第7話 神民登録

 俺のカードデーターを、魔道具の上に乗せるとしばらくして文字が浮かび上がってくる。



 79,539,831位

 クスノキ シゲト

 守護:オリエント

 1階梯

 所属

 スキル

  剣術 集中

 


 ん? いち、じゅう、ひゃく、せん……ほぼ8000万位って……わけわからないな。この世界の人口がどのくらいか分からないが、億は居てほしい。堂本が5桁とか言ってたけど……。あいつはどれ程なんだ? 気持ちとしては順位のことを聞きたいが、恥ずかしい気持ちもある、とりあえず違うことを聞こうか。


「1階梯? ……なんですか? これは」

「たしか、一緒にいらっしゃった方たちは、レベル? と言っていましたが、戦ったりして経験を積むことで階梯というのが上がっていくのです。それにつれて、先程測らせていただいた身体能力等も飛躍的に上昇していくのです」

「レベル? それならわかります。そうですか。じゃあこの階梯が上がっていけば順位も上がっていく……と」

「そうですね。階梯が上がるごとの能力の上昇値も人それぞれなのですが、基本的には上がるものですね」

「なるほど……階梯の上限とかはあるんですか?」

「10階梯が最高値と言われていますね。10階梯に到達できる人はごく僅かですが……」


 10段階なのか、意外と少ないな。そう思いながら違うことも尋ねる。


「それでは、この剣術とか、集中とかというのはなんですか?」

「それはスキルですね。これはこちらに来る前の世界で得たスキルなのです。こちらのスキルに無いものですのでどの程度の物なのかはちょっと確認できません。」

「スキルと言うと技術ですよね、こちらの世界でのスキルというのもあるんですか?」

「こちらで得たスキルは表示されませんが、覚えるとなんとなく自分でわかるくらいなのです。守護精霊の影響を受けると言われていますが……」


 剣術か、確かに居合をやっていたからそれをスキルとして組み上げてもらったのか。集中もおそらく居合で得た技術なんだろう。まあ、この世界のスキルとどう違うのか分からないが……。

 そして守護元というのは、この「オリエント」というやつの事なんだろうな。守護霊なのか?


「いえ、えっと……少々お待ち下さい」


 そう言いながら、女性神官は何かの本を開き中を確認し始める。


「あ、これですね。オリエントは、精霊の名前です。心の安定を助けると言われる精霊ですね」


 ……そうか、こっちに来てから落ち着こうと深呼吸をすると妙に落ち着く。この精霊の守護のおかげなのか。もしかしたらそういったスキルを覚えてたりするのかもしれないな。そう考えるとこれは、とても良いスキルなんじゃないか?


「精霊ですか。なんか、立派な精霊の守護を頂いた感じですねっ!」


 少しテンションを上げながら言うと、女性神官は少し苦笑いしながら答える。


「守護は、転移してきた方たちが必ず得られると言われております。元々のこの世界で生まれた住人では持っていたり居なかったりしますが、やはり守護があればその精霊の恩恵を十分に受けれるので良いと思いますよ」


 うんうん。なんとなく自信が出てくるな。


「今回シゲトさんと一緒にいらっしゃった方々は、かなり良い守護を頂いていましたね」

「え? ああ……僕のが心の安定を助ける精霊でしたね。他にも色々あったんですね?」

「はい。やはり私も驚いたのですが、キョウヘイ様はクレドール様の守護を得られております。勇者とか英雄としての人生が確約されているようなものですねっ! 数百年に1人居るか居ないかの素晴らしい守護ですよっ!」

「お、おお……?」


 なんか女性神官の興奮具合を見ていると、俺の精霊がとてもちっぽけに思えてくる。それから2年の池田は『ブライツ』1年の桜井は『ルキア』の守護を得ているという、さっぱり分からない俺に説明してくれる。


 この世界は唯一神である『GS』が頂点として『クレドール』『ジュリ』『シグノ』という3柱の天現と呼ばれる存在が在るらしい、その下に『ブライツ』『アルバ』『プレザ』『ルキア』『ファイブ』『アスト』『エクセリーヌ』『オシアナス』と呼ばれる8柱の天戴と呼ばれる存在が在るという。

 話を聞く感じ、地球で言う神と天使たち、そんな感じなのだろう。


 ―――


 神>GS

 天現>クレドール ジュリ シグノ

 天戴>ブライツ アルバ プレザ ルキア ファイブ アスト エクセリーヌ オシアナス


 ―――


 元々俺たちのように9人という集団での転移は珍しいらしいが、更にこんなに天現、天戴という存在の守護がポンポン現れることも珍しいという。他の生徒達もそういった雲上の存在ではないが、かなり上位の精霊たちが揃っているという。


「……上位? 精霊にも位とかがあるんですか?」

「そうですね、天現様や天戴様も、精霊の高位の存在と言っても良いのですが、それ以外にも有名な大精霊は数多く居ます」

「はあ……あの、僕のオリエントは」

「それが……階級の付いていない精霊なので、階級外の精霊かと……」

「ああ……」


 駄目な感じだ。いや……すでにパニックになった時に助けられている。駄目と決めつけちゃ悪いな。




「そういえば、シゲト様は彼らの教師という立場だと聞きましたが……」

「あ、ああ、一応そういう立場です。なんか色々と生徒たちのほうがぶっ飛んで上に行っちゃっている感じですが」

「そうですね……あ、それで1つ気になるのが、アキラさんの守護精霊なのです」

「アキラ? 小日向? ああ、彼がどうしました?」

「少し精神にムラが出やすいと言われているんです。カンパネラという大変力のある大精霊なのですが、バーサーカーの守護精霊でもあったとして有名なのです」

「バーサーカー???」

「狂戦士と言われる者です。怒りに任せ死ぬまで戦い続けたという伝説の存在です」

「死ぬまで……」


 なんだかヤバそうな話だ。一応本人にも伝えて気をつけるようにと話してあると言うが、きっと俺がやつの教師として抑えられるかもしれないと言う気持ちで俺に言ったように思う。だが、元々小日向は特に俺に反抗的なやつだ。きっと俺が口を出しても逆効果になる気もしてしまう。

 堂本とは仲が良かったし、やつと一緒にいればフォローしてくれるのだろうか。


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