結婚式 3
「なんだアレは!?」
「すげぇ!!」
「初めて見たぞ!!」
教会の外はパニックだった。
何故か。
それは空飛ぶ船がドラゴンを4頭引き連れて街の上空にやって来たからだ。
空飛ぶ船グングニル。
グングニルが教会の真上に到着すると、ドラゴンたちが教会の四方に下降する。
教会が光のベールに包まれる。
ドラゴンたちも光のベールに包まれる。
教会を包んだ光のベールから、光の綱が伸びていき、ドラゴンと繋がった。
バサッ!バサッ!
ドラゴンが上昇を始めると、
光のベールに包まれた教会が浮き上がった。
「はっ!?えっ!?」
「なんだこれ!?」
「夢なのか!?」
見物客のパニックは更にエスカレートしていく。
パニックなのは見物客だけではない。
教会の中にいた参列者も目を白黒させていた。
「教会ごと飛んでいるのか?」
「ドラゴンに運ばれているっ!」
『現在、教会は披露宴会場に向けて移動中です。
落ちると危険ですので、座ったままお待ちください。
すぐに到着致します。』
「ありえんな、、、」
「空飛ぶ船の次は空飛ぶ教会か、、、」
「もう何でもありだな、、、」
移動距離は短い。
街の中心部から街の外にある広場までだ。
空を飛べば、あっという間だ。
『これより着陸体勢に入ります。
着陸の瞬間は揺れますので、舌を噛まないようにご注意ください。
また立ち上がると転倒のおそれがございますので、こちらの合図があるまで座ったままお待ちください。』
・・・可哀想だったのは護衛たちだ。
教会に入れず外で待っていると、教会か浮上。
護衛対象を連れて、そのまま移動開始。
置いてきぼりの護衛たちは人混みをかき分けて、必死に追いかけるはめになった。
ズン
大した音も鳴らずに教会は着陸した。
着陸すると光のベールは消えていった。
そして、グングニルとドラゴンたちは飛び去った。
「「「おぉぉぉぉ!!」」」
披露宴会場で待っていた客たちからは歓声が鳴り響いた。
『ただいま披露宴会場に到着致しました。
警備隊の指示に従い、順に退場をお願い致します。
新郎新婦はこれよりお色直しを行います。
しばらく、料理を楽しみながらご歓談ください。』
教会の扉が開き、参列者たちがぞろぞろと出てきた。
披露宴会場は大きな立食パーティーとなっていた。
広大な広場に多数のテーブルが用意されていた。そこに料理提供用のブースがいくつも用意されている。参加者の目の前で次々と肉が焼かれ、取り分けられ、提供されていく。
ムラーノが監修した料理の数々。
そのどれもが素晴らしい。
披露宴の参加者は王族など舌の肥えた人が多い。多少の高級食材には驚かない。
しかし、ムラーノが用意した料理には驚き、魅了された。
ムラーノの腕はもちろん世界最高峰。
更に食材もウィルにしか調達できない物ばかり。
味も珍しさも格別である。
当然、すべてをムラーノ1人で調理することはできないので、ウィリアムの街の料理人たちも多数協力している。
『新郎新婦の入場です。
盛大な拍手をお願い致します。』
リィナのアナウンスにより全員の視線が教会に集まる。
教会の扉が開かれる。
ウィルと花嫁たちが姿を表した。
ウィルの変化はわかりにくい。
花嫁たちは純白のウェディングドレスからカラードレスに着替えていた。
ウェディングドレスは裾を引きずる長さであったが、カラードレスは短くなっている。
屋外での披露宴に合わせたスタイルだ。
クラリスは淡い紫のドレス。
カレンは真っ赤なドレス。
さすがクラリスは慣れた態度だが、カレンは照れと緊張で若干挙動不審だ。
リディアは淡いグリーンのドレス。
エリュートロンは淡いブルーのドレス。
2人とも花嫁なのに、クラリスの護衛のような立ち方をしては、クラリスから注意を受けている。
ミリアは若草色のドレス。
リンカは淡いピンクのドレス。
シスターの格好ばかりなので新鮮だ。
タチアナはワインレッドのドレス。
ミレーヌは藍色のドレス。
この2人は落ち着いた雰囲気である。
メルは華やかなイエロー。
ミルは明るいブルー。
姉妹だが、華やかで明るいメルと、スタイリッシュで格好いいミルという仕上がりだ。
花嫁が10人集まるとすごく華やかなだね。
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