第47話 湖の主
ティファールで十分な成果を得たミナは、毎日日中に少しずつ西に向かってはティファールに転移で戻り、西への転移可能距離を伸ばしていた。
夏頃になると、湿原地帯を超えて湖に到達していた。大陸の巨大湖だけあって向こう岸が見えないほど大きな湖だ。
水の精霊と戯れるように湖上を滑るようにして進んでいると、眼下に大きな影のようなものが現れた。
ふわりと上空に舞い上がると、今までいた場所をバクンッとする様に噛み付く全長10メートル程度の翡翠の龍が現れた。鑑定するとリヴァイアサン(食用可、美味)と出た。
「食用可能なのね・・・」
大きすぎて想像もできないけれど、ウナギの蒲焼みたいに美味しいのかしら?
水生動物なら電気が良く効くはずと考え、精霊瞳を大空の雲に向けて上空大気の大精霊の流れを利用するように大電流を発生させるイメージを固め気合を入れた一言を発した。
「落雷!」
ミナの周囲に張った落雷&騒音避けの真空遮断結界を掠めるようにして周囲が光に包まれた。しばらくして周囲に静けさが戻り眼下の湖を見下ろすと、リヴァイアサンは湖面に浮いて死んでいた。
アイテムボックスに収納して蒲焼に加工して串焼きの状態で取り出して齧り付いた。
「おいし〜い!」
大きさ的にウナギとはちょっと味が違ったけど、脂が乗って美味しかった。
こんな美味しかったらウナギみたいに狩り尽くされて絶滅の危機に瀕するのはと的外れなことを考え、次回見たら素直に逃げようと心に決めた。
湖上を低空飛行するのはやめて、湖の畔に沿って南側から迂回するように進むと、淡海周辺のような過ごしやすい広葉樹の森林地帯が広がっていた。
なんだかエルフが出そうな植生だけど、エルフが住む北の大森林地帯よりかなり南に位置している飛び地の森林地帯だから、大丈夫なのかしら?
人族がこのあたりを空白地帯としているのは、植生から想像されるエルフへの恐れが起因しているのかも知れないわね。
ここは隠遁生活の穴場として記憶しておくことにしましょう。
◇
湖の西端に到達してしばらく西を進んでいくと南北を走る街道を見つけた。
それにしても大きい湖だった。生前地理で習ったヴィクトリア湖くらいありそう。
湿地と合わせるとガーランド王国から陸路で行くのは普通の人には厳しいから、セイレン王国の存在は海路による伝道なのかしら。
問題は南北どちらにいくかだけど、やっぱりフランチャイズ展開するなら海路が約束されている南かしらね。
そう考えると道沿いに南に飛翔した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます