第19話 逃亡
銃撃戦の後、機動隊員の死体の転がる聖堂にイドニスと宮仕、フェイは集まっていた。
フェイ「俺は公安部の人間だ。
救世院の調査のために派遣されていた。」
イドニス「そうだったのですか…。」
フェイ「このロゼリアという国は、この救世院を危険な思想を持つ団体とし壊滅に乗り出した。
さっきのはそのために派遣された機動隊だ。
もうすぐ増援が来る。」
イドニス「そうですか。」
フェイ「だからマザー、どこまで逃げれるか分からない。
だけど逃げてくれないか!
このロゼリアから!」
イドニス「フェイ、気持ちはありがたいですが私達は逃げ切れない事は分かっています。
そして私達がしてきた事も理解しています。」
フェイ「マザー!あんたは生きてくれ!」
イドニス「私達は救世の徒。
私達は死の闇と戦い、世の苦しみにも慈悲と慈愛を持って、救世の信仰を持ってやって来ました。
私達の信仰と想いは強い。
この先、私達を待ち受ける運命は救いなき苦獄の死、死まで続く永遠の闇。」
フェイ「ああ、そうかもしれない!
だけど、生きていたら…生きていたらいつかは…!」
イドニス「フェイ、あなたには私達をこの死獄から救うことが出来る。
国から追われる私達を哀れんで下さい。
そしてその苦しみに慈悲と慈愛をお与え下さい。」
フェイ「マザー…。」
イドニス「こうしている内にも追ってはやってきます。
さあ。」
そう言うとイドニスと宮仕達はひざまずき、手を合わせ胸に当てた。
フェイは無言になると宮仕の頭に銃を向けた。
フェイ「………。」
パンッ
乾いた音と共に宮仕は床に倒れた。
イドニスと宮仕達は手を合わせ胸に当てている。
1人、また1人と宮仕達は倒れて行った。
そしてイドニスが残った。
イドニス「フェイ、あなたにこんな事を頼んでしまって申し訳ないと思っています。
あなたのくれた慈悲と慈愛を私達は忘れません。」
そう言うとイドニスは手を合わせ胸に当て目を瞑った。
静寂の後、パンっという乾いた音が鳴った。
イドニスは床に倒れた。
こうして救世院の人間はいなくなり修養者達だけが残された。
救世院は壊滅された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます