幕間 [魔道具店の店主]アルストロメリア [アルの友人]ルド2
目の前の化け物たちを見てみる、大きさはレストランで出会ったものよりも一回り小さく、例えてみると平均的な成人男性の背丈はあるだろう、だが他の黒い人型たちが全員均一に同じ大きさというわけでもなく、個体差が出ている
一回りだけ大きい奴ももいれば、一回り小さい奴なんてのもいた
まぁそんなことはどうでもいい、不幸中の幸いなのかどうなのか分からないが周りに人がいない
ルドと私だけだだったらなおさら都合がいいな
「我が杖を私の腕に収りたまえ」
魔力によるブーストで詠唱を簡略化し、空っぽの手の中にぱっと瞬間移動した杖を握る
ルドは一歩も動かない、相手の出方を伺っているのか、どうなのか分からない、てかこいつの考えている事なんて分かるわけがない
誰一人として動かないんだったら、私から動こうじゃないか
「光の魔法!」
詠唱を簡略化、魔力を大部分使用し魔法を行使する、杖に光の魔法を行使、文字道理に光を使う魔法
杖の先端から光線を永続的にまとわり使える、要するに刀の部分が高熱の光の長刀だ
「空間の連続性の否定」
跳躍と同時に瞬時に黒い化け物たちの真ん中に瞬間移動し突っ込む、空中からの奇襲、複数いる化け物一体に対して狙いを定め頭から振り下ろす
肉が焦げる音とともに真っ二つに裂けた、足が地面へとついた瞬間に隣にいた化け物に対して横に杖を振る、気持ちいぐらいに素直に使えることなく真っすぐに横に薙ぎ払う、瞬時に体制を立て直し、その直後に空間の連続性の否定を使用、ルドの隣へとぱっと移動する
切り裂けれた黒い人型は崩れ地に吸収されるかの如く消え去ったが、新しい黒い人型がにょきにょきと地面から湧き出てきた
めんどくせぇな・・・・
「さぁてとどうしたもんだ?お前は動かないんか?」
「動くわよ、はぁ、簡単に動ける体じゃないのあなた知ってるでしょ?」
と言いながら、手を地面に貼り付ける
「縛り上げろ」
ルドは静かに声を出す、あぁなんか懐かしい
地面が生物の鼓動のようにうねりを上げる、地面が水のように暴れだす、ぼこぼこと地面を這いずり回りながら化け物の中央に姿を現した
二注の生命の色を感じさせる、濃く濃すぎる色を持った植物が姿を現した、その植物は生物のように意思があるようにうねりうねりと動き、一瞬だけぴたりと止まった後に黒い人型に向かって先端を伸ばす
目にも止まらない速さだった、てか分からん、いつの間にか黒い人型を掴んでいた
掴んだ直後に草、いや草の形をした触手は黒い人型をぎりぎりとねじり切る生き良いで締め上げる
人型からは案の定嫌な音が鳴り響く、だがその音も長くは続かなかった、鈍い音バギっと音が鳴った後に胴体を真っ二つにした
草の形をした触手はおもちゃに飽きたように真っ二つになった胴体の上をポイっと空中に捨てる
「手動?」
「自動よ、次の攻撃に移行してるけど‥‥案外強いわね」
私は目の前の光景に目を移すが人型たちは不意を突かれただけですでに対処していた、いつの間にか、自身の手に持っていた刀でルドが作成した植物を討伐していた
