吾輩は猫である。いやそんなわけないだろう。
zakuro
一
どこで生れたかとんと
◇
いやそんなわけないだろう。吾輩は猫であるらしいが、猫は猫を猫と認識するであろうか。人間の言葉なのは
初めて人間を見た割には煮て食うという行為は知っているのか。近ごろの人間社会では
吾輩には全体的に人間が人間が猫になりきった様な文章に感じるのである。顔を装飾されるべきはずと感じるのはいかにも猫の視点であるが、人間の顔がツルツルとしているのを薬缶と
しかし、なにか途中から表現が
あまりに高名すぎて、冒頭と文体だけ合わせれば実は原文をろくに読んでいなくても
その本は吾輩の
話が逸れた。先ほど述べたように、吾輩はその本をほとんど読んでいないからである。ネタの枯渇というやつだ。もはや表現をそれらしくしようという努力も怠っていると見えるが、主語を吾輩とし文体だけ合わせていれば一応のそれらしさは残るので便利なものなのである。吾輩である。
◇
長く寝すぎたようで、おそらく
吾輩は人間である。名前はまだない。
いやそんなわけないだろう。名前はまだないってなんだ。これからつくのか。無戸籍とかだろうか。さぞかし苦労したことだろう。記憶喪失の身元不明者は戸籍を取得できるらしいので、これからつくのであれば幸いである。それから猫に名前をつけない人間はおそらくこれからもつけぬ。気の毒な我輩さんにニンゲンという名前をつけよう。吾輩はニンゲンである。
少し寝ぼけているとみえ、本でも読もうと本棚に目を向ける。目に入ったのは「吾輩は猫である」だった。
吾輩は二度寝した。
吾輩は猫である。いやそんなわけないだろう。 zakuro @zakuro9715
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