幕間 [王様]ソフィア [メイド] ヒイロ [情報屋] ツバメ1
アルとルディアと話し別れてから歩き続けて元居た大通りから離れていく、ソフィアは人が少ない路地裏に入ってく、周りにいた生活を営んでいる人たちも少しずつ減っていく
自身が尊敬する主人の一歩後ろを歩きながら思考する
「どうしたんだヒイロ?」
主人は私が悩んでいることに気づいたのか歩いていた所立ち止まり後ろを振り返る
私の主ソフィアの茶色い長い髪が綺麗に左右に揺れる、
そのお姿に私は毎度見惚れる、人間よりも少しだけ長い耳に、口から覗き見える尖った小さい歯、真っ赤に燃え盛る紅い赤い目
じゅあなかった、見惚れている場合でない
私の愛しのソフィアが私のことを心配してくれてる、うぅん何て素晴らしい日なんでしょう
「・・先ほどにお会いした、ルディア様にかけたお言葉の意味を考えておりました」
「・・・・勘だよ、勘だ、良く当たるだろう?」
私に向けて、ソフィアは赤い目をパチリと一つウインクして見せ
~~~んんん!あぁあぁ何てかわいい、可愛すぎる!吐きそう
それよりもソフィアの勘に関しては良く当たる、これはソフィアの能力などではない、ただの生物としての勘らしい、本人が言ってた
「そうですね、ソフィア様が勘を外したところは見たことがございません」
「だろ~ふふん」
少しだけ小さき主は気分が良くなり足が軽やかになる、私もソフィアの一歩後ろを歩き始める
「今回はどんな御用件で外に外出したんですが」
「んー今日は何も特段用事なんてないぞ・・・・そうだな、強いて言うんなら何か違和感があったんだ」
「違和感ですか?」
「そう、空気に、この国全体に流れる空気が何かしら可笑しい気がするんだ、でも分かったやっぱりだ」
何もない、ある一点を指を指す、そこには当たり前だが隅々まで注意深く見ても、違和感あるものは何もなかった
「魔術?いやこれは現象か?ふーむ」
「すいません、ソフィア様・・・わたくしには何が起こっているのか把握できないのですが」
ソフィアには何が見えているのだろうか?
「おやおやおや、お二人さん何をしてるんですか?」
突如として空から声が降ってきた、声がしてきた方に目を向ける、空を浮かんでいる少女がそこにいた
少しだけ大きな茶色の帽子を被っている女性、顔に少しだけ幼さを残し、黒い髪の毛を持ち
手にはメモ帳、腰に剣を携えており、剣には一羽、綺麗な鳥の装飾がなされている
情報屋のツバメがそこにいた
「お!情報屋か!いいところに」
「な、なんですか、いきなりそんなテンションだと私の気が狂いますよ?置いてけぼりですよ?」
「お前の気なんて知ったこっちゃないが手を貸せ」
「手を貸す?何をですか?」
「まぁこれから少しばかり面白そうなことが起こりそうだからな」
ツバメはあたりをきょろきょろと見渡す、だが当たり前だが、この裏路地には何かあるわけがない、というか何もない
「ヒイロ!指したところに使え」
ソフィアが指した場所に自身の能力を使い瞬間移動する、そしてソフィアが指を指した場所に正確に手を触れる
「はっはっは、何かしら私の生存本能が逃げろと仰ってるので今日はこの辺で・・ぐぇ」
ツバメはさわやかな顔で一言告げると、足元に風を纏い、ここから離脱しようとするが
「おいおい、つれないこと言うなよ~」
ソフィアはギラリと口を笑かし、可愛らしい顔をいたずらを企んでいるような顔を見せながら、ツバメが逃げようとするところソフィアはツバメの肩に手を回す、がっちりとホールドし逃げられないように抑え込んでいるようだった
「ソフィア様?いいですか?」
「あぁやってくれ」
じたばたとソフィアの腕か逃げようとするが、ソフィアも逃がさまいと本気で力入れ始める、ソフィアは満面の笑みだった
「悪魔めーー!」
「はーっはっは!悪魔で結構!てか私は生粋の吸血鬼だ」
「来きますよ!」
私はすぐさま能力を使い元居た場所から離れ、ソフィアの一歩後ろへと下がった
