▼5

 ――と、昔の自分は冗談混じりに言ったのに。

 まさかその、「実戦で実践する日」が訪れようとは。

 背後の草むらから女が襲いかかってくる。

 魔で錬成した空気の槍。

 空気とはいえ、鉄よりも頑強に練り上げられている。

 初歩的で、性能の割に消費する魔素の少ない、コストパフォーマンスに優れた共創魔。

 このままでは直撃を免れない。

「あらいましたのですそんなところにですか」

 周囲に居ることは分かっていたが、細かい座標までは、ここに至るまで判断つかなかった。そこでジュは、無防備な振りをしたまま、ただ棒のように突っ立って、囮となる。

「はああああああああ!」

 これが最後の一撃と決めたのか。女は低い雄叫びを上げながら、魔で錬成した、男では実見できない固体を突きつけながら突進する。

 柄を両手で握り、腹に抱えるようにした進撃。

「まあ突撃はわかりやすいですわ単純な」

 ニムの制服。何も武器を持っていないことを示すため、皺がないほど肌に張り付いているように「見える」服。有事であれば、主人と一番近い場所にいるであろう使用人という存在が身に纏う服。

 もしも暴徒に襲撃された際、なんとか数撃は耐え凌ぎ、主人が逃げる時間と退路を切り開く、そのために。

「フッ」

 袖に暗器を仕込む。ジュが武器ならぬ守器としているは、針。

 三歩ほどまでの近距離限定なら、魔を使わなくても、大弓から放たれる矢、それ以上の初速で発射させることが可能。

 二本の針を、指の動きだけでごく僅かにずらしたタイミングで投擲する。

 一本目の針は女の靴を貫通し、脛を覆うブェテーに命中し、ひびを入れる。二本目でひび割れた部分を中心に、真っ二つに絶ち穿つ。

 ブェテーがなくなった瞬間。女の恥部は晒される。

 ぽうっと灯る群青。この人はジュと同じく、本職は治癒か。

 ならば多少手荒にしても問題なし。自分で勝手に治ってくれるだろう。

 女はそれでも突撃をやめない。

 ジュの攻撃を、牽制、あるいは最後の足掻きと取ったか。

「強烈な今ですから早く追撃を迅速に」

「――ほっ、と」

 ジュの影に隠れていたミイは軽薄な調子で、魔をコーティングした円形の技製盾で、空気の槍を受け止める。

 息を付かせる間も置かず前進し、盾で直接攻撃。

 力任せに振られた盾は、鉛の塊をぶつけるのとそう代わりはしない。当てられた女は後ろへ吹き飛んだ。

 ジュとミイは尚も辺りを見回す。魔で周囲の気配を感じ取りつつ、人間による生体反応はないと、二人同時に判断する。

「ふう。……クイがくしゃみをしなければ、戦わずに済んだのですけどね」

「しょうがないじゃん。胡椒の罠とか卑怯でしょ。原始的すぎて逆に罠なわけないじゃんって思って、見事に引っかかっちゃったよ。くそっ、策士め」

 悪態をつきながら、それでも警戒は解かないミイ。

 二人の周囲には五人の女が転がっている。誰もがモヴィ・マクカ・ウィの兵士だ。

 この兵士たちに外傷はない。当てられた直後から傷口が回復し始めている。ミイの盾は守隊と同じく、【止死崛起】を仕込んである。どうやってもこれで殺すことはできない。

 だが、ジュは治癒のために一応兵士へ魔をかけておく。死ぬほどの痛みはないはずだから、盾に魔が施されていなかったとしても、せいぜい気絶が精一杯といったところだろう。

 そう思って、最初に倒した女の近くでしゃがんだところであった。

 瞬間。

 ――グッ! と、ジュの足は掴まれる。

「くっ」

 まだトドメを差し切れてなかったのか。それとも時間の経過で復帰はしていて、このタイミングが来るまで待っていたのか。

 だが今はそんなことなど、どうでもよい。

 冷静に敵を対処。

「はあああぁぁあ!」

 女はこれぞ最後の機会とばかりに、ジュの脛を攻撃する。

 水蒸気のハンマー。普通ならブェテーを破壊し、骨を砕き、神経に傷を与えるほどの一撃。

 だがしかし。

 ジュのブェテーは破壊されることなく……それどころかハンマーは、倒れ込んだ先で羽毛の布団が優しく包み込んでくれたような、そんな表面を撫で付けることしかできなかった。