人型たちはぎろりとこちらを見つめている・・・・気がする
「あいつらはエネルギーの塊よね?多分・・・そうと分かれば話は簡単だけどねぇ、元が・・」
「んぁ?いきなりどうした、てかそろそろ動かないと・・・ほわぁ!」
私めがけて黒い人型が飛んできた、それをぎりぎりの所で避ける
びっくりして変な声が出たじゃないか、全くもう
地面と平行して次の黒い人が飛んでくる
空間の連続性の否定を使用して空中へ避難する、だが違う黒い人型が跳躍し空中まで追ってきた
「どこまで追ってくるんだよ!」
火の魔法を使用、対象 黒い人型 威力 大胆に瞬間的に火力を出す
もう一度空間の連続性の否定を使用、迫ってきた黒い人型の下に潜り込み、空中に向かい杖から断続的に続く炎を出す、それは言い表すのならば綺麗な花火であり、夜空から落ちる流星の如く、自身共々落下しながら青い空へ向けて炎を出し続ける
3、4秒間放った後に炎を止める、炎の中からはぷすぷすと音を立てながら黒い人型がより黒くなり、空中分解しながら落ちていった
上空から地面を見下ろす、ポコポコと同じような人型が乱雑に生成され続けている、ルドは植物を自在に操り、近づいてきた人型をちぎっては投げちぎっては投げを繰り返していた、先に切り刻まれた植物がもう一度出現し右往左往に暴力を振り回している
便利な魔法空間の連続性の否定を使用してルドの隣に瞬間移動する
「ルド―なんかどうにかならないかー」
「どうにもこうにもこいつらの元、出現している門か魔法陣か知らないけどそれどうにかしないと」
「分かった探してみるぜ」
私はそうルドに伝えると探知魔術「魔術の足跡」を使用する
「さぁ足跡たちを、魔力たちよ、わが眼の前にてその姿を表したまえ、その姿においての汝は何処へと歩いていく、その魔力は何処に帰還する、その魔力は如何なる変貌をするのであろうか、さぁさぁさぁ私に全を見せたまえ」
自身の魔力を使用して長ったらしい詠唱を一部飛ばす、自身の魔力が何かに引っ張られる感覚に陥るがそれをすんなりと受け入れ、許諾し自身の魔力の一部を差し出す
魔術の足跡は消費魔力はあまり多くはないがそれでも魔力という名の力が抜け落ちる
「魔術の足跡」周囲に存在している魔術を探知するだけの魔術、発動している魔術の効果や見た目などは分からずに発動している場所、魔術が何かしらの効果を及ぼしているという点だけ分かる魔術 これに関してはあんまり使い道はないがな
私は目を閉じ魔術から入ってくる情報だけを得ようとする
頭の中にぼんやりと魔術からの情報が入ってくる、今まで目から入ってきた情報を思い浮かべながら、魔術からの情報を組み合わせる、ぼんやりとあまりにもか細く、曖昧だが道となっている物を意識を集中して追う
追って、手繰り寄せて、必死に見つける
あぁあった、地面に小さく、小さく、元の魔術があった、それも地面の奥底に一つの魔術、これが黒い人型を生み出している元なのだろう
さてどうしたもんか、ここら一帯に大きな穴を作ってもいいんだが・・・だめだよな・・・?