現象?・・魔術?はすぐさま能力によって発動する
能力を使ってるときにすごく嫌な感じがした、言葉にはできないが、おぞましい、嫌悪感を呼び起こすような・・・・そんな嫌な思いがした
私はすぐさま弓を構える
二人はまだじゃれ合ってる、可愛らしい
だがその様子をずっと眺めているわけにはいかなくなった、私が先まで手を置き能力を使ったところに黒い実態がゆらゆらと二本の巨大な足がゆっくりと実体化していた
巨大な足が現れたところでツバメとソフィアはじゃれ合いをやめた
私たちはそれをただただ眺めるしかなかった、何をしてくるかは分からない、友好的な存在かもしれない、敵対的な存在でも、その存在がどんな手を使ってくるのかが全く分からない
だからこそ動けない
姿が完全に表れるまで時間はかからなかった
ぱっと姿を簡単に眺めてみるよ、それはただただ巨大だった、真っ黒な巨人、体長は大方3m後半からから4mほど、人型の形をとっている、真っ黒い手には鋭利な爪が血ている、大方人間の形をとっているが、本来、顔がある部分には顔がない、というか首がない
他に追記することがあれば胸辺りに大きな大きな口が付いている
「あれは何ですか?ソフィアさんの眷属か何かですか?」
「あんな趣味が悪いのを眷属にするわけないだろ」
「そーですよね・・でこれは?」
「情報屋が聞いてあきれるなぁ!」
「あー!私でもなんでも知ってるわけないでしょう!地道にこつこつと情報を集めているんですよ!!こー血を滲むような努力をしてですね、まぁーたく今後、情報一つあたりの金額を引きあげますよ!?」
「っは!」
「あー!鼻で笑いましたね!本気で引き上げますよ!」
「ちょっとお二人ともそんな無駄話してないで前の化け物に集中してください」
「わーそんな!?そんなって言いましたか!?」
「ヒイロに怒られてやんのってうわぁ!!」
化け物が急速に動き始める、大きな爪がソフィアに振りかざされるがぎりぎりの所で身体を地面と水平に跳び危なげに避ける
だがソフィアも自身の身体能力を遺憾発揮し瞬時に体制を立て直す
だが振りかざされるだけでは終わらない、化け物はソフィアを追いかけるように壁を削りながら長い腕を振り上げる
それすらも無傷に避けるが
腕が鞭のように何度も何度もソフィアに致命傷を与えようと迫りくる
「わぁわぁわぁ!!なんでなーんで!」
「下がってください!援護します!!」
「はぁーーいい気味ですね」
「くっそぉ後で覚えておけよ!てか!いつ逃げたのさ!!わぁぁぁ!」
私もツバメの位置を確認する、いつの間にか完全なる安全圏の屋根の上にいた
私が一瞬だけツバメの位置を確認している間もソフィアは器用に喋りながら攻撃を華麗に避けていく
どうにかして体制を整える時間を稼いであげないと・・・・
私は弓を引き、化け物に照準を合わせ、自身の「能力」を上乗せさせて一本の矢を撃ち放つ
狙いたがわずにソフィアの頭上を通過した後に後ろで猛攻を振るっている化け物に一本だけ胸辺りに大きな大きな口、口内に突き刺さる
が突き刺さった瞬間に、私の能力によって化け物の至る場所、足、腕、全ての個所に矢が突き刺さった状態で出現する
猛攻は一時的に止まる、化け物の身体に刺さった矢に関してはいくつか貫いている、
「やったか!?」
「なぁなぁなぁ!なんで屋根上にいるお前が言うの!?なんもやってないじゃん!!」
「っは!」
ソフィアはツバメに文句を言うが飄々とツバメはソフィアの言葉を受け流し、ついでに鼻で笑う
私は二人の言い合いを流し、化け物に注視していた
化け物は少しだけ動きを止めただけだった
だが私も矢を突き刺しただけで止まるとは思っていないソフィアの体制を整えられれば良いぐらいだと思っていたが早すぎる
犬のようにぶるりぶるりと身体を揺らし身体に刺さっていた矢を振り下ろす
「あ!ほら動きますよ、ほらほら」
「嬉々として言うなよ!あーあーあ町壊れるなぁ、つーかそろそろ考えないと住人に被害が出るな」
