第16話 報告書
翌日の朝。
部屋のドアを叩く音がして目が覚めた。
コンコン
宮仕「フェイさん、もうじき朝礼が始まります。
準備が出来たらお越しください。」
フェイは準備を済ませると、あまり眠れなくて寝ぼけている頭のまま食堂へ向かった。
イドニス「皆さんおはようございます。
今日も新しい一日を迎えました。
あまり代わり映えのしない毎日のようにも思えてしまいますが、日々は変化していきます。
私達も日々を一新して前を向いて行けるよう務めて行きましょう。
では今日を始めます。
皆様によい一日を。」
食堂の一堂「よい一日を。」
フェイはまた何もする気になれなかったのでそのまま食堂で過ごすことにした。
気分が悪い。
頭の中が整理出来ていなかった。
すると以前傘を一緒に作っていた女性が隣に座ってきた。
修養者の女性「ここは沢山の事情を抱えた人がいる。
だけどマザーも宮仕の人達もとてもよくしてくれる。
皆そういう中にいるけどいっぱいいっぱいの中で皆生きてる。」
フェイ「…。」
修養者の女性「私はマザーや宮仕さん達のおかげで何とか毎日を過ごすことは出来ているの。
あまり辛い事ばかり考えないで。」
フェイ「ありがとう。
心配してくれたんだね。」
そう言うとフェイは今までの出来事に思いを巡らせた。
一日中悩んで夕食を済ませると自室に戻った。
フェイはこの事をどう報告するか悩んでいた。
ここでは殺人が行われていた。
放っておけばまた次の犠牲者が出る。
しかし、殺人が行われていなくても、犠牲になった人達には苦痛の不幸な生しか残されていない。
フェイは戸惑っていた。
連絡が5日以上ない時は公安部が来るようになっている。
フェイは気持ちがまとまらないままだったが、内容をノートにまとめ指定の場所に持っていった。
救世院での殺人。
死の闇に生きる人々。
公安部はなんと判断するのだろうか。
しかし、隠し通すことは出来ない。
フェイは何も考えられないまま、夜が更けて行った。
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