だがそれよりも奇妙、いや驚きの方が勝った、私の家を覆うように大きく円状に何かこのあたり一帯に魔術が展開している
良くもまぁこんなのを展開できたもんだ・・・・
「ふむ」
「どうしたのよ?見つかった?」
ルドが平然と黙々と人型を植物で押さえつけ、引きちぎり、投げ飛ばし、周囲の建物に被害を一切出さずに淡々とこなしながら、こちらに話しかける
だが量が量だ、植物たちを抜けて黒い人影が近接戦闘を仕掛けてくるがルドは軽々と綺麗に回し蹴りをみせ、黒い人影を地面に組み伏せる
「で?」
「あぁあったぜ、地面の下、だが結構深いな、詳しい場所は化け物たちのド真ん中あたりに複数個かな」
「・・・・・おーけー分かったわ」
そういい、ルドはあたり一帯の魔力を吸い上げる、ルドを中心とし渦を巻きあげながら集まっていく、何かしらやるらしい
私は特段やることがないのでルドの隣で胡坐をかき、疲れたので顎に手を置きながら戦闘を見守ることにした
「さてと、って、とりゃぁ!」
されど魔力を集めている間も黒い人型は寄ってくる、そいつら‥‥近づいてくる敵、黒い人型を蹴とばし地面に埋めていく
器用なもんだ、魔力を集めて、なおかつ敵を撃退して、よーやるわ全く
「さてさて、ここら辺一帯の魔力使って作る最強の植物よ!一から作るから中々時間かかっちゃったじゃない」
ルドは莫大な魔力を消費し、開放する、ルドの中で燻り荒ぶり、それは一種の嵐の中のように魔力は荒れ狂う
だがそれも一瞬、魔力は収まり、一つに固まる
ルドからは生命を与える光が伸び、魔力と重なり、一つの生命を形作る
三つの頭を持ったヒュドラのような植物だった、地面から植物の太い茎が伸びてきており、それは途中から三つに分かれている、別れた先端には大きな球体がそれぞれついていおり、固い鉄でも砕いてしまいそうな鋭利な口がついているが、周囲を見渡すような目はなく、鼻なんて物もない、ゆらゆらと動物のように揺れている
「食っちゃいなさいな」
ルドが声を発する、それに応えるかの如く植物は動き出す、地面を這い、黒い人型たちに近づき大きく頭を開き、人型を貪り食う、豪快に、大胆に、周りの建物一切被害をださずに人型のみを食べ続ける
一定以上まで人型を食べた植物はぴたりと動きを止め、植物の両腕はあたりの光を吸収し始める、ぐんぐんと植物の腕は光のエネルギーを大きくため込み肥大化する、ぼこぼこと大きくため込んだそれは針の如く細い細い光の矢、一本が高速の弾丸の如く放たれる
その光の矢は地面の一点めがけて飛んでいく、そこには何もない、ただただ少なくなった人型たちがいた地面目掛けて飛んでいく
何かを目指すように、一点を目指す
地面と触れ、豆腐に針を刺すかの如く地面にすっぽりと何も壊すことなく、耕すこともなく、するりと高速で入っていく
その後すぐに何かが、パキンと小さかったが確実に耳に届いた
「破壊したわ、後はここらに残ってる有象無象を・・・・・・って早いわね」
私は言われるよりも早く身体が動いていた、空間の連続性の否定を使用、敵ど真ん中に移動
「わーはっは!わらわら虫みたいに湧いてきやがって!本当にお前らは誰からの差し金なんだか・・・ま、どうでもいいか」
内側から際限なく溢れ出てくる魔力を使い形作る、イメージするのは氷の世界、真っ白な世界、床すらも真っ白、凍てつく全てが凍る世界、生き物一つ、生きることを許さない絶対的な氷結世界、その中に黒い人型がいる
イメージをし、イメージを膨らませ、一ミリでもある可能性を無限大にする、引っ張り出す
魔力を紡ぎ、無限大に膨らませたイメージを開放する
「氷結の魔法」
イメージが目に映っている世界を塗り替える、自身が膨らませたイメージ道理に現実世界を侵食させる
アルの周り、アルを中心に、家の壁、黒い人型、舗装された地面、至る所が瞬時に凍る
瞬時に凍ったため、人型が反応できる速度ではなかったらしい、誰一人逃れることなく凍っていた
「はい、終わりっと」
「あんたねぇ、ここにいる奴らどうするのよ」
「ふふん、見とけよぉ~」
私はパチンと指を一つ鳴らす、鳴らしたのを引き金に白い世界はがれきの如く崩壊を始める、パキン、ぱきんという音を鳴らしながら黒い人型も粉々に飛び散霧散していく
