新婚旅行

結婚式、披露宴を終えてからも忙しかった。

後片付け。

各国のお偉いさんたちへの挨拶と見送り。

などなど。


ようやく落ち着いたら新婚旅行に出発。

新婚旅行の行き先は見捨てられた地。

勇者パーティーのメンバーとかは世界中旅したからね。それに転移もあるし。

だから、みんなが行ったことのない見捨てられた地を目的地にしました。


2泊3日。

往復の移動は転移を使ったけど、見捨てられた地内部での移動はドラゴンにお願いした。

移動が全部転移だと味気無いからね。


ウィルが見つけた絶景ポイントを見て回ったり、スキルに頼らずにみんなでわいわいアウトドア料理を作ったりするのも楽しかった。


みんな、いつもは忙しいメンバーだから仕事を忘れて自然の中でゆったりとした時間を過ごすのは良いリフレッシュになった。



「最後に面白いものを見せてあげるよ。」


「ウィル様がそういうことを言うと不安しかありません。」


「ええっ!? ひどいな~。」


なんか全員ミルのツッコミに同意している。

なんでだろうね~。


「今までの傾向だと、こういう時ウィルは想像の遥か斜め上のことをしでかすんです。」


クラリスも手厳しいね。


「よ~し、とりあえずついてきてよ。

見たら驚くから。」


ドラゴンに乗ってみんなで移動。


目的地の近くまで来ると、

「何あれ?」

「山が動いてる?」

「あり得ない大きさね、、、」


みんなに見てもらったのはゴーレム。

超巨大で4つ足でノシノシとゆっくり歩いている。

その巨体は○○ドーム10個分は優にある。

そして、その歩みは非常に遅い。


「これはね、ゴーレムなんだよ。

その名もズバリ、マウンテンゴーレム。」

ウィルが名前を説明した。


「途轍もなく大きいのはわかるけど、なんでこんなゴーレムを作ったの?」

カレンから質問が出た。


「ふふふ、良い質問だね。

このゴーレムを作ったのは、この見捨てられた地で生活をするためだよ。」


「えっ?」

「どういうことですか?」

「あのゴーレムが住む人を守ってくれるとか?」


「惜しいね。

あのゴーレムはただ歩き回るだけだ。

別に守ってくれる訳じゃない。

人はあのゴーレムの背中で生活するんだよ。

あのゴーレムは守ってはくれないけど、襲ってもこない。ただ、巨大で強い力を持っているから、モンスターは逃げていくのさ。」


「でも、どうしてわざわざ見捨てられた地で生活をする必要があるんですか?」

ミリアから素朴な質問。


「今すぐは必要ないよ。

でも、この見捨てられた地が移住可能な場所だとなれば、将来役に立つかな~と思ってさ。」


「この見捨てられた地が居住可能と証明される意味は非常に大きいです。ただ大きな利権が絡みますので、争いの火種になる可能も大きいですが、、、」

タチアナが補足してくれる。


「だよね~。

だから、まだ公表しないつもり。

でも、歩く街って面白そうなんだよな~。」


「は~、ウィル様、本音が漏れてますよ。」


「趣味と実益を兼ねてるんだよ。」


「とにかく、ウィルがここで好きにやるのは止めないけど、公表するしないはちゃんと相談してよ。」

クラリスからも釘を刺された。


「ハハハ、とりあえず当面はオープンにするつもりはないから。

まだ実験段階だし。」


「実用化するつもりなのが恐ろしいわね。」

「ちなみに、どんなプランなのですか。」


「ゴーレムの歩くルートを固定して、1年で1周する予定。

それで何体ものゴーレムが通過するポイントにセーフティステーション、結界で守られた安全地帯を用意するんだ。

そこで荷物の積み降ろしなんかもする感じ。

面白そうでしょ。」


「なるほど、、、

固定の安全地帯を複数用意して、その安全地帯の間の移動手段を街そのものにする。

想像を超えていますが、合理的ではありますね。」


「後は安全性かしら。

この見捨てられた地のモンスターは強い。

一般の兵士では太刀打ちできない。

万が一結界やゴーレムに不具合が生じた時がどうしようも無いわね。」


ミル、ミレーヌ、クラリスが実現の方法を模索し始める。

真面目だね~。


「そこら辺は追々考えるよ。

まだ実験段階だから、慌てなくてもいいんじゃない?」


「ウィル様の慌てない、一般人の大急ぎと同じです。」

「そうそう、いつも急なのよね。」

「もう少し余裕が欲しいわね。」

「振り回されるこちらのことも考えて頂きたいですね。」

「いつも知らない間に色んなことが動き出してますからね。」

「事前連絡、事後報告は基本ね。」

「は、はい。気をつけます。。。」


なんか妻10人いると、集中砲火になる気がする。

これからの生活が不安かも、、、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る