ソフィアは腰に携えていた二刀の剣を取り出す
片方の剣は剣身には赤い鳥の翼のように見える模様がある、真っ赤な剣 「ヒイロ」
もう片方の剣には剣身に桜色の綺麗な模様がある 桜色の剣 「アオゾラ」
青い空から降る光によって綺麗に剣が片方は真っ赤に、片方は桜色に輝く
さてどうしたものか・・・・弓は深々と刺さっている所は刺さっているがやはり浅く刺さっている所はぽろぽろと落ちてしまっているだが化け物は弓など一切気にしない動作で動き出している
痛覚などなし、生命なのか怪しいな・・・・
「ツバメ、そろそろ冗談抜きで真面目に対処するぞ、てか真面目に対処しろ、考えはあるか?」
「・・・・・・はぁ。・・・・そうですね、先ずは場所を変えましょうか、そろそろ・・・っとほら」
指を指した方を見ると、片手にバケットを持ち、もう片手にはちいさい子どもの手を握った親子がいた、がばけものを視界に収めると親の方はぺたんと恐怖のあまり座り込んでしまっている、ついでに声が出ずに口をパクパクと動かしている、だが子供を守ろうと必死に抱きしめていた
当たり前だがここはあくまで人通りが少ないだけだ、完全に誰一人として通らないわけではない、時間が経てば誰かしらは通行する可能性だってあるだろう
化け物もそれに気配、音?何に気付いたのかは分からないがぐるりとUターンし猪の如く突撃し、親子に目標を定め、化け物の長い長い鞭のような腕が襲い掛かる
私親子を守るために瞬時に足を動かすが、隣から風の如く黒い塊が親子の方に向かっていくのが見えた、思わずその姿に見惚れえて足を止めてしまう
それはソフィアだった、服に隠されていた自身の真っ黒な蝙蝠のような翼を広げ、地面すれすれで低空飛行をし、瞬時に親子と化け物の間に割って入る
化け物はソフィアが間に入ったことに気にせずに鞭の如く高速で振りかぶるが化け物の腕を真正面から二本の剣で受け止めるが化け物も負けじと腕に力を入れ押しつぶそうとする
二本の剣と化け物の腕はどちらも一歩も譲らずに一進一退の攻防を見せるがその中でもシャルルは歯を食いしばりながら声を出し指示を飛ばす
「ヒイロ!能力使ってそこの二人を家まで返せ!!」
「はい!」
私は止まっていた足を動かし、親子達に触れ、自身の能力を使用する
「すいません、少しだけ驚くでしょうが落ち着いてください、文句などは後々聞きますので」
母親は恐怖で言葉が上手い具合に理解できていなかったようだが、シャルルが引き付けている間に送り返さないと・・驚くことは承知で自身の能力を使用する
能力のトリガー、実際に自身の中にあるわけではないが能力を使用する際には自身の空想上の時計を意識する、普段は止まっている秒針を強引に進める、かちりと時計が動く
能力が発動した、と同時に先までいた親子がパッと風船が弾けるように一瞬で消えた、確認はできていないが家には帰れているだろう
多少なりの脱力感、疲労感が身体に押し寄せてくるが無視する、一々そんなものに気を回していてもこの状況を打破できるわけではない
私は援護するために化け物とソフィアの攻防を目に移す
自身の数倍大きい相手に力負けせず、二本の剣で一つの被弾もなく捌いているがどうにも上手くいってない
化け物は図体が大きくかつパワーがあるのにも関わらず、スピードすらも兼ね備えている、化け物が腕を振るうと建造物に深い深い爪痕が入る
建造物がミシっと嫌な音を立てる、あまり人が住んでいない地区だが国自体に被害が出るのは余り良くないだろう
「さて、ソフィアさん、化け物を飛ばす手段は?」
「ないに!・・決まってんだろ!」
ソフィアは二本の剣で捌きつつ応答する
「ではではでは、そいつの態勢崩して上空に打ち上げてください、後はこちらがやります」
ふざけている様な、少しおちょくっている様な声だったが言葉の奥の奥に一つの芯があるようなツバメの返事だった、何かしっかりとした策があるようだった