「ほぉら綺麗だろ?」
「ふむ、私を楽しませる点においては65点ね」
「人の行動に勝手に点数をつけるんじゃねぇ!」
少し笑いながら返事を返す、この距離感が私は好きだ
「さてと、どうする?夕飯でも食ってくか?」
一瞬で終わったがもう夜空を見てみると日は完全に落ち、一面にばらばらっと散った星空が一番の輝きは私だと言わんばかりにきらきらと光っていた
「そうねぇ・・・うん、食べていくわ悪いわね」
ルドの言葉にこくんと頷き、扉を開き中に入るように促す
もう夜だ、そろそろルディアも帰ってくるだろう
そんなことを考えてきた時に路地の角からひょこりとルディアが出てきた、大きな買い物かごに様々な食材を詰め込んで
「あれ?何かあったんですか、アルさんが外に用事なんてってか寒」
ルディアは可愛らしい仕草でぶるりと身体を震わした
氷自体は消えたが寒さが消えたわけではない、今、この辺りは中々の気温になっている事だろう
私とルドは魔力使って動いていたから全然、感じなかったな
「む?私だって外に出るさ」
「あら、ルディアちゃん、お邪魔してるわよー」
店の中に入っていたルドがくるりと振り返り、ルディアに一言かける
「あぁルドさん、すいません、助けてもらったお礼をしたかったのですが・・・森に入るを少し躊躇ってしまって・・・・」
ルドは何か身震いを始めた
何だと思ったが、あぁこれはあれだ、感動しているな、まぁ何となくだが
「んんーそんなこと良いのよー全くかわいい子ね・・・・うりるりー」
ルドは自慢の身体能力で近寄り、ルディアを抱きかかえ頭をなで始めた
「な、なんですか?嬉しいですけど少しだけ恥ずかしいです・・」
ルディアは少しだけ困惑していたが、ルドに抱きかかえられたルディアはなんだか嬉しそうだった
すっぽりと収まったルディアは小動物のように見えてとても可愛らしかった
「もう!本当に可愛いんだから!!もうもう」
「はいはい、どうでもいいから家の中に二人とも入ってくれ、私も少しだけ寒くなってきたんだ、それにそろそろ夕飯を食べようぜ?」
そう言い二人、正確には一人がもう一人を抱え、ドアを潜ってもらった
外に誰もいないのを確認してからドアを閉じる
ドアをゆっくりと閉じながらふと気づいた、いつの間にか私の魔道具店の周りに張ってあった結界が消滅していることに
だったら何だったのだろうか?
様々な仮説が脳裏を過ぎる、一つ一つに魔術を使う理由というもは存在する、存在価値の魔術はなく、魔術を使うならば、使うための理由は必要だ
何か行動を妨害するものだったのか?いや違うだろう、私とルドは何か妨害されていたわけでもなし、妨害されているのだったら、それこそ致命的な妨害をするだろう、だから違うと言えるはずだ
だったら・・・・・・・・・・でも・・・・・・・・これも違うな・・・
これは・・・・・それも違う・・・・・・・・・
・・・・・ここまで大きな戦闘を起こしても誰一人としてここを通らないのはおかしいよな
人を払う?結界か・・・それが・・一番あり得るか?
何故だ?・・・目撃者を増やしたくなかったのか?それとも応援を呼ばさないためか?
ん?でも?見る?魔術も入ってるな・・・・
「うーん、可愛いていうのは正義よね、ほんとに私ルディアちゃんのためならなんだってやって見せるわ!世界だって作っちゃう」
「う、うぅルドさん気持ちはありがたいんですが少し恥ずかしいです・・・」
「もうー恥ずかしがっちゃってーそんなところも可愛いわねー」
ルドのくだらない会話に思考が崩され、現実世界に意識を持ってくる
目の前の微笑ましい光景を目に焼き付ける、私は静かに頬を緩め目の前の光景を微笑ましく見守る
ま、いいさ、この辺は考えたって仕方ないだろ
「アルさん、アルさん今日何を食べたいですか?」
ルドに抱きかかえられながらルディアは聞いてくる
抜け出すことなどはしないようだ
「そうだなっと、今日は何を食べようか」
少しだけ長いような、でも短いような夕方は幕を閉じるのであった
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