「ごめんなさいね。わたくしのブェテーは、神様から授かった貴重なものなのです。そんなことをしたら……」

 喰らった衝撃をエネルギーとして変換し、装着者の魔素となる。

 一時的にジュの許容量を超えた魔素は、外部へ放出しなければ暴走してしまう。

 放出させるために、腕へ魔素を逃す。

「お痛が過ぎますわよ」

 故にこの一瞬だけ、魔の塊そのものとなり、強烈な一打となった拳を振るうことができる。

 どうやら先ほどまで加減を間違えていたようだ。ならばこの拳をもって、戦闘の終了の引金とさせていただく。

「はぅぐぅ、ハぁ……!」

 掠れた呼気を吐きだしながら、女はついに気絶に陥った。

「まったく、素直に眠っていればいいものの」

「優雅にことを成そうとしてる女のくせに、拳を使うのはドン引くわ……」

 振り向くとミイが本気でジュの半径十歩には近づかないでいた。

「盾でぶん殴るしか能のない大女に言われてくありませんわ」

 まあとにかく自分たちの神様へ感謝。

 あの時授かったブェテーを思い出したかのように装着していなければ、きっとジュは足に障害を負ってしまい、ナビゼキではなく本国への帰頭を余儀なくされただろう。

「大体、ミナヤ様からいつ受け取ったんだってそんなもの。しかも身につけるなんて」

「仕方ないではありませんか替えに持ってきたブェテーは全て使ってしまったわけですし乙女が同じ下着を何日も使い続けていられませんわ!!」

「いっそ付けなければ、快適快適」

「ヱ。まさかクイ、またつけてないとか、言わないでしょうね?」

 ヒューヒューと口笛を吹き、何所知らぬ顔を決め込むミイ。

「はあ……頭が頭痛で痛いですわ。憧れのお姫様が、どうしてこんな露出狂……」

「マジで混乱してるね」

 セゴナ語の文法など知ったものか。ミイが下着を着用していない事実と比べたら、どんなことでも些細なもの。

「ちゃっちゃと縛り上げた方がいいね。ああ、ついでに教えるよ。ヤミは知らないもんね」

 ミイは周囲にいくらでも密生している木から枝を折り、少しだけ念ずる。

 枝は細長くなり、ミイの身長を五往復するほどまでに伸びた。

 そうしてできた縄で兵士たちを縛りあげる。

「倒したよーって喜んでる場合じゃない。反撃が怖いからね。敵を生かして、なお且つ無力化させたいなら、こうして縛り上げるのが七百年ぐらい前の守隊の主流だった。現代はもっと違うんだけど、道具がないし。まあ七百年前のままでも、セゴナは現代にあれば先進国なぐらいなんだよねえ」

「この格差はひっどいですわよねえ」

 ジュが拳で倒した兵士を後ろ手に縛りながら、ジュに「こうすれば、動けないから」と教授してくる。

 ジュも会得しようと、まだ四人いる兵士たちで挑戦してみることとした。

 どうもよく分からず、試行錯誤。

 そうしているうちに、ジュは少し割り切れない想いが沸々と湧き上がってきた。

「そもそも誰のせいでこんなことになったのかしらっけ……?」

「仕留め損ねたのは全部ヤミのせいだよん。どうせ私は、当たれば一撃で敵を伸せちゃう怪力女ですから」

 たしかに、ミイが胡椒の罠に引っ掛かり、近くにいた五人の兵士に不意打ちを食らった時、開幕第一号を放ったのはジュだ。

 不意打ちに対するカウンターで出した針の投擲。目にもとまらぬ速さであったため、魔と勘違いしてくれた。精神的に優位に立てたため、終始余裕を持った戦いをした。だが当てても気絶させるのには至らなかった様子。

