人工島

ウィルは4人に向けて、

「何も無いから、ここにするんだよ。

人口的に島を作ろうと思ってね。」


「ゼロから島を作られるのですか?」 


「そうだよ。

じっくり島作りをするから、みんなはフィガロウィリアムの復興に集中してもらっていいよ。」


「なるほど。

だから何も無いところを選ばれるのですね。」


安心の表情を浮かべたヘンケンに対して、


「まだ安心するのは早いわ!

ウィル様、

ウィル様が作られる島はどんな島ですか?

まさか、ごく普通の島ってことはないでしょ?」


ミルがウィルをじっと見つめる。

ウィルの目が泳いでいる。


「いや~~、

まぁ、普通だよ。

・・・空を飛ぶ以外、、、」


「「「「えっ!?」」」」


4人が絶句する。


「空飛ぶ島ってロマンあるよね♪」



・・・ようやく立ち直ったミレーヌが、

「ちょっと待って!

島が空を飛ぶのよね?」


「そうだよ。」


「でも、船を飛ばすだけでも、大量の魔石を消費するわ。

島を飛ばすとなると、さすがに魔石が足りないでしょ。」


「良いところに気付いたね。

確かにグングニルは魔石の消費が早いからね。それを基準に考えると無理だよね。

でもグングニルは速度と強度が必要だったけど、ただ浮かせるだけなら、もっと省エネで出来るんじゃないかと思ってさ。

まだ発想段階だから、これから実験だけどね。

実現出来たら面白くない?」


楽しそうに笑うウィル。


残された4人は頭を抱えながら、

「お祖父様、どうされますか?」


「実害は無さそうなので、よろしいかと。」


「確かに反対してもウィル様なら勝手にやるでしょうから、やる場所がわかっている方が、まだマシね。」


「人気の無い場所だから、何をやっても影響は最低限で済むでしょう。」


4人が頷く。


ヘンケン

「では、国王陛下にウィル様のご希望をお伝え致します。」


「頼んだよ~。

でも、まだ空飛ぶ島は秘密にしといてね。

まだ出来るかどうかわからないし。」


「承知致しました。」




そして・・・

ヘンケンの通信を受けたエール国王たちは頭を抱えたという。


「何故、海のど真ん中を?」

「意味がわかりません。」


ヘンケンは報告の際、空飛ぶ島を作るというのは伏せた。

だが、それを伏せると何故こんな場所を希望するのかがまったくの謎になってしまう。


「僭越ながら、

考えることを放棄することをお勧め致します。

ウィル様のお考えを想像することは、あまり意味がございませんので。」


「たしかにな、、、」


「ウィルの考えることを想像しても、どうせ当たりませんからね。」


「ウィル様のご希望に沿って頂けるということで問題ございませんか?」


「ああ、そんな場所を欲しがる者もいないからな。

ウィルの希望通りの褒美を出すと伝えてくれるか。」


「承知致しました。」




ヘンケンと国王のやり取りなど知らないウィル。

ウィルは気楽に空飛ぶ島の製作に取りかかっていた。

と言っても、まだ空飛ぶシステムのテスト段階だ。

本格的な製造はまだまだ先のこと。


「魔力で浮くんじゃなくて、自然と浮く素材で島を作りたいな。

でも強度もある程度は必要だし。

強度を重視すると重量の問題もあるしね。

空気で膨らますタイプは空気が抜けたり、破裂したりするリスクがあるよな~。」


ウィルはアイテムボックスから取り出した、色々な素材のチェック行っていった。


軽さと強度の両立。

思ったより難しい。


飛行クジラの皮をベースに錬成しよう!


飛行クジラはその名の通り、空飛ぶクジラのモンスターだ。

飛行タイプのモンスターの中では最大級の大きさだ。

皮も丈夫で、簡単には傷がつかない。


そこに浮遊石を加えよう♪


これはダンジョンのギミックなどに使われている特殊な石材だ。

基本的に浮いているのだ。

魔力も関係無い。

何故浮くかはわからない。



これでベースはいいかな。

浮くのに魔力は消費しない。

移動する場合は魔力を使用する感じだな。

その魔力についても、自然界に溢れる微弱な魔力を集めて、溜め込めるようにしよう。


うん♪

基本はこんな感じかな。

後は程よい高さで安定するように調整する必要があるな。


それと、島としてのデザインも考えないと。

イメージは別荘?

それとも秘境?

楽園?

どれも面白そうだな。


やるぞ~。

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