第38話 今日もがんばる黒田くん②

〈黒田視点〉


ベッドに転がると上から服部が降ってきた。

「おまえ、どう見ても忍者だよね。アサシンじゃないよな。」

「否。我アサシン也。」

めんどくせー。

こいつ厨二病なんだよね。会話するのが一苦労だよ。

元の世界でも厨二病だったけど悪化してるよねこれ。

本当なら関わらないんだけど、こんなご時世だし。

関わらないわけにもいかない。


めんどくさい。


服部は定時連絡をしにきたらしく。まだ、ルーン王国は攻めてこないようだ。あと三日くらいは時間がありそうだな。


「もう帰っていいよ。」

「御意。」

うざ。


さあて。策は色々用意したけど。

相手の魔法使いがどう出るかだね。

相手が持つ切り札次第ではどうなるかわからない。

油断できないよな。


コンコンとドアを叩く音がする。

「どうぞぉ。」

全く。休む暇もない。


「お邪魔します。」


また面倒なやつが来たね。

クラスメイトで、『勇者』の荒須アレスがきた。


「この戦い、本当に正義はあるのか?!」


キタキタ。こいつの頭にあるのは正義だけなんだよね。

 

「この前も話したよね。戦いを避けるのは難しいよ。」

「だからと言って無闇に命を奪うのはよくない。話し合いはどうだろう。」


はい。頭の中お花畑っと。平和ボケしすぎだね。


「アレスくんは、相手の兵の数知ってて言ってるのかな?」

「1万くらいだろ。」

「10万だね。この差だと相手に話すメリットがないんだよね。」

「やってみなきゃわからないだろ。」

「じゃあ、やってみればいいよ。捕まっても助けに行けないけどね。」

「捕まらないさ。この聖剣があれば。」

「そうだね。その剣ならばね。」


聖剣エクスカリバーか。

勇者らしい剣だね。逃げるくらいならきっと大丈夫だね。

多分。

僕は開戦までの時間が欲しかったからちょうどよかった。


「じゃあ行ってくるぜ。」

「はあーい。行ってらっしゃい。」


荒破くん交渉は成功しないだろうけど頼んだよ。


なかなか、休む暇がないなあ。

コンコン。まただ。


「はい、どうぞ。」

「お邪魔するわよ。」


またまた面倒なのがきたよ。

職業『聖騎士』の大門桜。

クラスメイトの要望などを聞いて世話する事が多いんだよね。

僕が重用されてからはよく頼みにくる。

めんどくさー。

 

「最近、女子生徒の部屋が狭いというクレームが来ているわ。どうにかならないの? 」

「わかったよ。上には言っておくよ。」

「他にもまだあるわ。 風呂の温度が低い、エアコンは作れないのか? 私として…………。」


こんな内容を一時間も話してくる。

敵が攻め込んでくるこの状況下でそんな余裕よくあるな。

負けたら終わりなんだけど。


「……以上よ。」

「うんうん。わかったわかった。伝えておくよ。」


話終わると桜は出て行った。


「もう、ヤダヤダヤダ。」

休めないこんな生活。

戦いが終わったら逃げてやる。

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