第12話 盗賊逮捕(1)

いつ盗賊たちが戻ってくるかわからないので軽ーく打ち合わせをして盗賊捕獲の作戦を立てた。作戦はこうだ。


・まず盗賊たちが帰ってくるまで物陰に隠れている。

・盗賊たちが帰ってきたら出来るだけ戦闘を避けながら1人ずつ気絶させ戦闘不能に

 する。

・最後にガモスを捕獲する。


短時間だったのでこのぐらいまでしか決まらなかったが、何も決めていないよりは

ましだろう。ここまで決めたとき、入り口付近で監視をしていたゴブノスケが戻ってきた。


「集団の足音が聞こえてきました。例の盗賊一味が帰って来たと思われます」

「もう?予想より早いけど…。まあ大まかな作戦は決まったからみんな配置についてくれる?」


僕たちは倉庫の食料の入っていた袋の中に隠れた。すると、誰かの話し声が聞こえてきた。


「いや~、やっと帰って来れましたねガモスさん」

「今回の遠征は結構遠くまで行ったからなぁ…。しかも何にもなかったんだからくたびれもうけだったなぁ」

「まあ一先ず部屋に戻っててくだせえ。俺たちが食事を持っていきますんで」

「おう。お疲れさん」


ガモスと思われる鴨頭の男がさっき僕たちがいた部屋に入って行った。付き添いの男と後から来た男たちが合流して、ガモスの部屋の前の広場のような空間で酒を飲み始める。全部で……6人いるな。さっきガモスと話していた男は盾を持っており、それ以外の5人の男たちは弓を持っていた。これからどう動いてあいつらを捕まえよう

か…。


「おーい。そろそろ誰か飯作ってくれよ。今日の当番は誰だ?」

「あっ、俺ですー。そうですね、今日はめでたい日なんで肉使っちゃいましょうか」

「よーし、じゃんじゃん使っちゃえよ!材料は腐るほどあるんだからよ!」


これから料理するのだろう。1人の男が食料の倉庫までやってきた。これはチャンスだな。僕たちは袋から出てきていつでも攻撃できるような体勢になった。


「えーっと、ラッシュボアの肉は…うっ!」


男が向こうにいる男たちから見えない位置に着た瞬間にマサオが男の頭を叩き、男を気絶させた。すかさずソウタロウがブレーンコントロールを使って男を洗脳した。


「何なりとお申し付けください、ご主人様」

「よし、洗脳完了です。早速ですが、向こうにいる男たちの中から1人こっちに誘導させてください」

「わかりました。」


そういうと男は仲間の方へ戻って行った。


「あのー、肉が重くて1人で運べないんで誰か手伝いに来てくれませんかー?」

「おいおい、どんだけでかい肉を使おうとしてんだよ。おい、誰か行ってやれ」

「わかりましたよ。俺が行ってきます」


よし!また1人こっちに来たぞ。


「おーい。どこの肉使おうとしてん、うっ!」


さっきと同じように気絶させ、洗脳を施した。

さっきと同じ方法じゃ怪しまれるから違う方法で後2人は洗脳させないとな…。


「何かいい誘導する口実ない?」

「うーん。虫が出たと騒ぐのはいかがでしょう。どんなところにもあの虫は出てくるので怪しまれはしないと思いますが」

「それは嫌っすね。俺なんか見ただけで逃げ出したくなるっすよ」

「よし、それでいこう」

「だ、誰か来てくれ!む、虫が出た!俺たち怖え物はないが、2人ともGだけは無理なんだ!」


虫という言葉が出た瞬間、男たちはガヤガヤ騒ぎ出した。


「Gだと?Gってあのゴキブリか?おい、誰か助けに行ってやれよ」

「お、俺らもGだけは無理ですよ。部隊長が行ってくださいよ」

「お、俺は急には、腹が痛くなってな、ここから動けねぇんだ…。ってことで、他の奴が行ってこい!」

「ずるいですよ隊長!そうだ、全員で行きましょうよ。そしたら不公平じゃないでしょ」

「い、言ったな!じゃあ全員来いよ!俺だけを残して逃げ出したらお前ら許さねぇからな!」

「わかってますよ。そんなことするわけないじゃないですか」


そう言いながら4人の男たちがこちらに向かってジリジリと近寄ってきた。


「ど、どこにGが、っ!な、なんだおま、うっ!」

「ど、どうしたん、うっ!」


姿を見られたと悟ったとたんにマサオやゴブノスケが4人を無力化してくれた。

ソウタロウがすぐに洗脳をしたのでこれでこの洞穴の中にはガモス以外がこちらの味方ということになる。


「ガモスって人は幹部の1人ってわけだから強いんでしょ?」

「はい。ガモスは弓の扱いがとても上手くて、ここにいる俺以外の奴は弓を獲物に使っています」

「ソウタロウ、なんかいいアイデアある?」

「さっき食事を持っていくと話していましたよね?ではそこに森の中で私が採取したすり潰して混ぜると睡眠薬になるネムナール草を混ぜ込みましょう」


炊き込みご飯のようなものにネムナール草?なるものを入れ、洗脳した男の1人に食事を運ばせた。やがて少し時間がたってからガモスの部屋をのぞいてみると、見事にぐっすり寝ているガモスの姿が見えた。


「グオオオオオオオオ。グオオオオオオオオ」

「見事に熟睡しているな。どんだけすごいんだよそのネムナール草って…」

「そうですね…。原液はドラゴンも眠らせることができると聞いたことがありますが…。真実はわかりません」

「よし、当分起きることはできないだろうけど今のうちに洗脳済ませちゃおうか」


少し不意打ち感があって罪悪感が残るが、せっかくソウタロウが提案してくれたのでやらないわけにはいかない。仲間が増えるのもいいことだと思うしな。

どうやら洗脳が終わったようだ。男たちより少し時間がかかったかな?


「何なりとお申し付けください。ご主人」

「申し訳ございません、リュウジ様。この者は思ったよりも強者だったようです。このスキルは相手の強さによって洗脳にかかる時間が増えてしまうのです。作戦を見直す必要があるかもしれません」

「まあまあ。結果的に洗脳できたわけだから気にしなくていいよ」


あんまり気にされるとこっちも気まずくなるからね…。まあとにかく盗賊一味の1人

捕獲完了!(洗脳だけど)

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