私も何か助けられる場面があればいいのだが・・・どうにもこうにも手を出せない、ここら一帯破壊して良いのならやれるのだけども・・・
まぁ無理よね、ツバメに任せるしかないわね
そんなことを考えながら目の前の戦闘を見守った
「いつから始めればいい!!」
「いつでもどうぞ~」
ソフィアは優雅ではない物の、戦闘技術の高さを見せつけ化け物からの攻撃を全て避けていたがツバメの声を聞いてスタイル変える
化け物は相変わらずに同じように繰り返すように鋭いかぎ爪が振り下ろされる、何度目だろうか
ソフィアは避けるのではなく片方の剣で化け物の攻撃を受け止める、化け物の手よりも剣の鋭さがほんの少しだけ勝ち剣が化け物の手に沈む
だがバッサリと切り落とせるわけではなく、剣は化け物の手の途中で止まる
ソフィアはパっと腕を離し、もう一刀の剣を瞬時にしまい、壁に向かって全速力の目にもの見えないスピードで走り、壁を蹴りかつ羽を使い大きな跳躍を見せる
化け物はその動きに翻弄される、目の前にいた存在が、敵対していた存在が消えた
目という器官があるわけではない身体を左右に揺らしソフィアの存在を探している
「上だよ馬鹿が」
化け物の真上からソフィアは声を届ける、大きな蝙蝠がたの翼を広げ、吸血鬼に似合わない太陽をバックにして
「がぁぁぁ!」
大きな掛け声と共にソフィアはくるり、くるりと空中で高速に回り勢いをつけ、その勢いを乗せ化け物の頭上から拳を振るう
化け物はソフィアの拳の重さから逃げるように体制が前のめりになる、がソフィアはすぐさま化け物の腹に回り込む
ぐっと一瞬拳を構え、ほんの一瞬だけ力を貯めた後に化け物の腹めがけて拳を振るった
化け物はバウンと一瞬力を強制的に貯められた後に風船から空気が抜けるように真っすぐに空中に浮かぶ、一定以上飛んだところで化け物が自由落下を始める
「やったぞ!!ツバメ!!」
「はいはい~」
そのようにツバメが言うと屋根の上に乗っかっていつまでもぐうたらと喋っていたツバメが動き出した、ソフィアみたいに飛べる翼があるわけでもないのに、ソフィアに負けないスピードで地面スレスレを滑空し空中に浮いていた化け物の腹に潜り込み
化け物の腹ににぴたりと手をつける
ツバメは化け物に向かってにやりと笑みを浮かべ、化け物腹にぴたりとついている手が仄かに黄緑色に光った後すぐに化け物が真上に強引に引っ張られるように、ツバメの手から放たれた風によって、ぐいんと一瞬で地面から距離を離された
強力な魔術によって、化け物を軽々と上げたのに対して建物が崩壊するほどの風は周りに発生はしなかったが、
やはりと言うべきが立っているほどもやっとの風が押し寄せる
足を持っていかれ壁に打ち付けられるところだったが後ろからソフィアに支えられた
ツバメを恨むところだったがグッジョブ、ツバメ
「すまんな、ちょっと手を回すぞ」
「えっ、あっはい」
小さい身体ながら後ろからギュと私の身体を抱き寄せる
その行為に胸が一杯になる思いだが、私の背中にぴたりとソフィアがくっ付いたのだ、そうそれが意味することはただ一つ!!
ソフィアの小さいながらもしっかりと存在を意義する二つの小ぶりな小山が私の背中に存在を主張してくる
あぁ良いですね、ふふふふ
嬉しさのあまり、顔がぐにゃりと溶け始める、いかんいかんと顔を普段どうりに保とうとしてもどうしてもにやけてしまう
「大丈夫か?身体がやけに強張っているようだけど……ごめんな、こんな危ないことに巻き込んでしまって…」
「えっ!あっ、いえ、大丈夫ですよ、あんな化け物ぐらいはいくらでも相手できますし、ソフィア様の側に居られるのであれば私はそれだけで幸せですので」
一瞬で顔を戻して、振り返り、精一杯の笑顔を見せる
言えない、ソフィアの小ぶりな胸を堪能するために背中に力を入れていたなんて……口が裂けても言えない
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