさほど苦労はしないが、苦労しないだけである、体力はもちろん削られるし、こちらとて無尽蔵ではない
だからここで決める
ツバメの右手が緑輝いている、右腕に魔力を貯めているようだ
彼女は風の魔術を使う、何に使うのか分からないが風を貯めているんだったら私は感覚で合わせるだけだ
化け物の間合いに入った、単調だが素早い爪が飛んでくる、私自身、目に捉えられないわけではないが並大抵の人間だったら避けるのだって苦労するだろう
一瞬目の前が真っ暗になる、化け物の腕が目の前を通り過ぎた、要するに化け物攻撃を紙一重で交わす、爪がぶんという音を立てて地面を揺らした
偶然ではない、化け物が外したわけではない、私が紙一重で交わしたんだ
私はそれを逃さない、謎に硬い腕を切り落とす!
「ふーーーーっつ!」
跳躍、そして翼を使った急降下、身体を捻りながら、回転をつけながら、私自身が刃の車輪と化し、化け物の腕を切り落とす勢いで刃を振るう
ばちんとゴムが弾けるような音を立てながら地面に横たわっていた腕を切り落とす
間髪入れずに真上から声が聞こえてくる
「ソフィアさん避けてくださいね?」
三半規管がぐるぐると回され、少しふらついたがすぐさま飛び退く
嫌な予感がした
くそが!こちとら身体使って腕一本落としているんだぞ!
飛び退いた瞬間にツバメの手から魔術が放たれる、黒くよどんだ可視化できるほどに真っ黒な風が飛び出してきた、その風は化け物を真上から構想する風だった、だがただそれだけの風、触れたところで何も害はない風だが中に入るとたちまち動けなくなる風
「ふふん、どうですか?」
「もっとタイミングを考えやがれ」
時が来ました、自身の時計が今にも動き出しそうである、あの二人がここまで場を整えてくれました
未来の私は必ず成功させる、そのような予感が、私の直感が私自身に語り掛けている
私の技能、いうなればスキル、能力だがあまりにも瞬間で終わる、化け物の状態は拘束されている、必中
今場内の倉庫内にある武器の中で使えるもの、この化け物を大方吹っ飛ばせるものを頭の中で思い浮かべる
いくつかの武器を思い浮かべるが鉄やらの武器は当然ですが無理ですね
あーと・・・あれだったらどうでしょうか?
私は武器庫の片隅にある一つの大きな槍を思い浮かべる、爆撃槍、そんなものがありましたね
名前の通りの爆発で攻撃する槍、相手に突き刺した瞬間に爆発する代物
ただし爆発するという使用上どうしても慎重に扱わなければならなず、かつその槍の身体は3mほどある、そう考えると武器庫の奥底に眠っていても仕方ないのですが
それにこの武器庫も私とソフィアぐらいしか使わないですし、今使っちゃいましょうか
さぁ処刑の時間です
私は自身のイメージの中に存在している、時計の針をこつりと一歩進め、パチンと指を鳴らす
次の瞬間には大きな大きな化け物の口に槍がねじ込まれる、貫かれる
爆発の威力はお墨付き、ある糞みたいな友人が見た結果、爆発の威力はクレータが大きくできるほどだと
キュイーーンと甲高い音が鳴り響くと同時に槍も光り輝いていく、最初は淡い光だったが、音が大きくなっていくにつれ輝きが増していく
化け物を直視できないほどの光が溢れだしたところで私はソフィアに抱えられた
「ちょっと離れるぞ!!」
そういうと同時に、全ての音がなくなった、私が動く音、土を踏む音、草木が揺れる音、愛しのソフィアの息遣い、風の音色、そのほとんどが瞬間的に消え去った
光は一瞬化け物の口の中に突き刺さっている槍に収縮した後に大規模に周囲を巻き込むほどの光を放出した
ソフィアは私を抱えながら光に追いつかれながら、だけど爆風よりも早く真っ黒な翼を広げ空へと逃げた
予想外、その一言だった
ソフィアに抱えられた私は空から爆発跡を眺める、化け物とは大体10mほど離れていたにもかかわらず、私がいた場所までしっかりと爆発で抉れている、ちょっと吃驚した
頭上から人の気配がしてソフィアに片腕で腹を抱えられている、誰もが羨ましがるであろう状況で気配の存在に目を向ける
「ちょっとは!!私の!!心配をしてくださいよ!!一言声を掛けるとかね!!あるでしょう!?ってなんでそんな見っともない格好でそんなキリっと下顔できるですかねぇヒイロさんは・・・・・」
「みっとも・・・ない?」
どの辺が見っともないのだろうか?皆目見当がつかない
「まぁお前のことだから別段心配ないだろうって思っただけだ」
「うちの王様は大雑把出すねぇ本当に・・・っと予想通りですね、といううかここまで跡形もなく吹っ飛ばせば誰でも再生なんてできないでしょうに」
「それもそうだな、ったくここまで大きな爆発が起きるなんて思いもよらなかったな、あの国は本当に良い武器を作る」
私は地面に卸されてしまった、もっと・・・・持ってもらえても良かったのに
私はメイド服に着いた塵やら砂を手で払らう
「さてと、ツバメ、先の化け物については何か分かるか?」
「そうですね、言えることは数少ないですね・・・そもそも判断材料が少ないですし、他の、私が持っている情報と照らし合わせても類似するもの、関連があるもは少ないですし、ただ化け物は魔術から生み出されたものだとすると・・あぁ呼び出された者でも良いですが、ここまで戦闘力があるのを呼び出すのは中々の莫大な魔力が必要であると考えられます」
「だから何なんだ?」
「個人だけでこの化け物を召喚したとは考えずらいんですよね、考えられるのはグループ、団体、そのあたりですかね」
「ふむ、ヒイロ、ツバメが言ったようなグループに何か心当たりはあるか?」
「いえ、ありませんね、私が把握している団体の中で魔術に突出している団体はおりませんし、個人でもいないと思われます」
「だったら外部からはどうでしょうか?他の国からの刺客なんてことは?」
「いや、そんなものが来ているんだったら私が真っ先に気付くはずだ、だから内部の人間だと思うんだが・・・」
「ふむふむふむ、ま、ここでうだうだ考えても出るもんも出ませんし、私はこれにて」
そう言って、高く早く飛ぶ姿勢を見せたツバメの服をソフィアはすぐさま掴み、引き留める
ぐぇと汚い声を鳴らし、前傾姿勢でツバメは止まった
「な、なんですか~~」
「既に何かしらのこと勘ずいているだろ?・・・はぁまぁ何かしら分かったら教えてくれ金は払うから」
ソフィアは諦めたように手を離す、これ以上ここにツバメを引き留めたとしても、情報は絶対に渡さないだろうし、曖昧な情報は話さないだろう
「しっかりと私のことを理解してくれていて嬉しいですよソフィアさん、それではまた~」
俊足、彼女は音もなく、風だけを残して大空へと飛んでいった、その様子はまさしく鳥だった、鳥が空という海を泳ぐようにツバメもまた空を自由に駆け抜けてすでに姿が小さくなっていった
「さてと、ヒイロ私たちも戻るか」
「良いのですか?」
「・・いいさ、時間がきっと解決してくれるだろうさ」
「そうですか、では帰りましょうか」
「うむ!」
ソフィアは綺麗な笑顔でこちらに頷いてくれた、一生守り抜きたい笑顔が其処にあった、何度も見ていたい笑顔が其処にあった、隣にいて安心する笑顔だった
私たちは岐路につく、騒がしくて一人でも立っていられる国に
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