第47話 褒美
休む暇まなく俺達は凱旋に付き合わされ、
王と会うことになった。
黒田はなぜか王に気に入られているらしく
土地やお金をもらい、姫との婚約までしそうに
なった。
黒田は婚約は丁重に断っていたが、かわいい姫様を見て心が揺らいでいたのは見ただけでわかる。
黒田はこのままこの国で定住するかもな。
次は俺達が呼ばれた。
「そち達、ご苦労であった。欲しいものがあれば何なりと言うがよい。」
美香「綺麗な家と、服と、何不自由ない暮らし。」
浩介「綺麗な女性と付き合いたいです!」
阿部「ゴハン。」
脳筋だからこれは想定内。
優奈「カッコいい執事さん。」
いやいや、何言ってるんだこの巨乳は。
イブ「私より強い方を。」
はい。無理。
「王様。俺達元の世界に戻りたいんです。」
俺は帰るために必要な鍵の事やダンジョンの事を話した。
「そうか。ならお前達がダンジョンに行けるよう手伝ってやろう。親交のある国に書状を送り、優先的に入れるようにする。あと旅に必要なもの全てを揃えてやろう。」
「ありがとうございます。」
「イブ殿の願いは難しいが、ほかの者達の願いは叶えてやろう。」
「やった〜」とイブ以外は大喜びだった。
えっ。みんな帰る気あんの?
美香とか永住する気じゃん。
浩介と優奈も気に入ったら永住しちゃうよね?
何これ。俺に核兵器みたいなイブをなすりつけて
自分達だけいい思いする気か?!
「はぁ。」
寺田は何かを察したのか俺の方を軽く叩く。
まともなのはこいつだけか。
俺達は旅の準備ができるまで、しばらく
城にいることになった。
俺は疲れていたのか、丸一日寝てしまっていたようだ。
周りにはイブしかいない。
「起きました流星様?」
普段は可愛くて普通なんだよなあ。普段は。
ドアをバタンと乱暴に開ける音がする。
「あら、ようやく起きた?」
美香が偉そうに入ってきた。
その後ろにひっそりと寺田もいる。
「なんだよ。起きちゃ駄目なのかよ。」
「別に。」
イブがクスクス笑う。
「お二人は本当に面白いですわ。」
「どこが」
俺達は同時にイブに怒鳴った。
「美香と流星の痴話喧嘩はいつもの事さ。」
寺田は冷静な口調で話す。
「それにしても美香様はお優しいですね。わたくしは先程来たばかりですが、流星様が寝ている間ずっと看病していましたからね。」
「べべつ! 死なれたら寝付きが悪くなるからよ!」
ふーん。美香は意外と俺の事心配してたのか。
ニヤニヤした顔で美香を見ていたら、美香が鞘から刀を光らせたので死の危険を感じニヤニヤするのをやめた。
「で、美香ご褒美は貰ったか?」
「うーん。貰うけど、まずは寺田を元の世界に戻さないとね。」
「すまない。」
寺田は深々と頭を下げる。
なんだ美香、いいとこあるじゃん。
でも、他のあいつらは薄情なやつらだぜ。
まだ、しばらく時間があるということだったので
俺はクラスメイト達に挨拶しに行こうと思ったのだが
みんな外に出て仕事をしたり、ダンジョンに行って鍛えたりしているらしく黒田くらいしかいなかった。
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