第40話 予想外

5日目動きがあった。


ルーン王国の軍勢は一斉に動いた。

新ドルイドは、城壁から一歩も動いていない。

ルーン王国軍が1kmくらいの位置に来たとき、それはいきなり現れた。


地面からは岩が隆起し、ルーン王国軍は混乱している。

それはフィヨルドのような複雑な岩に変化していき、

迷路のような場所を作りだした。

更に、霧が急に現れ大軍は岸壁の霧に消えた。


なるほどね。黒田は、『錬金術士』と『気象士』を使ったのか。

こんな迷路だと大軍が活かせない。

もし、出口に出ても狭い場所になっているから

各個撃破されるだろう。

なかなかエグい手を使うなあ。


さて、このタイミングかな。

混乱しているうちにルーン王国の後ろに転送するか。


「お前ら、そろそろ行くぞ。」


美香は刀で素振りをし、浩介は部屋でランニング、

阿部は筋トレ。寺田は魔法で遊び、優奈は寝ている。

うん。なんて緊張感のないやつら。


結局、準備に30分かかった。

美香とか、優奈は髪とか整えてるし。

阿部とか浩介はご飯食ってるし。


大丈夫かな。


あれ。迷路があった岸壁が破壊されている。

破壊の中心部には、『勇者』の荒須がいた。

なんで? あいつ裏切ったのか?


これはやばい展開じゃね。

相手の大将首狙いで転送しようと思ったけど、

あいつが裏切ると先に城が落ちる可能性がある。

『勇者』は『剣豪』よりもスキル的に攻撃が劣り、防御力が高めになっている。

クラスメイトの中では、俺達を除き攻撃職では上位職業と言える。

まともにやりあえるのは『聖騎士』の桜か。

敵は数もいるから圧倒的不利だな。


仕方ない、浩介と阿部に行ってもらうか。


「阿部、浩介。荒須とルーン兵を止めれるか?」

「任せろ!」

浩介が胸を張る。不安だ。

寺田にも行ってもらうか。

「寺田も浩介達をサポートできるか。」

「ああ。こいつらだけじゃ頼りないからな。」

寺田が冷静に答える。冷静な上に正論だな。

浩介は寺田をにらめつけたが、

今は時間がおしいので装置に転送箇所を指定した。


「テンソウカショヲ センタクシマシタ。ヨロシイデショウカ?」

「うん。よろしく。」


浩介、阿部、寺田の体は光の粒子のようになり、拡散していった。


「俺達は大将首を取りにいくぞ。」


俺達は、ルーン王国軍の裏側に転送をした。


着いた場所は何もない草原で、ルーン王国の本隊と思われるテントがあるだけだった。

数は5000〜10000くらいはある。


イブがつぶやく。

「あそこなら多少本気出しても大丈夫ですわね。」

「イブ今何か言った?」

イブは俺に誤魔化すように言った。

「なんでもないですわ。オホホ。」


嫌な予感しかしないが。

今は時間がない。

「美香、優奈、イブいくぞ。」


俺達は赤と金色に飾られた目立つテントに向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る