その後の戦い

時を遡る。

ウィルが魔神と戦っている頃。

人間の連合軍も戦っていた。


魔神の分身登場。

魔神本体登場。

魔神退場。


そんな中でも連合軍は戦っていた。



魔神により負傷したオデロも傷の手当を終え、そうそうに復帰していた。


「モンスターは多い。

だが、化け物は倒した!

後は残党に過ぎない!

掃討するぞ!」


オデロはそう檄を飛ばすが、

『残党』と言うには数が多い。

1体で戦局を左右するような存在はいなくなったが、まだモンスターの方が人間よりも多い。

十分、苦境だ。


しかし、最前線でエリックが指揮をとっている。

アルガスも献身的に動き回る。

エール王国軍、特にドラクロア軍は強い。

ドラクロアダンジョンで鍛えている。


普通の兵士は平均レベル10。

ドラクロア軍は平均レベル20。

そうそう負けることはない。


エリック

「隊列を入れ換えろ。

回復薬は潤沢にある。

左翼が押されている。

2千を援護に向かわせろ。」


アルガス

「俺たちの敵じゃねえ!

倒して、倒して、倒しまくれ!!

遅れをとるなよ!」


ドラクロア軍の活躍により、エール王国軍は戦いぬいた。



ロンム王国軍も戦い続けた。

ギグス指揮するウィリアム騎士団旗艦グングニルの活躍は圧倒的であった。


戦場を縦横無尽に飛び回る戦艦。

常にモンスターたちを上空から攻撃を続ける。

その姿はロンム王国軍の兵士たちの脳裏に焼き付いた。


『救世の空船』

ロンム王国軍の兵士たちはグングニルのことをそう呼び、援護に感謝を示した。




フィガロ王国軍も戦った。

劇的な展開は無い。

堅実に守り続けた。

フィガロ王国軍を指揮したダスモン将軍。


ダスモンはリクソンとの差を痛感した。

そして、

(智将リクソン、、、さすがだ。

俺の何手も先を見ている。

張り合って無理をする必要は無い。

こちらは堅実に守り続け、耐え続けばいい。兵士を1人でも多く生き残らせることだけを考えよう。)


当然、リクソンはダスモン将軍の指揮から、何を考えているかを見抜いている。


「ウィリアム様が魔神と戦ってらっしゃる。

我々も恥ずかしい戦いは出来ませんよ!」


当然ながら、ウィリアム騎士団は並のモンスターなど相手にならない。

凄まじい数のモンスターを葬っていった。




カンロ王国軍も勝利した。

ウィリアム警備隊や冒険者たちの活躍は特筆すべきものだった。


一般的な兵士とはレベルが違う。

それにモンスターとの戦闘のスペシャリストだ。兵士は基本は対人戦の訓練を受けている。


この戦いの後、カンロ王国は冒険者たちをスカウトしたが、成功しなかった。

一般的には、冒険者でレベルを上げて仕官するのはよくあるコースだが、ウィリアムの街から離れるつもりはないらしい。




ドルマ帝国軍も勝ち抜いた。

激戦だった。


メイド隊は強い。

しかし、人数は少ない。

一度に倒せるモンスターの数が少ない。


ドルマ帝国軍は必死に戦った。

被害もかなり出た。


その傍らでメイド隊は涼しい顔でモンスターを減らしていた。

メイド隊の恩恵を受けたショーカイ将軍が、援護を回し、なんとか帝国軍が崩れないように支えた。



長い戦いを終え、

「我々の勝利だ!

人間は勝ったのだ!」

オデロの勝利宣言とともに戦いを終えた。


健在の部隊をいくつか、周囲の討ち漏らしたモンスターがいないかを確認させるために派遣した。


また、負傷兵たちの治療を行った。

ウラドラ商会が用意した大量の回復薬により、普通だと助からない兵士も生き残ることができた。



そして、

リンカとミリアの聖女コンビによる鎮魂が行われた。

数多の兵士たちが死んでいった。

その魂たちが漂っている。

このまま放置すれば、ここはアンデッドの巣窟のような場所になってしまうだろう。


それを防ぐ為に、リンカとミリアがさ迷える魂をあの世へと導く。


その光景は美しかった。

戦闘の傷跡が残る大地にホタルの光の如く、数多の魂がうっすらと輝きながら、あの世へと旅立っていく。


その光景を見た兵士たちは涙を流し、また、ようやく戦いが終わったのだと実感した。

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