再びダンジョン
翌朝、再びダンジョンに向かう。
このシナガワダンジョンは都心にあることから、この国でも有数のダイバーの数らしい。
田舎にあるダンジョンだともっとダイバーは減るらしい。
逆にプロダイバーはこんな都会ではなく、地方のダンジョンによく入るらしい。
競合が少ない方が高く売れるなどもあるらしい。
1日目は地下15階に到達。
慣れとだいたいの道を覚えてきたため、速く移動出来るようになってきた。
今日は武器の獲得は無し。
スキルストーンは1つ。
『アイスショック 1日1回』
毎日回復するタイプのスキルストーンだ。
早速使ってみた。
冷気の塊が発射されて、標的にダメージを与える。うまくいけば凍結させられる。
気持ちいい♪
生まれて初めて魔法を使った気分だ。
これは装備だね。
前回のストーンパレットは手で岩を投げるのと同じだから、なんか魔法感が薄かった。
無駄に毎日使いそうな気がする。
2日目。
「『はぐれ』だ!?」
「2体もいるぞ!!」
地下22階。
突然ダンジョンに叫び声が響いた。
はぐれ?
とにかく物音からパニックなのはわかる。
音のする方へ駆ける。
すると2体のモンスターが暴れていた。
腕が4本あり、それぞれに剣を持った大型のスケルトン。
地下22階のモンスターとは思えないパワーとスピードで暴れている。
それぞれに前衛タイプのダイバーが3人貼りついて押さえ込もうとしている。
ダメだな。
1体の4つ腕スケルトンは対応出来ているが、もう1体は対応出来ていない。
おそらくダイバーの腕が悪い。
「ウガッ」
1人のダイバーが太ももを切られ体勢を崩す。
倒れたところをもう1人のダイバーが盾で庇うが、逆に隙をついて脇腹を切られる。
残り1人に4つの刃。
防げるはずがない。
モンスターの刃が肩に吸い込まれる。
肩のプロテクターが砕ける。
その衝撃で体勢を崩す。
「ハッ!」
間にレックスが滑り込む。
4つ腕スケルトンの連撃をさばく。
「今のうちに下がって!」
「す、すまん!」
ダイバー3人が下がる。
4つの腕からの連続攻撃。
おじいさまの攻撃に比べれば隙だらけだ。
十分対応出来る。
「ボウズ。
助かった!
しばらく耐えてくれ。
こっちを終わらす!」
「わかりました!」
もう1体と戦っているおじさんから声がかかる。
おじさんたちは後衛たちが一気にスキルを使い、攻勢をかける。
レックスは4つ腕スケルトンの剣にタイミングを合わせる。レックスが弾いた剣が別の腕の剣と接触する。
そんな隙を逃すはずがない。
低い姿勢からの一撃!
4つ腕スケルトンの左足を切り落とす。
片足を失った4つ腕スケルトンの攻撃など、当たるはずもない。ステップワークでかわして、回り込み、強烈な一撃!
更にたたみかける。
4つ腕スケルトンは消滅した。
スキルストーンを残して。
一方、もう1体も決着がついた。
おじさんたちの総攻撃で押しきった。
「すまんな。
助かった。」
先ほどのおじさんが寄ってきた。
「はぐれが2体も出てヤバかった。
3人負傷したが、この程度で済んだのはボウズのおかげだ。」
「はぐれってなんですか?」
「はぐれってのは、本来その階にいるはずのないモンスターのことを呼ぶんだ。
今回のヘルソルジャーもそうだ。あんなのはもっと下の階層のモンスターだ。
ダイバーの死亡原因の1位ははぐれだからな。
ボウズも気をつけろよ。」
「わかりました。
それで、このスキルストーンはどうします?先に戦ってたのはそちらですし。」
「もちろん、ボウズが持って行ってくれ。
俺たちだけじゃ危なかった。」
そんな会話をしている横で負傷者の治療を行っている。治療と言ってもポーションを負傷箇所に振りかけるだけだけどね。
「ボウズは1人か?」
「そうです。」
「・・・なるほどな。
まぁ無理はするなよ。
それと、もし良かったら、今度ここを訪ねてくれ。俺たちの事務所だ。
今日のお礼もしたいからな。」
名刺を渡された。
『ダイバーチーム ストロングコング
リーダー カワシマ』
「プロダイバーの会社ですか?」
「いや、俺たちは会社の形態をとってない。会社にすると、色々と面倒もあるからな。
ただのダイバーチームだ。
さっきの名刺の住所は俺たちの共用スペースとして借りている部屋だ。」
「ふ~ん。
そんなパターンもあるんですね。」
「ダイバーも色々ある。
さてと、ボウズもまだまだ探索を続けるんだろ?」
「はい。
もう少し潜る予定です。」
「そうか。
じゃあまた会おう。」
「そうですね。
失礼します。」
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