第140話 オーアタルダンジョン(12)
〜日本の剣聖 上泉信綱の視点〜
「せいっ!」
最強とは何か。
「やあ!」
ガギン!
頂点とは何なのか。
「とりゃあ!」
日本で新陰流という新たな流派を築いたワシは最強の座に『飽き』を感じておった。
「えいやぁ!」
キィーーン!
しかしどうだ!
この世界に来てからというものの、自分の剣が通じない敵がいかほど現れたか!
ワシが退屈することはなくなった。
「【新陰流・居合斬り】!」
キィイン!
人間でいう急所を狙って攻撃してはいるが、ごーれむとやらは痛覚がないらしく、体制を崩すことができても攻撃が効いておるのかどうかがわかりにくい。
「ふむ。やはりこの個体も今までの魔物と同じように守りの構えを取っているのであろうな」
これまでは物量で押し切れていたが流石は階層を守るという番人、生半可な力では上手くいかぬか。
ふむ。…ここはあえて新たな技を試す機会にするべきか?
幸いごーれむとやらは体制を崩していてしばらく起き上がる気配もない。
そういえば以前獣の頭の学者がワシの刀に炎を纏わすような技をやっておったな。
それに小童が魔法剣…のようなものについて語っておったような…。
丁度良い機会じゃ。それを試してみるとするかの。
「確か…剣や刀に炎や水流の魔法を纏わせて戦うのが魔法剣とやらであったか。ワシが使える魔法とやらに剣に纏わせることができそうなものはあったじゃろうか…」
ワシがこの世界に渡ってくるときに自らのことを女神と称する
「モノは試し…か。何事もやってみなければわかるまいて」
この火魔法とやらを使ってみるとするか。
「…何々?えー…【発火】!」
おぉ!ワシの手から小さいながらも火が出たぞ!
むっ?ワシの体から何かが抜け出る感覚がするの。
これが魔素というものか。
獣の頭の学者が魔法を使っておるのは見ておったが自分で使ってみるとまた何とも楽しいものであるな!
「しかし…このような小さな火では刀に纏わせることなどできないのではないか?…む?おお、力を込めれば火の大きさもそれに応じて大きくなるようじゃな。…よし、このくらいの大きさならば剣に纏わせることもできるじゃろうて」
最初は小指程度の大きさだった火を、刀と同じぐらいの大きさまで大きくした。
ふむ。魔法とやらはこんなに便利なのじゃな。
これからは魔法も積極的に新陰流の型に取り入れていかねばならんというわけだ。
ウィーン、ピピピピ。
「あとはこれがどのくらいの威力があるのかだな」
吹き飛ばされて倒れていた2体のごーれむとやらが起き上がってきたので、そやつらで魔法剣の威力を試すとするかの。
「くらうがいい!ふんっ!」
おぉ!今まで効かなかったごーれむの体に一太刀で傷がついておる!
「炎の刀は威力が上がっておるようだな。そうさな…。【新陰流・炎華咲き】とでも名付けるとするかな」
また日本の桜吹雪を見てみたいものじゃのう…。
「…さて、他の魔法も試してみるかの」
次は土の魔法にしてみるかな?
「この魔法は…地面を移動させる力があるようじゃな」
ふむふむ。名称が…土移動というのか。
「意外と扱いが難しいのだな。…よし。これでどうじゃ?」
その魔法を発動すると、刀に纏っておった炎が消えて刀には地面を移動させて防御力が高そうな岩を纏わせることができた。
「これはまた面妖な」
いざ、試させてもらおう!
「でやあぁぁぁ!!!」
ガゴォン!
ワシの放った一撃を受けたごれーむは2体とも大きく吹き飛ぶと2度と起き上がってくることはなかった。
◆
〜リュウジの視点〜
スガルたちと一緒に緑色のゴーレムちゃんを倒してから後の3人の様子を見に行くことになった。
まずはゴブノスケたちのところに行くと、丁度2人が連携技で白色と紫色のゴーレムちゃんを吹き飛ばしているところだった。
ふと信綱お爺ちゃんがいる方へ目を向けると、刀に岩を纏わせた状態で赤色と黄色のゴーレムちゃんを吹き飛ばしているのが見えた。
『『4体のゴーレムの魔素量の減少を確認。このままでは素材を落として消えてしまう確率が高いため速やかにテイムスキルを発動することを推奨します』』
えぇ!それはマズイよ!
「【テイム】!」
『『オーアタルダンジョン・サブモンスターの討伐、捕獲を確認しました。そのため、[目標“サブモンスターを10回討伐する”・報酬:???のレシピの切れ端(3)]、[目標“サブモンスターを11回討伐する”・報酬:???のレシピの切れ端(4)]、[目標“サブモンスターを12回討伐する”・報酬:魔道コアのレシピ(1)]、[目標“サブモンスターを13回討伐する”・報酬:魔道コアのレシピ(2)]を獲得しました』』
す、すごい数の通知だね…。
『『またすべての同じレシピが載った切れ端を集めたため、レシピの???の部分が明らかになります。[魔素感知装置のレシピ]を手に入れました』』
魔素感知装置?
『『この世界の生物は誰でも体内に魔素を持っています。その魔素は指紋と同じように個体によって異なるということが確認されているのです。この装置ではその個体によって異なる魔素を判別して認識することができます』』
へー。それで何ができんの?
『『えー…。マスターでも分かるぐらい簡単に説明しますと、1度登録した魔素であれば特定の条件下でこの世界のどこにいてもその場所が特定できる優れ物の装置なのです』』
へー!それじゃあ迷子とかになったときに便利だね!
『『もっといい使い方があるのですが…まあそういうことになります』』
まあ、そういうのを手に入れたと。
よしじゃあ次にゴーレムちゃんたちのステータス確認行こう!
『『一応この装置のレシピは過去に製作方法が失われたロストテクノロジーの一種なのですがね…』』
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