第2話 生命と環境の相互作用

生命は、いわゆる動植物からプランクトン、ウイルスなどの原始的存在を含むだろう。一方で、いわゆる原子・分子とは明らかに異なる運動をする。原子・分子については、その性質や反応について様々なことが解明されている。一方、生命となると途端に話がややこしくなる。一体なぜだろうか。

まずここで植物について考えてみよう。植物は、農業における知見からその生育に必要な三要素があると言われている。NPK、すなわり窒素、リン酸、カリウムである。これらの肥料三要素が植物の生育のために必要であるそうだ。まず、この点について考えてみる。原子・分子という構造体においては、こういった外部のなにかがなければ崩壊するという機序を持たない。すなわち、水分子H2Oはそれ単独でH2Oとして存在できるのであって、なにか周りになければ崩壊してしまうということがない。熱と周りのなにかによって、他の分子に化合したりすることはある。しかし、H2Oは単独でH2Oである。熱によって、その形態を変形させる。すなわち気体、液体、個体であるが、それもH2Oが単独で存在できることとは何ら変わりがない。ただそのまとまり方が環境によって変化することによって物理的性質が変化するに過ぎない。

このことから、どうも生命というものは環境との相互作用によって成立している構造体であろうことが示唆される。私達、人間も食べ物、飲水なくしては死んでしまう。死んでしまうということは、その構造体が破壊され、分子・原子へと返って行くことを意味している。しかし、例えば金(Au)の塊がなにか食べ物や水がないからといって金(Au)以外のものになったりはしない。原子・分子においてはむしろ逆で、例えば鉄(Fe)は周囲の酸素によって酸化し酸化鉄(FeO)へと変化する。酸素がなければ変化しない。ということは、むしろ私達生命は、この酸化作用を常に行っている構造体であることが見受けられる。

私達は呼吸するとき、空気中の酸素を取り出して体内へ取り込み、二酸化炭素を排出する。体の中にある栄養素(炭素)を酸素と共に燃やして体が活動するエネルギー源とし、二酸化炭素を排出している。この燃焼作用は私達を含む生命にとって非常に重要な作用である。とはいえ、一体なぜ常に燃焼し続けるような構造体が生じてきたのだろうか。宇宙と生命は一体何をしようとしているのだろうか。

ともあれ、生命という構造体は原子・分子が持つ性質のうち、化合や燃焼などの物理的作用をその構造体の中に含むことによって成立していると言える。

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生命創造の諸原理 山川一 @masafuro

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