 だからこその、今の騒動。

「それにしても、流石にこの一帯は練度が低いね。大方、最近になって徴兵されて、まともに訓練をしてなかったのかな? 気槍は訓練五十時間だったっけな。時間対効果が安定してるけど、使い手がこれじゃね。おかげで私たちでも簡単に倒せた」

「私たちってなんですか、私たちって。頑張ったのはクイだけですわ。私、にしてください」

「ヤミが私を褒めるなんて。どういう風邪の吹き回し?」

「どこの伝染病ですかそれ。……わたくし、よくクイの言いまわしに気が付きましたわね。まあいいです。とにかく、わたくしは誰かを倒せるほど野蛮なのではないですわ。か弱い女の子なのです。どこかの誰かみたいに、ニムなのに盾を振り回してぱんぱか大人を倒せるような力は持っていませんわ」

「そういうことかい! だったら針だけで金属製の軍用ブェテーを貫通させるヤミには言われたくないわい!」

 などと悪ふざけをしている間に、縛り上げが終わる。

「ヤミは私の援護をして。ちょっと上に行ってくる」

 ミイは周囲の木々でも、一際高い樹木にするすると登っていく。

 今現在の居場所を特定するため、こうして何度か偵察をしていた。

 数分ほどしてから頂上から一気に飛び降りてきた。

「五キロぐらい先に、魔が使われた痕跡があった。これまであそこはなにもなかったのに。多分、あっちに陣営を移設させたんだと思う」

 流石に足がジィンと痺れたのか、腿を軽く叩いて解しながら、ミイは木の根元にグテンと腰を落ち着けた。

 ジュはこれはついでとミイに魔をかける。「あー、これだからヤミの魔は病みつき」などと気持ちのよさそうな顔をしながら言うミイは、しかしすぐに顔を公私の公に戻し、制服の中から地図を取り出して指でなにやら書きこんでいる。墨指という共創魔。

「ふんふん。私たちが居るのがこの辺で、こいつらはあっちの方角から出てきた……ってことは、随分と行軍は遅い。私たちの足なら逃げ切れる。こっからの道程は気持ちだけ安全ってとこかなあ。分隊ぐらいは遭遇しそうだけど。一個小隊の人数は五十人のままだから、うーん、何班に分けてるんだろ……。まあまず士官は女だろうなあ。男は所詮、奴隷な国だし。そこは昔と変わらんね。絶対、とち狂ったら全滅覚悟で特攻させる命令出すなこれ。典型的。ある程度倒したら、逃げるって選択肢がなくなるかなこりゃ。うーん。となると、あと四十人以上がこの森の中に。うえ。増援きたらやだなあ……」

