第37話 今日もがんばる黒田くん①
〈黒田の視点〉
めんどいなあ。
なんで僕ここで指揮してるわけ?
職業『軍師』だけどさあ、僕じゃなくてもよくない?
手紙が余計だったかなあ。
あの手紙を送ってから、王様は僕の事気に入っちゃって。
何故か前頭指揮を任されている。
めんどくさいなあ。
帰って昼寝したいんだけど。
とりあえず、学級委員長だった魚田に実戦指揮は任せる。
『ジェネラル』という戦争向きな職業なので戦闘が始まれば僕より強い。
『軍師』は後ろから補佐するスキルが多いので前に出て戦っても役に立たない。
何より僕は運動が苦手だし。
疲れる事嫌なんだよね。
さてと、相手の戦力10万とか服部が言ってたな。
こっちは貴族が半分ボイコットして5000だし。
普通勝てるわけない。
これで後ろから攻撃されたら負け確定なので、
裏切りそうな貴族はひっそりと服部に頼んで
暗殺してもらったけど。
あいつよく平気で人殺せるよね。
職業が精神に影響でも与えるのか?
俺も戦争って言われても何も感じなかったしね。
この職業ってシステム何か裏がありそうだよね。
今は謎解きより生き残るのが先決かな。
20倍差ね。
戦略としては持久戦に持ち込むくらいしか手がないね。
敵将を取る手もあるけど、失敗の可能性あるしね。
何よりあいつがいないと情報収集もできない。
まあ、守るだけなら手がないこともないけどね。
服部情報によると一人やばそうな魔法使いがいるけど、魔力がそこまでないので戦略級魔法はなさそうだと言っていた。
優秀、優秀。
さて、『錬金術士』の鋼野と『薬剤士』の仁を呼ぶか。
『気象士』の石破もか。
あの策の仕上げをしとかないとね。
「ねー、そこの兵隊さん、ちょっと鋼野と仁と石破呼んできて。」
黒田を護衛する兵士は急いで呼びにいった。
初戦を守りきればなんとかなると思うんだよね。
いきなり壁抜かれたりしたら終わるけど。
壁の守りは元々多重結界があって硬いらしいし。
あといくつか罠を仕掛けたかららしばらくはもつかな。
はあー。めんどくさー。
誰か代わってくれないかな。
「黒田殿、連れて参りました。」
「はいはい。ありがとう。あとは適当に休んでて。」
鋼野、仁、石破の三人はクラスでも成績上位に入る奴らで賢い。まあ、僕には劣るけどね。
この三人に簡潔に戦略目的、作戦を伝えた。
三人はすぐ理解して各自の仕事先に向かった。
いやあ、あいつらも優秀で楽だわ。
そろそろ僕いらなくない?
休もうかなあ。
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