新たな女神

新婚旅行から帰ったら、平常運転。

ミルやタチアナ、ミレーヌたちは仕事が溜まってる~、と悲鳴をあげながら働いている。


ウィルは決まった仕事はない。

ほとんどのことはまわりの皆がやってくれるからね。たまに判断を仰がれる場合はあるけど、基本的にはみんなウィルの考えを理解して自分たちで解決してくれる。


だから、ウィルは空島や見捨てられた地の開発とかの趣味を楽しんでいた。


特に大きな事件は起きない。

今まで強硬に侵略を行っていたドルマ帝国もウィルと敵対する危険性を重視し、内政に力を入れている。



平和な毎日がそろそろ1年経とうとした頃。

異変が起きた。


ウィルは自分を呼ぶ声を感じた。

呼ばれた場所は『女神様の部屋』。

かつての魔神との戦いで、女神エルカレナが降臨した部屋だ。

それ以降、女神様の神域と繋がっている。

ミリアとリンカの聖女コンビが女神様に捧げ物をしたり、女神様の言葉を頂いたりしている。


・・・物は言い様だね。

実際はただの女子会だよ。

ムラーノ特製のデザートを食べながら、お茶を楽しみ、お話をしている。

ムラーノも最初は女神様が食べることに緊張していたけど、今では当たり前になっている。


女神様の部屋に到着すると、ドアを開ける前から異変を感じた。

部屋の中が力に満たされている。


さてと、、、

何が出て来るのかな?


戦える準備を整える。

そして、ドアを開ける。


部屋全体が女神様の神域になっている。

誰だ?

神域を広げたのは?

神様クラスの力がないと出来ることじゃない。

エルカレナがやるとは思えない。


女性が2人いる。

1人はエルカレナ。

もう1人は?


「はじめまして、ウィリアムさん。

私はルディアリアと申します。」


「はじめまして。

ルディアリア様はエルカレナ様の先輩って感じですか?」


明らかにエルカレナ様より力が上。

この神域を広げたのもこの女神様だろうね。


「先輩というより、上司という言葉の方が近いかもしれません。

私たちを取りまとめするお立場です。」


「道理で凄い力を感じるもんね。」


「有難うございます。

でも、全盛期のウィリアムさんなら実力は似たようなものでしたよ。」


「戦闘だけならね。

ルディアリア様も戦闘メインってタイプじゃないでしょ。」


「フフフ、どうかしら。」


「で、女神様が2人もいらっしゃったんだから、何か用事があるんでしょ?」


「そうですね。

でも、話の前に1つだけお願いを聞いて頂けないかしら?」


「お願いによりますけど。」


「エルカレナがいつも美味しい物を頂いているようなの。私も食べてみたいわ。」


「ハッハッハッ、

それぐらいなら簡単ですよ。

それじゃアフタヌーンセットを用意してもらいますよ。

少し待っていてくださいね。」


さっそく転移して、ムラーノに大急ぎで用意してもらう。

女神様2人と言うとパニックになるので、大事なお客様とだけ伝えた。


すぐに女神様の部屋に戻る。

紅茶とクッキーだけは持ってきた。


「準備できるまで、こちらを食べながら、少しお待ちください。」


「ルディアリア様、このクッキーと紅茶もとても美味しいですよ。」


パク、サクッ


「あら、本当に美味しいわ。」


女神様2人からべた褒めですよ、ムラーノ。


「喜んでもらって光栄です。

本命のアフタヌーンセットも楽しみにしていてください。」


「まぁ、ありがとうございます。

では、待っている間に少し話をしてもよろしいかしら?」


「もちろんです。」


「ウィリアムさんは私たち、女神のことをどの程度ご存知かしら?」


「世界の管理とかをやってる種族ってことぐらいかな。」


「だいたい合ってますよ。

私たちは『小神族』と呼ばれています。」


「『小神族』、、、

誰から呼ばれてるんですか?」


「『巨神族』や『竜神族』よ。」


「その2つの種族も同じように神様みたいなことをやってるの?」


「そうね。。。

かなり違いはありますが、、、

巨神族は地上に常にいます。

時に暴れ、時に助け、時に眠る。

自由気ままに生きています。

我々のように細かいルールに縛られません。本能のままに振る舞います。

竜神族はあまり地上に関与しません。

興味がないと言う方が正しいかもしれませんね。」


「なるほどね。

でも、そもそもなんで神様やってるんですか?

話を聞く限り、巨神族や竜神族がやる意味がわからないんですけど。」


「そこから説明致しましょう。」

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