第6話 遭難した俺

俺は気づくと暗い洞窟の水辺に浮かんでいた。


イテテ、体中が痛い。


なぜ、おれはここにいいるんだ。

そういえば、阿部広がスキルを使った時に

地面が抜けて俺は、その穴に落ちて・・・


そうか!俺は全てを思い出した。


クソー。何層下まできたんだよ。

ひょろ眼鏡が確か探索スキルを持っていたな。


『模倣』


頭の中に変な文字が出てきた。

近くに模倣できる対象がいません。

そうか、、遠すぎるのか、、


俺はダンジョンに入る前にクラス全員に土下座して、なんとか模倣さしてもらっていた。

土下座の流ちゃんと言うあだ名はいただいてしまったが、〈模倣ストック〉で色々な職業を模倣できるようになっていた。


〈模倣ストック〉

一度模倣した職業を本人がいなくても使用が可能。

但し、ステータス半分、専用スキルは使用できない。


模倣ストックを使ってみるか。


「模倣ストック」


これは専用スキルじゃないな。

よし、使ってみるか。


「周囲探索」


頭の中にダンジョンの画像が浮かびあがった。

これか、

ダンジョンの階層は百階層あるのか。

俺は現在、、

四十階層?!

さっきまで三階層だったのにいきなりこの階層はやばいだろ、、


確か、この危機的状況どこかのアニメで見た事ある展開だな。あれも異世界転移だったような。

それはいいか。

他のやつらは、、やっぱり、まだ三階層じゃねーかあ!

先生に連絡してくれれば、俺の位置がわかるはずだが。


一人で戻るには厳しいか?


ダンジョンは確か十階毎にモンスターが発生しなくて、九層にボスがいるってサーシャが言ってたな。


なら、下の方がまだマシなのか?


このまま待つのはいいが、食糧はサーシャが持っていて助けが来る前に飢え死にする可能性もある。


一階層一時間はかかっていたな。早くても四十時間。ボスや休む事を考えると七日以上日はかかるな。


そういえば、モンスターも食糧として食えるとサーシャが言っていた。

なら四十一階層でモンスターを倒しながら待つか。


美香の職業が戦いでは柔軟に対応しやすい。

女剣豪を模倣ストックで使用して、MPがなくなり次第四十階に戻りMPを回復する。

これなら、安全に戦えそうだな。

あとはステータス半分で通用するかだな、、


とりあえず試してみるか?


俺は水辺近くにあった階段を降りてみることにした。


下の階層は薄暗い。

剣豪はスキルで〈気配察知〉があったので敵の位置がすぐわかった。

おれは遠くから敵の様子を伺った。


一匹で紫色したゴリラみたいなやつが他の

モンスターを食ってやがる。

モンスターは弱肉強食な世界だな。

ゴリラは食べるのをやめて周りを警戒し始めた。

やばい、あいつも〈気配察知〉を使っている。

距離がある。なら、

「模倣ストック」

寺田の魔導師がこの距離なら有利か?


魔導師に模倣して、魔法を発動させた。

少し詠唱時間があったが、来る前に発動した。

「デスブレイズ」


黒い炎が巻き上がり一瞬にしてゴリラは灰と化した。

mpを半分持っていかれたが、威力は充分だった。

これならいける。でも、この魔法だとモンスターを食べる前に灰になるな、、

次は手加減してみるか。


その前に階段に戻ってMP回復だな。

俺はこれを何度も繰り返しレベルを着実に上げていた。

手加減してモンスターという食糧も手に入れていた。


40階で俺は、火属性の魔法で火をおこし、錬金術士がクラスメイトにいたので、模倣ストックを使用してフライパンと塩、胡椒を錬成して、料理の職業で料理をしていた。


「うまい!この口の中に溢れるばかりの油と旨味が程よく溶けて俺の五感を刺激する!」


俺はあまりの美味さに一人叫んでいた。


腹はいっぱいになったが、クラスの連中は俺を探してくれているのだろうか。


「周囲探索」


お、10階まで来てるじゃないか。

俺の事を気にしてくれてるんだな!

よかった、これならすぐに来そうだな。


「ん?9階に戻ってないか?!」


まてまて、8階に向かってるじゃん?!


まさか、、俺の救助をあきらめた?


いやいや、周囲探索で俺の位置は分かっているはずだ。

きっと一度補給しに戻ったんだろう。


きっと、きっと、そのはずだ、、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る