第8話 新年の閣議

 1月10日、閣議の席で経産大臣の中根が話を始める。秘密保持の観点からペーパーなしの説明になる。この件は、加藤首相とは数ヶ月前にFR発電設備開発については報告済で、最優先で進めるようにという合意を得ている。

 ただ、もう少し成否がはっきりしてからということで、閣議の席ではまだ公表していなかったのだ。しかし、詳細設計までほぼ完了して設備の形がすでにはっきりしてきており、成功できるとい目途がほぼたったという判断から、新年最初の閣議で公表することになったのだ。


「ちょっと、皆さんにお話ししなければならないことがあります。現在、私どもの省が補助金を出して開発が進んでいるあるプロジェクトがあります。それはフュージョン・リアクター開発計画、略してFR計画と呼んでおり、昨年8月に立ち上げたものです。

 これは、名の通り、核融合発電装置を開発しようというものです。現在設計がほぼ完了して組み立てに入ろうとしている施設の規模は10万㎾のもので、これ以下のものは原理的に難しいためこの規模になったとものです。

 このリアクターは、水素をいわば燃料として供給すれば、電力を直接取り出せるというものです……」


「そんな馬鹿な!トリチウム(3重水素)も使わず核融合?しかも、電気を直接取り出す?そんな都合の良い話がある訳はない!そんなものを作ろうとするなんて騙されているんだ!水をガソリンに変えるという詐欺師に騙された戦前の山本五十六の轍を踏むよ。悪いことは言わない。すぐに止めることだ!」


 科学・技術に強いという自信のある、文部科学大臣城田が吐き捨てるように言う。その言い方に、中根は当然ムっとしたが理不尽な人ではない城田であると知っていたので説得を試みた。


「ええ、8ヶ月前なら私も同じ意見でした。だけど城田さん、昨年の物理学会での発表、それからネイチャーへの論文による騒ぎをご存じでしょう?」


「う、うん?ああ、確かに騒がれたな。江南大学の論文が……。ああ常温核融合、つまり超高温のタキオン化を必要としない核融合、それに核融合の結果として電子のみを取り出すというプロセスが可能であるのを立証した論文が発表されて物理学会では大騒ぎになったな。

 結果として、世界の最高権威とされているケンブリッジ大学のピーター・トマソン教授が絶賛して正しいと言ったということで、概ね片がついた格好になっている。とは言え、それはあくまで理論の話であり、実証するだけでの10年はかかるだろうに?」


「ええ、普通であればそうでしょう。しかし、実はあの論文はその実用化への操作条件やその証明といった部分は省いたものなのです」


「うん!つまり、実用化に必要な解明もすでに済んでいるということかな?」


「はい、だから、その装置の概念計画、基本設計と詳細設計はすでに済んでいまして、組み立てに入ろうとしています」


「え、ええ!そのような途方もないことが……。しかし、君がそれだけ自信満々で言うということはそうなんだろうな。であれば、先ほどの言葉は取り消してお詫び申し上げる。では是非詳しく説明してほしい」


 そのやり取りを、首相と進行役の川村仁官房長官を始めすでに話を聞いているメンバーは面白そうに見ていたが、議論の片が付いたとみて、川村官房長官が中根に説明の続きを促す。


「では説明を続けさせて頂きます。

このFR試験機において、燃料たる水素は水道水を電気分解するので、装置への燃料供給としては水道水を繋いでおけばいいということです。放射能は一切出さず、反応温度、つまり運転温度は500℃以下、大きさは大体幅5m、長さ10m、高さ5m位のものになります。


 開発費は、当初最大50億円の枠を取っていましたが、エネルギーに係わる国際的な状況がさらに悪化したことから、開発を急ぐためにコスト度外視に転じたことから70億を超える見込みです。この費用は民間の新技術開発の補助金制度のものを適用しております。

 開発の進行状況ついては、先ほど申し上げたように開発の内の実証装置の詳細設計は殆ど終了して、必要な機材の注文も大部分終了しています。それら機材の生産、組み立てには半年試験各機材の試験運転に1~2ヵ月、8月には総合運転を始められる見込みです。


 これだけのものが、僅か1年数ヶ月で出来るのですから、極めて順調であると思っています。開発の総合指揮を執られている江南大学の山戸物理学教授、装置の開発の指揮を執っておられる川村工学部教授および、このプロセスの理論を確立された牧村准教授のご努力に感謝する次第です。

 とは言え、プロセスの実現性については一応世界の物理学会からの同意は得られたと言って良いと思いますが、それに基づいて作った装置が本当に機能するかについては、私は機能すると信じていますが、誰も実証していない訳ですので、疑問を持つのは当然です。


 しかし、実現した場合の果実の素晴らしさを考えれば、このプロジェクトをやらないという選択肢はなかったと思っています。閣議に諮らず開発に走ったことは、申し訳なく思っていますが、私はこの成否に職を賭けるつもりでありますのでご理解願います」


 そう言って皆に頭を下げる中根に、首相の加藤が頷いて、出席者に向かって言う。

「中根大臣は、これを省内での開発プロジェクトとして始めた訳だけど、当然職員に内容を照査させて内容が有望であれば、予算を付けて進めるというプロセスを取っています。だから、山根大臣の職責から見て彼の判断としては、全く正当であると私は思っています。

 そして、フュージョン・リアクターの実現性について、彼自身で得心した段階で私と官房長官に報告が上がっています。それに対する、私と官房長官の判断は、理論的に可能とされていて、加えてその余りの成果の大きさを考えれば、『やらない』という選択肢はないということです。


 あらゆる新規の開発品は実際にやってみないと有効性は判りません。

 このフュージョン・リアクターは我が日本が世界に大きく貢献できる発明品ですし、様々に苦境に置かれている日本の反発の起爆剤になります。私も大いにその成功を期待しています。この席に持ち出す時期が遅れた点は、主として私自身が機密保持を考えた私の判断ですので、中根大臣の責ではありません。

 本件において中根大臣の彼の判断と行動には瑕疵はないどころか、賞賛すべきと私並びに川村官房長官は判断していることは申し上げておきます。

ただ、このフュージョン・リアクター余りに画期的であるために、成功した場合には大きな副作用もあるようなのでその点の説明を、なお中根さんにお願いしたいと思います」


 それを受けて、再度中根が話し始める。

「総理の言われる通り、このFR機は実用化させることで副作用もあります。ただ、そのメリットはネガティブな面を遥かに上回りますので、その点も合わせて説明します。

 さて出力10万㎾のこの装置は、規模として十分実用レベルですが、あくまで実証のために建設しております。これは、小型機として規格化して実用にしますが、現状の試算では1機20億を切ります。

 既存の同出力の重油発電機が50~60億円程度に比べると大幅にコストダウンしています。しかも、片や重油が1時間8k㍑必要なのに対して、片方は1㍑に満たない水道水ですから、ライフサイクルコストを比べれば段違いになります。


 本設の発電設備は基本的に標準機として100万kWを考えており、それ以上の出力が必要である場合には、標準機を複数建設します。その点は、現在の原発が110万㎾の設備を標準としている点と同様です。

 この場合は、対抗するのは原発ですが、その建設費の差はもっと大きくて、原発の110万㎾機が、電源設備を含めて3千5百億円に対して、FR機では100万㎾ですが同じ条件で300億円はかかりません。更に運転コストに関しても、核燃料と放射能の対策費に対して燃料としてのただの水ですから比較になりません。


 これで、従来の発電装置は石油、石炭、ガス、原子力といわず間違いなくスクラップですよ。従って、電力会社の発電施設はすべて資産価値ゼロになるわけです。そのため、電力会社は発電設備をすべて全損にする必要があるため、莫大な資産減に見舞われるわけです。

 これは、大体全国の電力会社を合わせて、概算で10兆円余りになります。この額は、残念ながら、電力会社の体力を超えていますので、何らかの救済措置が必要です。

 さらに、所有する設備が資産価値を失うの電力会社に限りません。現状の車両及び工場設備から、ほとんどすべての施設は現状の電力費として㎾時当り10円から20円を前提にしているわけですが、これが、間違いなく5円以下になります。

 ですから、現在化石燃料を焚いてエネルギーを得ているあらゆる設備は、急速に電気利用に代わるでしょう。そうなると、化石燃料を供給する会社のみならず、発電機は勿論、極めて広範な設備、機器の製造、メンテナンス等をしている会社や人たちは仕事がなくなるわけです。

 さしあたって、発表したとたんに電力やこれらの会社の株式は暴落しますね」


 山根が言葉を切って見渡すと、状況を知っている数人は平静であるが、他は顔が強張っている。それを確認して中根は言葉を続ける。


「ああ、これも報告しなきゃなりませんが、皆さんもご存じのはずの年末から騒ぎになっている超バッテリーと新型のモーターは同じく江南大学から齎された発明です。

 この電池は、今までのように化学(ばけがく)的に蓄電するものでなく、この新しいFRの原理で金属原子から電子を吐き出す仕組みだから、従来の常識を破る大容量のものが極めてコンパクトにできます。


 この電池は重量が2㎏のもので、百㎾時の大容量のもので値段は2万円程度というのですよ。つまり、この電池があれば、車に使う場合1回充電すると千㎞位は走れるということです。ただ残念ながら充電は出来ませんので工場で『励起』する必要があります。

 しかし、先ほど言ったように2㎏の重量ですから、電池交換は容易です。だから、長時間かけて充電する必要があるのに比べると、交換のシステムを作り上げればずっと便利だと思いますよ。電力自動車の泣き所は、高価かつ重い電池と小さい電池容量と長い充電時間でした。


 それが解決されるわけですので、FR式の発電による安い電力と相まって、電気自動車に移行するのはずっと早い時期になるでしょう。日本のメーカーが磨いてきた、エンジン技術が使われなくなるのは残念なことですが、自動車関連もまた大きな影響を受けます。


 それと、モーターですが、これは電池ほど画期的ではないけど、銅の巻き線の代わりにアルミの鋳造で代用でき、かつ出色を挙げることに成功しています。従来の2/3程度の大きさで、重量は半分以下になるということです。

 アルミは、今のところはそこそこ高いけど、精錬に必要な電力が劇的に下がると鉄と大差なくなりますし、資源量としては銅より多いですからね。


 これだけの開発が、今年中に完成して実際に普及し始める見込みなんです。すごいメリットはあるけれど、先ほど言った既存の業界の利害を思い切り犯すことになります。これをどう軟着陸させるかが、我々政府の重い役割になります」


 中根は再度言葉を切って、同僚の閣僚達が関心を持っていて理解しているのを確認した。そこに言葉を途切れたことで、友人の防衛大臣である丸山が言う。


「しかし、中根大臣、君も大変だな。フュージョン・リアクターの開発を主導したのも君だが、さっき言った開発による余波の対策を主導して行うのも君だ。これは君の経済産業省のみでは手が回らないだろう。これは、全官庁をあげてやらないと追いつかない」


 それに、加藤首相が大きく頷いて言う。

「丸山大臣、よく言ってくれた。その通りだ、主管を移す訳にはいかんだろうが、人を経産省に集める必要がありだろうな。直接関係する、総務省、法務省になどについては、ある程度縄張りを広げて対応して欲しいのと、他の省庁も人事(ひとごと)と思わず大いに協力してほしい」


「しかし、明るい面もありますね。温室効果ガスの抑制という意味では、このシステムの導入でわが国が掲げた温暖化ガス実質ゼロは間違いなく達成できます。実際のところ、気象変動による気象の激烈化はもう座視できない状態になっています、だから、これらのシステムの導入は人類の未来のために避けられませんものね」


 環境大臣の三宅澄江が明るい調子で言う。彼女にとっては、『2050年の温室効果 ガスの発生ゼロ』などは技術革新頼りで、到底実現は見通せなかったのだ。中根はそれを受けて再度口を開く。


「三宅大臣の仰る通りで、温室効果ガスの問題解決はこの開発に明るい面です。

 さらに。皆さんもお分かりのように、これは我が国とって歴史始まって以来という位のチャンスです。現在の発電装置はすべて、我が国の場合でいえば5年以内に廃棄になって、この方式に変わると想定しています。

 稼働中の原発も、休止中のものも例外なくですね。また、すべての車も発電機と同じで、近いうち、たぶん同じく5年以内にすべて電気自動車に入れ替わります。また、工場設備の燃焼によって熱を出している全てもシステムも同じことが言えると思いますよ。


 民間が利益を追求するという経済原則に従えば更新するしかないのです。ですからここ5年くらいに極めて莫大な施設の更新による設備投資、消費者の買い替えによる需要が生じます。これらの需要による消費は、我が国のみで200兆円余りになると考えています。

 つまり、民需として5年で200兆円の需要が突然現れるわけです。当然、これは直接の需要ですから、さまざまな波及効果があって倍くらいには少なくともなると試算されています。


 一方で、現在我が国が輸入している化石燃料の輸入額は1年で15兆円余りになります。これが、電力分のみでは、8兆円程度ですが、申し上げたように輸送機器や工場などの燃料として使わなくなれば、化石燃料の輸入は現在の15兆円から、2〜3兆円になります。

 すなわち、5年程度で100~200兆円の新たな需要が生まれ、さらには、燃料費として海外に出ていたお金が12〜13兆円減ります。


 そこにおいて、我が国は幸か不幸か金だけはあるんですよ。だから、銀行は200兆でも300兆円でも、民間が必要で、かつ明らかにメリットがある場合は貸しますよ。今の銀行は、誰も金を借りてくれないから国債を買いたがるというおかしなことになっています。

 間違いなく、この後の5年間の我が国の景気はすごいことになります。また、国際的にみれば、これらの技術が日本発であるという、このすごいアドバンテージを生かさない手はないでしょう。

 今後、我々政府がどう対応するか、知恵を絞る必要があります」


 そこで加藤首相が引き継ぐ。

「みなさん、聞いての通りです。この件は、発表がある時には政府がこのインパクトに対して万全の対策を取っていることを示す必要があります。そこで、装置が実際に動くことを確認し次第、私から国民の皆さんに呼びかけます。

 中根さん、今の予定では8月末程度に確認できるということですね?」


 首相の問いに中根が答える。

「はい、そう聞いています」


「わかりました。時期としては進行を見ながらになりますが、試運転が成功した段階で、開発の意義とその巨大な影響に対する国としての対応策、さらに国民の皆さんに望む対応を発表します。

 経産産業省は勿論、財務、総務、文部科学、経済企画庁等の関係する各大臣の皆さんは、各省において対応策をまとめてください。もちろん、これに関する情報量は開発を主管した経済産業省が先行していますから、当面次官の山本さんを窓口としますので、集まって協議したうえで進めてください」


 首相は言い、それから出席者を見渡して続ける。

「さて、実は今日はもう一つ防衛省から重要な発表があります。丸山大臣お願いします」


 丸山はそれに応じて、立ち上がって説明を始める。

「はい、総理わかりました。私の場合も秘密保持の観点からぺーパーは配布しません。まず経緯を説明します。

 現在世界に核の脅威が今までになく迫っており、わが国もロシア、北朝鮮、中国と敵性とは言わずとも緊張関係にある核保有国に隣接しているのは、皆さんもご承知の通りです」


 言葉を切って、出席者を見渡すと各々が頷いている。

「だから、核兵器を無力化できる方法は切望されていましたが、まったくそのような方法は見つかる手がかりもありませんでした。従って、ミサイル迎撃など核兵器の運搬手段を迎撃するという方法のみが追及されていた訳です。しかし、昨年ですが我が防衛省は核爆弾を爆発させない仕組みの開発に成功しました」


 丸山が胸を張って、出席者を見渡すと始めて聞く多くは目を見張っている。

「へえ。今日はまた2つも途方もない開発の話を聞いたな。謹聴しますので、どうぞ説明を続けてください」

 口を挟んだ文部科学大臣城田に応じて丸山は話を続ける。


「これは、ある特殊な電磁波を照射することで、一定範囲の核弾頭の核分裂物質の活性を弱めて爆発させないようにするものです。その技術を詳しくは申せませんが、すでにアメリカで実際の核弾頭を使っての試験は済んでおり、その効果は証明されています。

 これは、わが国では現在迎撃ミサイルと戦闘機のF15に搭載し始めております。こうした形で、あと2ヵ月あれば概ねの日本の核ミサイルに対する核爆発を防ぐという意味での、防衛体制は整います。


 ただ、ミサイルそのものを撃ち落とすようなシステムではありませんので誤解のないようにお願いします。とは言え、核ミサイルは核弾頭が爆発しなければ、弾頭なしのミサイルに相当していますので、仮に首都圏に着弾しても、大きな被害は無いと判断しています」


 丸山が話を切って香川外務大臣を見ると、それを受けて香川が話し始める。

「ロシアは我が国も含めて全方位で核の脅しをかけてしますが、実際にその脅威を直接的に受けているのが、ロシアとの戦争当事者のウクライナです。結局ロシアの核の脅しで、すでにロシアに武力で勝っているのに、東部諸州の奪還が出来ない状態になっていますのでね。


 それで、丸山大臣が今言われたようにアメリカでの実験が終わった状態で、アメリカでも核無力化装置(NDD; Nuclear Disempower Devise)の製造は始まっていて、彼らは全力でそれを作っています。アメリカでは日本と同様に戦闘機とミサイルに積むことを標準とするようです。

 ウクライナにもまもなく着くはずですが、彼らは制空権をほぼ確保していますので、戦闘機に積むようですね。多分、近くウクライナの東部諸州での反抗が始まるでしょう。いずれにせよ、今回のNEDの開発ではアメリカからは大いに感謝されています」


「ああ、ジェファーソン大統領から私にわざわざ感謝の言葉があったよ。どうも、アメリカは核兵器全廃に踏み込むようだね。無論、世界を巻き込んでだけどね。なにしろ、ミサイルに積んで敵のミサイル基地に撃ちこめば弾頭を無力化できるからね」


 首相が外相の言葉を補足すると、閣僚達は驚いて口々に言う。

「なんと世界の核兵器全廃かあ!」

「核兵器全廃とはねえ!」


「うん、考えてみれば当然なんだ。ロシア、北朝鮮、中国はともかく、西側諸国にとって、核兵器は完全に相互破壊のためのもので、その絶対性が失われれば単なる金食い虫だ。そして、それに対する確実な防衛手段があって、相手のものを無力化する方法があれば、廃棄というのはある意味当然だ。

 しかもアメリカは通常戦力において、突出した力を持っている。彼らが全廃を言うのは当然だと思うぞ。丸山大臣、香川大臣説明をありがとう。この話はこの位で終わりたい」


 首相の言葉に出席者は大いに頷いているが、首相は続けて話を始める。

「この2件の話について、特に1件目のフュージョン・リアクターの件は、極めて重要なインサイダー取引の情報になります。

 もし、今日の情報を他に漏らした場合、あるいは株式の取引等で個人的な利益を得ることに使われた場合、告発されることを覚悟してください。さらに、これは国益上で極めて重要な情報です。この秘密は厳に守られるようにお願いしておきます。この件は、公安室に私から監視するよう指示しておきます」


 この話を最後に内容の濃い正月の閣議は終了した。

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