幕間 [魔道具店の店主]アルストロメリア [アルの友人]ルド1

ルディアが来てから一か月ぐらいが経った、魔術の練習を始めてからゆっくりだが少しずつ前進している、ルディアは頭が切れる部類に入るのだろう、呑み込みが早く魔術を満遍なく偏りなく飲み込んでいる


私は店の中を見渡す、作った物から片っ端から陳列してごちゃっている店の中だが今は私以外誰もいない、ルディアも朝っぱらから外に出ている


元気なことだ私と年なんてあんまし、少ししか離れていないのに・・


ずずずと暖かな緑茶を喉に通す、ほろ苦く、だが密かに甘い味が喉を通る


「ふぅ・・・」


そんな緑茶の味を楽しみながら、一か月前の記憶を辿る、レストランの出来事だ、黒い化け物、あんなものは初めて見る部類だ、ルドが助けたとき彼女が敵対したと言っていた化け物と一緒の部類の化け物なのだろう


確証はないがな、ただルディアを狙っているのは何となくわかる、二回ともルディアの目の前に表れている、一つはルディアしかいなかった森の中、もう一つは何となくで入ったレストランの中・・・・・


まぁルディアが唯々不運なだけで、腹を抉られたなんてのも捨てきれないがな


さて、ルディアが狙われる理由が余り思いつかない、彼女自身もなぜ自分が狙われているのかすら分からないって言ったしな、まぁ消えている記憶の中に答えがあるのかもしれないが、現状時間で解決するしか手段がないしな


彼女曰く記憶も徐々に戻ってきているらしいしな、やはり記憶などの脳の機能は自然治癒が一番


「さて・・・・まぁどうしたものか」


もう一度暖かい緑茶を口に運び、さて、本を読み始めようと手にかけゆっくりと読み始め、椅子に持たれかかっていると目の前の店の扉がからんからんとなり人が入店してきたことを知らせてくる


「いっらっしゃい、ゆっくり見てってくれ」


どんな客が入ってこようがどうでもよかった


本から目を離さずに決まりきった入店時の決まり文句を言う


「あんたの魔道具なんていらないわよ」


「んあ?お前か、どうしたんだ珍しい」


目の前には可愛らしいパーカを着たルドがいた


ルドが森から出て私の店に来るなんて珍しい、いやほんとに珍しい、どうしたんだ


「あら緑茶飲んでるのね・・・・」


ルドは私にちらちらと目配せをしている、入れろってか?しょーがねーなぁー


「はいはい」


私は重い腰を上げ後ろにある台所で緑茶を入れ始めた



ルドを店の奥にあるリビングに座らせた、目の前には私が丹精込めて一生懸命に心身込めて入れた緑茶をテーブル、ルドの目の前におく


「はい、ありがとう」


ルドはずずずと飲みこみ、口の中に溜まった暖かい空気を幸せそうにホッと外に出した


「でだ、今日は何かあったのか?お前が店に来る事なんて何かあるしか考えられん」


「何もないわよー、ただ用事を済ませた後にちょろっと寄っただけよ」


「ほんとかー?」


「嘘をつく必要なんてないでしょ」


「それもそうか・・・・」


私も自分で入れたお茶を啜る、ふぅむ、たまには緑茶を飲むのもありだな


静かな時間が流れる、二人とも何もしゃべることもなく、のんびりとゆっくりと時間が過ぎていく、壁に掛けた時計がちくたくと一秒、一秒進めている針の音が明確に聞こえてくる、それも普段の三割増しで耳にその音は入り込んでいた


