ルークスタウン裏路地の酒場にて
どの世界でも裏と表は存在する。
光があるから影が出来る。
光が強くなれば影は濃くなる。
39はこの世界の理はそんなもんだと思っていた。
39の生きるこの世界は
様々な人間以外の種族も暮らし彼らは、
太陽と月が昼と夜を作る光側の世界
「ルークスタウン」
月しかなく常に夜である影側の世界
「アンブラワールド」
その2つの世界を行き来できる世界だった。
まずは情報集めする前に毎回寄る場所がある。
表の世界にも裏社会や裏路地らしきものはあり、警察なども介入できない社会は多かれ少なかれある。
少し薄暗い路地裏に入るとぼんやりとオレンジ色の明かりが灯る酒場に入っていく。
「いらっしゃ…あぁ。39じゃない、随分ご無沙汰ね。」
バーカウンターに立っている茶髪に銀のメッシュが光る人間の女性がグラスを拭いていた。
「いやぁ、アマンダ。久しぶりだなぁ」
「ほんとね。今日はなんでまたこっちに?」
アマンダは39がよく飲む酒瓶2本をカウンターに置いてから酒場の扉の立て札を「準備中」に替えて戻ってきた。
39もアマンダが戻ったのを確認してから話を進める。
「あぁ、あっちで男の子を拾ったんだ。
エルフの少年。」
「エルフの少年?」
「あぁ、まだまだ赤子くらいに弱っちぃガキでよ。
ナワバリを渡ってたクセに目が覚めたら親に会いてぇって泣き出しちまったんだ。」
「それ、いつの話?」
「こっちで言う昨日くらいじゃねぇか?」
アマンダはふむ…と少し考え事をする。
「もしかして1年前から行方不明の男の子のことかしら?」
「1年前?」
「えぇ…実は…」
アマンダの話によるとその子とケンカをして、その子が部屋に走っていってしまい言い過ぎたと感じた父母は部屋に行くとその子がいなくなっていたとのことだった。
「ガキが言った話とと似たような話だな…
てことは事実なのか?」
「その子の名前は?」
「本人はマイキーと。」
「マイキー?行方不明の子はマイケルよ。別人なのかしら?」
「アマンダ、俺たちは海賊だ。海賊に本名言うやつなんてよっぽど頭がいかれてるか俺より強いと過信するバカくらいだ。
マイキーが実は偽名と言っても何もおかしくないだろ。
それにマイキーはマイケルのあだ名呼びとして使うやつもいる。
マイケル、マイキー、マイク。」
39の言葉にアマンダはハッとし、39はその様子にニヤリと笑った。
「じゃあ!」
「あぁ、可能性は濃厚だ。
あ、そうだ…。」
39は少し悩ましい顔をした。
ふと、少年の言葉が頭をよぎったからだ。
「どうしたの?」
「いや、ガキがな気を失っていたと自分では言ってて目が覚めたら俺達の船にいたから何も覚えてないと言うんだ。
あと、キャプテンFを探すのを手伝えと。」
「キャプテンF?心当たりはないの?」
「Fのイニシャルを持つ海賊はいたが船長にFがイニシャルの奴には会ったことがねぇ。」
「子どもの戯言じゃないの?」
「かもな、しかし妙に引っかかるんだよな。
ガキの言葉が…」
「考えすぎよきっと。私も心当たりがないか一応、調べとくわ。子どものことはどうするの?」
「一旦、家に返す。1年の時の流れをあいつがどう受け止めるのかは知らねぇがな。
そうだな、とりあえず俺は裏の住人だ。こっちのヤツらをあっちで拾ったところで咎められるはずがないからこの足で国のお偉いさんのとこに行こうと思う。」
「そう、分かった。1週間後にそしたら来てちょうだい。収穫があるかは分からないけど…」
39は立ち上がって優しく笑った。
「あぁ、また来るよ。」
アマンダの頭をぐしゃぐしゃ撫でると金貨3枚を置いて代わりに酒瓶を持ち出し酒場を出ていった。
「また子ども扱いして…!」
39の居なくなった酒場にアマンダの声が響いた。
しばらくするとお酒を求めて少し人の道を外したような輩が酒場へやってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます