シナガワシティ

タムラさんと別れて僕は前回行った買取り店『ゴールデンアウル シナガワ店』を訪ねる。前回の対応も悪くなかったし、毎回探すのも大変だからね。


お店に入る前に手斧をマジックバックから出しておく。普通に考えて、バックの大きさを考えると、バックから出すのは不自然だからね。

ちなみに、このマジックバックには、パンパン機能がついている。

本来は動きを邪魔しないコンパクトなデザインだけど、それだと出てくる中身と整合性が取れないことになる。

そのため、パンパンスイッチを入れると無駄にマジックバックが大きくなる。これでたくさんの荷物が出てきても怪しまれない。おじいさまの発想と技術力は凄いと思う。



「いらっしゃいませ~。

こちらへどうぞ~。」

お店に入るとカウンターから呼ばれた。

前回と同じアカギさんだ。


「あれ?

この前もご利用頂きましたよね?」


「はい。

お客さんのことを覚えているものなんですか?」


「さすがに全員は無理だけど、ちょっと印象的だったからね~。

今日はどうしますか?」


「買取りお願いします。」


「わかりました~。

それでは売却希望のものを出してください。」


僕はまずは武器を置く。

そして、アイテムや魔石、素材を出していく。


「凄いわね~。

これは地下10階よりも深いところまで潜ってますよね。

プロダイバー以外でそこまで潜る人はそうそういないですよ~。」


「プロダイバー以外で深く潜る人はいないんですか?」


「プロ並みの実力を持ちながら、別の仕事をしていたり、学生だったりっていうこともありますけど、少数ですね。」


「企業のバックアップは大きいですからね。もちろん、企業に所属していると売却益が全て自分のものになる訳ではないですが、それでも企業に所属する人が多いですね。

自分で会社を作る人もいますけど。」


タムラさんは自分で会社を作ったパターンかな?

一国一城の主って感じ。

カッコいいな。

ウラドラ商会のような大企業は無理だけど、僕も小さな会社を立ち上げてもいいかもしれない。


「はい、査定完了です。」


今回は約20万エンとなりました。

やっぱり武器やスキルストーンを手に入れると金額が跳ね上がる。


明日はオフにしよう。

街も散策したいし、次のダイブの準備もしたい。ざっくりだけど1日1万エンあれば十分生活出来る。半分以上宿代に取られるけど、食事代は残る。

服もウィルツーからもらった服だけだから買い足したい。


とりあえず夕食を食べてダイバー向けのホテルに宿泊しました。ちなみに今日はラーメンと餃子。ラーメンのお店はたくさんあったから人気のメニューらしい。

確かに美味しかった。スッキリとしたスープが絶品でした。


翌朝、

まずは食料の買い出し。

おにぎり、パンなどを食料品店で買いそろえる。

次に洋服。

シャツはいらない。

パンツなどの肌着や上着をいくつか購入。

なお、泊まったホテルにはコインランドリーがついていて、お金を入れるときれいにして乾燥もしてくれる。

便利だ。


靴も念のため予備を買っておく。

ダイバー向けの丈夫な靴は高かった。


ワンコインショップでこまごました物を買っていく。この世界の雑貨は便利な物が多い。

特に驚いたのはティッシュ。

薄い紙を使い捨てにするなんて元の世界では想像出来ない。

紙は高級品だからね。


昼時が近づくとお弁当を販売するお店がたくさん出てくる。

各お店で数個、さらにお店をはしご。

大量のお弁当を手に入れた。

もちろん全てマジックバックにしまう。

これでダンジョンに長期滞在しても大丈夫だ。


午後は図書館に行ってみた。

凄い。

この本の数。

驚きだ。

この世界の技術力は凄まじい。

魔法やスキルが無い代わりに技術力でカバーしている。

この技術力は学びたい。

もしかしたら、元の世界の『見捨てられた地』で使えるかもしれない。


僕は日が暮れるまで本を読み漁った。

まずは製紙技術に関する本。

この世界で初期に作られた技術なら、元の世界でも再現出来るかもしれない。


これからも時間がある時は図書館に来よう。

無料でこれほどの蔵書が読めるのは奇跡だ。

知識は身を助ける。

知識は生活を向上させる。

知識があって損することは絶対に無い。


単純に異世界でモンスターを倒すよりも、こういった知識を身につけることの方が意味がある気がする。時間が許す限り来よう。

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