 ぶつぶつと呟くミイ。

 軍事に疎いジュは、何を言おうが素人意見としかならない。なら別の方面から意見する。

「それならこの方たちを放置しておいても問題なさそうですわね。見つけてくれそうです。ブェテーがないまま放置するのは、人道的にどうかと思いますもの」

「女の恥じらいをどうこう言ってるヤミが、脛を晒したまんまの女を放置するなんて……」

「仕方ないでしょう。魔に頼らない戦いは、わたくしはあれしかできないのですから」

 針の投擲こそジュの得意とする戦法。盾で防御しつつも力任せにぶつかるミイとはまるで豪快さが違う。

「それが原因で戦争の火種になったとかいう噂を聴いたことがあるんだけど、見解は?」

「あれは完全にわたくしの失態です。誰かに襲撃されないとも限らないために装備しておいたのですが、見事に勘違いされてしまいました」

 シャ=イサが調印をするためにセゴナ城に来たあの日。

 一本の針が原因で、ジュは女として隠さなければいけない部分を、よりにもよって意中の男性に見られてしまったあの出来事。

 ジュが針を持っていたのは、ごく単純に、こんな理由だったのである。

「……んー、私、あの時は本気で心配したのに。怖かったんだからね。突然通信鈴が使えなくなって」

「あれを潰すと何があったかは隠せますが何かがあったことは隠せませんからねえ」

「なのにヤミときたら。なんかその後、喜んでなかった?」

「早かれ遅かれ、イサちゃんに身体を開け渡すつもりですので。ニム長の監視の中でするかどうかの違いでしかありませんわ。まあ、お臍を攻撃してきたのは予想外でしたが……でも最後の砦の寸前で止まりましたので、結果は問題なし、といったところです」

 ジュはそれだけシャを一筋に想っている。例えどれだけのことをされようとも――それこそ、拷問の末に殺されようとも、それがシャによるものであれば、ジュは許す。

 シャが望むのならば、どんな地獄であろうが笑顔で物見遊山しに行こう。

「まあそんなことはさて置き。クイ。現在地はどこなのです?」

「うっわ、切り替え早。人が心配してあげてんのに。この冷血女め」

「過ぎ去ったことを思い出してもお腹が膨れませんわ。せいぜい、良いことなら嬉しくなるし悪いことなら悲しくなる、その程度のものです。だからわたくしは、いちいち記憶しません。現在が幸せならそれ以上を望みません」

