第48話 名探偵①

 黒田も旅に誘ったが、「めんどくさい」と断られた。

まあ、戦後処理を任されたらしく忙しいというのもあるみたいだが。


俺は、仕方なく美香とイブを連れて街に出てみた。

街で俺達は英雄として歓迎され、人だかりができてしまいゆっくりと街を見る事もできなかった。


仕方なく城に戻ってみると俺は王に呼ばれる事になった。


「休んでいるところ申し訳ないが、ぬしに頼みがある。」

「頼み?」

「近頃、食糧庫に賊が入り荒されておるのじゃ。ただの賊であれば我らでも捕まえる事ができる。しかし……。」


内容を聞いてみると賊が入った後に兵を増やして警戒していたのだが、夜に兵は全て倒されて食糧庫の中身が減っていたらしい。

倒された兵は犯人を誰一人も見ていない。

兵は全員倒される前に激しい衝撃で吹き飛ばされて

気絶している。


うーん、確かに手強い相手のようだ。

でも、なぜ食糧庫を狙ったのか?

普通、宝物庫を狙うと思うが。

これだけだと、情報が足りないな。


「わかりました。この難事件引き受けましょう。

じっちゃんの名にかけて解いてみせます!」

隣にいた美香が冷たい視線で俺を見る。


「では、たのんだぞ。」

王は空気を読んだのか俺のボケを華麗にスルーする。

これが王の器か。


俺は早速、食糧庫へと向かい現場状況を確認する事にした。

食糧庫は傷一つないが、地面には穴が二つ空いている。

兵士にヒアリングをすると、最初は穴が一つしかなかったが2回目襲われた時穴が二つに増えていた。

ん? 何かの手口と似ている。

まさかな。

姿を見た兵士がいないか確認してみると、大きな黒い影を見たという兵士がいた。

体は大きいようだが、夜のため姿まではわからなかったらしい。


食糧庫の中を次に俺は確認してみた。

麦、チーズ、干し肉などの干物がある。

特に減っているのは、チーズや干物がなくなっている。


犯人は麦には手をつけていない。

俺の推測は確信へと変わっていく。

やれやれ。


これらの情報から犯人はまた来る事が容易に想像できる。


「美香、イブ犯人がわかったぜ。」

二人も気づいたようだ。


「また、二、三日中に犯人はくる。それまで、ここを見張ればいいだけだ。さて、俺疲れたし帰るわ。」

俺は二日部屋で過ごし犯人が来るまで待った。

犯人の見当はついている。あとは、『探索』スキルを使いあいつを見張るだけだ。


そして、その日がやってきた。

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