ルドが姿勢を変えたのか椅子の静かな声が聞こえてきた


私はルドが入ってくる前に読んでいた本を手に取りもう一度読み始めた


読み始めた少し後にルドが唐突に口を開く


「ねぇ今あの子はどこにいるの?」


「ん?・・・あぁルディアのことか、それなら今買い出しに行ってるよ、なんだあの子に用があったのか?」


「そんなわけじゃないけど、良かった、ちゃんと生活できてるようで」


「そうだな今じゃ魔術の練習ができるぐらいには回復したな」


「あら、もう本当に元気一杯ってところなのね・・・・あの時は本当に助かったわ、私、人を回復させることなんてできないから迷惑かけたわね」


「んにゃ、別にルディアを回復させること自体は別段、まぁ私も回復魔術は不得意だけども、もちろんお前にも迷惑もかけているからお互い様だろ・・」


「それも、・‥‥ねぇ、任せた私が言うのも何なんだけども、なんであの子を家に置いてるの?何?なんか特別な理由でもあるの?」


「あぁなんでか記憶が無いらしくてな…それで家も分からないらしい」


「・・・そんな珍しいことある?なんか怪しくない?」


「さぁな、まぁルディアは可愛いからいいんだよ、置いとくだけで看板娘、看板娘ができたおかげか私の店もそこそこ知名度上げたんだぜ?」


「あんたの店のことはどーでも良いのよ、あの子が少し危ない存在なんじゃないかってあんたの身の心配をしているの」


「大丈夫だろそんなの、敵対してきたらそん時だ、だろ?」


「危機感ないわねぇほんと、いつか痛い目を食らっても知らないわよ」


「へいへい」


私は話を締めくくるようにルドの言葉に適当に返事をした


ルドはその返事を聞きだめだこりゃと肩をすくめ首を横に振るお茶目な動作をした後に、お茶を啜る


「まぁあの、ルディアって子可愛いからいいか、変に疑っても仕方ないし」


「そりゃそうだ、人間疑いすぎると頭痛くなるだけだぜ」


ルドは視線を切り、一瞬時計を見てから口を開いた


「そうね、っとそろそろ帰るわね」


時計の針はルドが来てからあまり進んでいるわけではなかった


「ん、それじゃあ一様お客様ということで見送ってやるよ、寂しくねーだろ?」


「そりゃあどうも」


言葉を交えながら、ドアへと向かい手を掛け私が先にドアを開け外に出るように手を前へ出す


「これはご丁寧に・・ってなんか静かすぎない?」


ルドは何か疑問に思ったかのか口にだした


目の前には当たり前だがいつも道理の店の前の路地が目にいる、綺麗に舗装された道に、舗装された石畳の間からは緑色のざっそうがぴょこぴょこと顔を出している


大きな道から一本外れた道にこの店を構えているため少しだけ周りは暗い


それでも細すぎるわけでもなく、ちょっとした住宅街の中に店がぽつんとある感じだ


それでもまだ日が完全に暮れているわけでない、だったらなおさらまだ人がちらほら歩いていても不思議ではないが・・・


まぁ偶には静かな時間だってあるだろう、人が人エリも歩いていない時間帯だってたまたまその時に出くわしただけだろうさ


「たまたまだろう?」


「そうかしら・・・・ねぇ少しだけ探ってみなさいな」


「・・・・・・ふぅむ」


めんどくさいなと思ったところ奇妙な音が聞こえた、ぼこぼこと水が湧きだす音だ、その音がした方向を見ると、黒い水が地下から地上へと押し上げ形づくっていた


一か所だけだったら良かったのだが、何か所も何か所も同じことが起こっていた


黒い水は人型へと姿を定めていく、以前に出会った黒い化け物ではないが雰囲気が似ていた、この黒い人型たちも同じ種類なんだろう


その化け物たちはこちらを見つめている気がする目が見えないため何とも言えないが・・・視線が突き刺さる感覚がする


「さてと・・・言ってるそばからこれじゃない」


「私が狙われている可能性だってあるだろう?」


「あんた知名度ゼロじゃない狙われる要素もゼロよ」


「あぁなんてこというんだよ!私だって多少なりとも気にいてるんだぞ!ていうか流石に知名度ゼロな訳ないだろ!

!」


「ほらそんなことより集中しなさい」


ルドは目の前の化け物を見つめている、私も釣られて目の前の黒い人型を見つめる、数はざっと30体以上、私たちを囲うように円状に広がっている、有象無象だ、手には痛々しい刃物を携えてい奴なんてのもいる


日が暮れ始めている、真夜中と真昼の中間、夕方時だけれどももう日も暮れるだろうという時、アルとルドにとって小さな運動が始まろうとしていた


「しょうがないなぁほんと、誰からの差し金とかは・・・・喋らないだろうな」


「そうね、口があるなら裂かせてあげたいけどないのよね」


「「だったら」」


「ぶち倒す!」


「破壊するだけよ」


二人は化けもに対して開戦の言葉を投げかける、ルド、アル共に二人は普段抑えている魔力を開放する、それに従いぶわっとアルとルドを中心に魔力が爆発的に忌々しく竜の如く流れ始める


化け物たちは知性を持っているのかいないのか分からないが一歩後ろへと下がる


本能的に、生物の感的に恐怖を感じる、いやアルとルドが意図的に感じさせた、そのぐらい、生物という存在においてルドとアルの存在は最強に近い生物である


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