「私以上の刹那主義になったもんだよ、ホント。……地図だと、私たちがいるのはこの辺ってことになってる。ナビゼキがここ」

 どうやって計測したのか、地図の一点と一点をミイは指さした。

「あら。もしかして、もうすぐ到着なのですか?」

「道を覚えてくれてたらすぐ行けたのに。なんでこんな遠回りしなきゃなんないんだか」

「わたくしがセゴナに行く時は、最短距離から森を出たのですわ。こんな回りくどい帰還はしたことがありません。あとは、モヴィ・マクカ・ウィへの往路ぐらいしか」

 モヴィ・マクカ・ウィとの戦闘区域を大きく迂回しながら森へ突入した二人は、ナビゼキの方角へ道なき道をひたすら突き進んでいた。

 ナビゼキ探索のために、モヴィ・マクカ・ウィ軍一個小隊は、森のあちこちへ進出している。

 五人一組を一班として行動していることが多いが、そのぐらいの人数ならジュとミイは二人だけで十分にやり過ごせる。

 ただし、戦闘に至ったのは今回が初めて。なるべく戦いは避けたい。

「休憩、しましょうか。この人たちに副作用がないとも言い切れませんし」

 ジュは荷物を降ろし、ミイの隣へ座った。

 さりげなく暗器は回収し、袖に隠しておく。

「ん? 大丈夫でしょ寝かせとけば。副作用なんて、んなもん、ないよないない」

「もしもということがあります。奇跡って、悪い方向にも働くものなんですよ」

 ジュにしては、暗い顔。明るく元気をモットーとしているに関わらず。

「…………。んー。ヤミって、昔と比べて用心深くなった?」

「ええ。どうしても。……ねえクイ。割と真面目に、仕事上の悩みを打ち明けてもいいですか?」

「私なんかで良いって言うならね」

 むしろ、こういうことならミイだからこそ、恥ずかしささえ我慢すれば、あとは素直に言える。

 そのぐらいの信頼感を、ジュはミイに想っている。

 ……決して口には出さないが。

「わたくし、鎮守府の仕事で取り返しのつかない失敗をしてしまいました。……あれほど堪えるものですのね、挽回のしようがない失敗って」

「国宝級の皿を割ったニムのくせに、それ言う?」

「あのお皿は、最終的には直せました。しかし、どうしようもないものもあります」

「……人の命」

「ええ。言い訳が許されるなら、すでにその患者は、とある麻薬に精神を犯されていました。ニヅハナタという、肉体的には全く影響を及ばせませんが、精神を圧倒して蝕む、その麻薬によって。ニヅハナタと守隊の武器は相性が悪かったのでしょう。拒絶反応が出てしまい、手の施しようがありませんでした。もっとも、戦争が起こらなかったとしても、長年の服用のせいであと数年とて持ちはしなかったのでしょうが。結局、その方はミナヤ様に治療してもらうことになったのです。ミナヤ様ならどうにかしてくれると信じて託しました」

「ミナヤ様はその辺を考慮にいれてなかったの? その麻薬と相性が悪いって」

「だってその麻薬の原材料は、十年前にその生態系がこの世から消えたんですもの。まだ市場に出回っているものとは思いませんわ普通。亡くなった方も、今日では超を頭に付けなければいけないほど貴重になったニヅハナタを、極秘に入手していたようですから」

 ニヅハナタは、ニヅという植物から精製される。

 その植物は、ある特殊な条件下でしか育成できない。それが土壌の問題なのか、それとも魔に晒されることない、純粋な環境を必要としているのか……それは定かではないし、どうでもいいこと。

 とにかく、ニヅは既に市場から、そして、この世から完全に消え去った植物。

 それだけ希少価値の高いものであるからこそ、ジュは治療法を知らなかった。

「でも、知らなかったで済む問題ではないのです。わたくしは自分を許せない。医者という職業に与えられた、『人の命を救う』という使命を果たすことができなかったのですから」

 ジュが後悔に打ち震えていると、素知らぬ顔をしたミイは、近くに咲いていた、自身の髪と同じような赤色をした花を眺める。

 花を愛で、慈しんでいるミイは、いかにも姫様のしそうな行動だとジュには感じた。

 もっとも、それが本当に姫様らしい行動なのかはジュには知るよしもない。ミイがどんな宮殿生活を送っていたのか、ミイは教えてくれない。

「ふうん。そんなことで悩んでたんだ」

「わたくしは仕事に誇りを持っていますの。失敗したことは、わたくしにとっては――」

「しょうがないんだよそんなものは。運命。その人は結局、そうなる運命だったの」

 本当にこれはジュの知っているミイなのだろうか。そこまで冷血に割り切れる女であったとは。

 それは言い返せば、これまで隠していた一面を見せているということでもある。

「私もモヴィ・マクカ・ウィの姫だったから言うけどさ。人の命はなによりも大切と考えるのは偽善だって、普大抵考える。自分が殺されて、それでも笑いながら自分を殺した人間を想って祈ることができたら、それはもう聖人君子の域なわけで。こちらが『普通』の考えなんだよね。でもさ。少なくともセゴナは今んとこ、今回の戦争で死傷者は出してないでしょ。過去に遡って記録を紐解いても、怪我人は出たことがあるみたいだけど、致命傷ってわけでもなかった。人を傷つけるだけの行為ですら躊躇う。ミナヤ様がきつくお教えしているくらいだし、皆それを守ってる。これは、『異常』なわけ。『普通』は無理なのそんなの」

 それは常々ジュも思っている。

 セゴナは、そしてミナヤ=クロックは異常なのだと。

 理想の国を作ってはいるが、人間本来の性質を捨て去った国。どのような覚悟があれば、異常を普通と感じられる閉鎖空間を、肉体を維持しなければならないこの世に顕現させられるのか。

「これだからヒトは駄目なんだよ。私はそんなヒトたちを導いて、進化させてあげたい」

 それは、ミナヤ=クロックとおおまか同じ考え。そうであるから、ミイは司祭の資格を得るほど、ミナヤを信仰している。

 ミイはミイなりの考えがある。それがどのようなものであれ、ジュが否定することはなかった。

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