第41話 城塞都市ミドガル
体が軽い!
以前、白竜さんが小竜に飛び方を教えることを思い出したと言っていた意味がわかった。今までと違って制御に気を取られることもなく、無意識のうちに思うままに飛べた。また精霊瞳の影響なのか惑星上の転移の距離に制限がなくなった。これで一度行った場所ならいつでもどこでも行ける。
そんな解き放たれたような感覚で空を自由に舞っていると遠く南に城塞都市が見えた。
随分と堅牢な作りをしているようだ。
先ずは第一歩としてあそこに行ってみましょう。
◇
ふわり。
城塞都市の門番の列に降り立ったミナは、何食わぬ顔をして検閲の待ち行列の後ろに並んだ。突然空から降って現れた見目麗しい少女に、周りの人は驚いた顔をしていたが、そういったことを気にする感覚はもう失っていた。
やがてミナの番が来ると、ギルドタグを見せながら旅の冒険者ですと言い切った。
通行料を受け取りながら、旅をしているという割に何も持っていないので不審に思ったが、アイテムボックスから荷物を取り出してみせると、門番は目を白黒させた。ともあれ不審な点は解消されたので通ってよしと通行を許可した。
◇
城塞都市の市場や街並みを一通り確認した後、ギルドに寄り周辺地図を手に入れた。
途中、ミナの美貌に目をつけた年頃の男達が次々のアプローチしていったが、中身百歳ということもあり、諍いを起こすことなくうまく躱していた。
気負うことなく、ただ前を向いて誇り高く生きていく。
人間として完成されたミナの姿がここにあった。
城塞都市ミドガルは、エルフとの抗争の拠点として堅牢な作りをしていたが、取り立ててミナが興味をわくことはなかった。
丁度大陸の中央から南下してきたから、アーランド大陸側の東の海岸か、まだ見ぬ西の巨大湖を有する湿原地帯か、南端の地中海性気候と思しき街か。
東は無いかな、そちらから来たのだから。とすると、南か西かだけど、先ずは南でオリーブオイルみたいなものがないか探して石鹸の開発でもしましょうか。西はそれからでも遅くないわね。
そう結論付けると、南へ向かって飛び立った。
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