神様の目的
「私たちは趣味で世界の管理をしている訳ではありません。世界から力を得るために管理者を担っているんです。」
「世界から力を得る、、、」
「そうです。
3つの種族はそれぞれ異なった方法で世界から力を得ています。
私たちは神となり、その世界に生きる人から信仰を集めることでゆっくりと力を集めます。
巨神族はそのものズバリ食べることで力を得ます。その世界の人々はお供え物を用意し、巨神族の機嫌を取ることになります。そして、供え物を用意できるように巨神族は人々を助けたりもするようです。
竜神族は何もしません。世界から直接力を得ます。」
「竜神族が一番楽じゃん。」
「そうですね。
しかし、得られる力は一番少ないんです。
そして、世界そのものに寿命が近づき始めると、竜神族は世界から強引に力を奪い、世界の滅びを加速させます。
そして、もう得るものが無くなれば新しい世界を求め、世界を離れます。」
「なるほどね~。
バラバラなんだね。
もしかして3つの種族で争ってたりとか?」
「ご名答です。
3つの種族は世界を巡り、常に争っている状態です。」
「そんな話を私に聞かせた目的はなんですか?」
「フフフ、
ウィリアムさんは察しが良いですね。
単刀直入に申し上げます。
あなたの分離させた力をお貸し頂けませんか?」
「意味がわからないんですけど?」
ここでエルカレナが口を開いた。
「まずは1つ、ご報告があります。
少しお待ち頂けますか?」
「ええ。かまいませんよ。」
エルカレナの姿が消える。
そして、再び現れた時には1人の男を連れてきた。
「どうも~。
はじめまして、でいいのかな?」
ウィルだった。
見た目も声も。
「あれ、えっ、どういうこと?」
ウィルが混乱していると、ルディアリアが説明を始めた。
「私も長く生きてきましたが初めての事例です。ですが、ある程度の推測は出来ます。」
「「お願いします。」」
2人のウィルの声がハモる。
「力と言えど、無色な訳ではありません。
元の存在の影響を受けます。
意識、感情、記憶、そういったものも一緒くたに分かたれてしまったのだと思います。」
「それで私が生まれたってことかな。」
もう1人のウィルが言った。
「じゃあ、どちらもウィリアム=ドラクロアってこと。」
「でもさ~、どっちもウィリアム=ドラクロアじゃ、ややこしいだろ。
私は後発だし、、、
そうだな~
ウィルツー、って名乗ろうかな。」
「ウィルツーね。
単純でわかりやすくていいんじゃない。」
ウィルとウィルツーが同じ声で話をしている。
ここでルディアリアが話に参加する。
「私が力をお借りしたいのはウィルツーさんです。ですが、ウィリアムさんが本体なので無断でお借りする訳にはいきません。」
「ウィルツーに何をしてもらいたいの?
それによるよ。」
「ウィルツーさんにお願いしたいのは神様です。とある世界で神様をやってもらいたいのです。」
「でもさ、
小神族で神様やる人はいないの?
わざわざウィルツーに頼る理由は?」
「お願いしたい世界は複雑な事情があります。ご説明致しますね。
元々、その世界には小神族がいました。
しかし、その世界がもう1つの別の世界と引っ付いて1つになってしまったんです。
そして、そのもう1つの世界には竜神族がいました。1つの世界に2人の神族。
当然争いになりました。
結果的に小神族が勝利しましたが、力のほとんどを失い、神を続けることが出来なくなってしまいました。」
「そんな世界が引っ付いて1つになるなんてあるの?」
「我々も世界の仕組みを全て把握している訳ではありませんが、稀にですが、そういった事例もあります。」
「元々の神様が力を失ったのはわかったけど、どうしてウィルツーなの。」
「まず、ウィルツーさんの戦闘能力は一般の小神族の平均よりも高いんです。そして、能力の高い仲間はなかなか手が空いていません。
そして、その世界は戦いに勝利した小神族が力を失ったことがバレれば、竜神族が再戦を狙ってくる可能性もある状況です。
下手に弱い小神族を派遣しては、殺される可能性もあります。」
「手が空いていて、力の強いウィルツーに頼みたいってこと?」
「そうです。神族が成長するのには長い年月が必要です。ウィルツーさんぐらいの力に到達するのには気が遠くなる程の時間が必要です。減った人員を補充するのはなかなか難しいのです。」
「それで、僕のメリットは?」
「ウィリアムさん、ウィルツーさんは対外的には小神族のグループに入ったと見なされます。
邪神が手を出してくるリスクが低減します。」
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