第42話 寺田の意外な一面

〈黒田視点〉

 荒須の攻撃に反応して寺田は避けてるね。

おっエクスカリバーの真空刃は曲がるのか。

寺田の体を覆っていた『エナジーコート』が一撃で割れてるよ。

それにしても、寺田はいつもと変わらず冷静だなあ。


寺田は魔法を放った。

「ファイアーボルト」

連続に放った魔法は全て荒須に直撃した。

だけど、荒須は無傷で不敵な笑みを浮かべている。


『神光の蓮撃』


次の瞬間、荒須は寺田との距離を一気に詰めて剣を次々に繰り出している。

寺田にはなぜか一撃も当たっていない。

 

えっ?


何故か荒須が宙に放り投げられている。

何が起こったんだ?


荒須は地面に叩きつけられたが、フラフラになりながらも起き上がった。


「ヴォーーー!」


と荒須は雄叫びをあげて次の攻撃を繰り出した。

スキルを次々使い目に見えない速度の蓮撃を繰り出すが

やはり寺田には当たらない。


なんでだ? 勇者の方が近接は上だろ?


寺田は相手の腕を掴み地面に投げて手首を固めている。


あれ? 合気道??

寺田って合気道してたの? 初耳なんだけど。


寺田は無表情に荒須の手首を折った。

「ガァーー。」

荒須は下がり片手で剣を握る。


『無慈悲なる一撃』


そう言うと剣は光に出す。

おいおい、あれは抜刀術みたいに高速の一撃を繰り出すやつだよな。聖剣であれ食らったら即死だよね。


荒須はじっくりと間合いを詰め、寺田は自然体でいるが隙はない。

光っていた聖剣がピークに達したとき、

荒須はその場から消えていた。


寺田の方を見ると荒須の剣をかわして、

カウンターで掌を荒須の口に当て魔法を放つ。

「ファイアーボルト」


荒須の口からは火が溢れ、一撃で荒須は気を失った。


おいおい、寺田強すぎだろ。

寺田無傷じゃん。

魔法使いじゃないよなあの動き。

あれはもう魔法と合気道を組み合わせた新しい格闘技だよね。


ファイアボルトって弱い魔法だよな。

それを口に放って使うとかおかしい。


あいつあんなに強かったのかあ。

怒らせないように気をつけよう。


浩介と阿部を見ると先方で攻めてきた一万ほどの兵のほとんどを倒してるよ。

流星達どんだけ強くなってるの?


僕いらないよね。あの三人そこに置いとけば

いいんじゃない。


いや、三人で攻めるだけで勝てるんじゃない?

よし。今は寝よ。

起きてから考えよう。

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